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五章「発端」
205話
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名も無き森を北に抜けてすぐの山麓に、採石場として使われていた場所がある。町の防壁に利用する石を採っていたのだろうと窺わせる広さを持つその地は、既に採石場としての役割を持ってはおらず、多くの人からその存在を忘れられている。だからこそ、今は盗賊団のアジトとして活用されているのであろう。
至る所に簡素な丸太小屋とバリケード、そして火を点すための篝かごが置かれている。周辺を見張りの男たちが巡回しており、ねずみ一匹通さぬといった気構えを感じさせる。
彼らは二人一組でペアを組み、一様に剣を腰に帯び、矢筒と弓を背負っている。目を鋭く光らせ、周囲を睨むようにして異常がないかを常に警戒している様子だ。
主に視線が向けられているのは、少し離れたところにある森の入り口である。
森の中がこの付近で最も危険であることを、男たちはよく理解しているのだ。
そして、
「おい、誰か倒れたぞ!」
ある見張りの男が、異常を発見した。
至る所に簡素な丸太小屋とバリケード、そして火を点すための篝かごが置かれている。周辺を見張りの男たちが巡回しており、ねずみ一匹通さぬといった気構えを感じさせる。
彼らは二人一組でペアを組み、一様に剣を腰に帯び、矢筒と弓を背負っている。目を鋭く光らせ、周囲を睨むようにして異常がないかを常に警戒している様子だ。
主に視線が向けられているのは、少し離れたところにある森の入り口である。
森の中がこの付近で最も危険であることを、男たちはよく理解しているのだ。
そして、
「おい、誰か倒れたぞ!」
ある見張りの男が、異常を発見した。
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