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五章「発端」

181話

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 早々に宿を出た二人は、真っ直ぐに門に向かった。

 入ってきた時とは違い、少しばかり人が多い。
 別の町に行く商人や旅人、警護依頼などを遂行する冒険者であろう。

 二人は防具店で購入していたローブに付いていたフードを目深に被り、その顔を周囲に見られぬようにしていた。少々目立つとは思っていたが、幸いにして声を掛けてくる者はいない。

 だが、既にエリザベスがエルフであるという誤情報が広まっているらしく、視線をあからさまに寄越してくる者こそいなかったが、うやうやしげに会釈をしてくる者は多かった。誰かということを知った上で、敬意を払われているらしい。

 二人としては素材を売り、服を買っただけであるというのに、この有様である。以前ここに訪れた本物のエルフが町の人々に親切だったのだろう。それも、余程という文字が頭につくほどに。

 ボロを出さないうちに町から早めに立ち去ることが正解だろうと、二人は互いに頷きあった。
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