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五章「発端」
194話
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聞いた瞬間に荷物を捨てて戦闘態勢を整え、素早い身のこなしによって間合いを詰めてくる人間に対して、娘は僅かに感心した。
決断の早さは、素直に賞賛すべきものである。
恐らくは、命を賭けた抵抗も一つの可能性として想定していたのであろう。
しかし、それでも自らの命を擲つという決断は、そう半端な覚悟で行えるものではない。
そして同時に、その程度のものか、という落胆を感じた。
距離を詰めてくるということは、大規模な魔法を用いる可能性はない。大規模でなくとも、無詠唱で行使できる基礎的な魔法を乱れ撃って目くらましにすれば良いものを、そういった素振りも見せない。
つまり、この人間が魔法を行使する可能性は極めて低いという結論に至る。
ちなみに、至近距離で自爆の魔法を行使する選択もまずないと言って良い。
魔法を使うのであれば、体内にある魔力を練るという致命的な隙が生じるからである。人情話をしている最中にも体内にある魔力の流れは変化していなかったことから、この人間が魔法を行使できる線は完全に消えていた。
決断の早さは、素直に賞賛すべきものである。
恐らくは、命を賭けた抵抗も一つの可能性として想定していたのであろう。
しかし、それでも自らの命を擲つという決断は、そう半端な覚悟で行えるものではない。
そして同時に、その程度のものか、という落胆を感じた。
距離を詰めてくるということは、大規模な魔法を用いる可能性はない。大規模でなくとも、無詠唱で行使できる基礎的な魔法を乱れ撃って目くらましにすれば良いものを、そういった素振りも見せない。
つまり、この人間が魔法を行使する可能性は極めて低いという結論に至る。
ちなみに、至近距離で自爆の魔法を行使する選択もまずないと言って良い。
魔法を使うのであれば、体内にある魔力を練るという致命的な隙が生じるからである。人情話をしている最中にも体内にある魔力の流れは変化していなかったことから、この人間が魔法を行使できる線は完全に消えていた。
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