エルフだと思った? 残念! エルフじゃなくてゴブリンでした!

広畝 K

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四章「町へ行こう」

175話

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 でも、とエリザベスは耳打ちする。
 帰ったら沢山するので、覚悟をしておいて下さい、と静かに告げたのである。
 その響きは妖艶とは遠い優しさに満ち溢れたものだったので、七之上もそこまで過剰に反応することはなかった。心中は、また別の話ではあるが。

「さて」

 と、静かな調子で言うと、エリザベスは魔力を練った。
 今から室内に、結界を張るらしい。建物の中ではあるが、油断は禁物とのことである。町で泊まるという事は、人間から襲われる可能性が最も高いということでもあるからだ。
 七之上は敵にとって弱者であり、戦力としては数えないであろう。ゆえに最悪、人質に取られる可能性はある。或いは無作為に殺される可能性も否定はできない。
 主人であるエリザベスは、美人の上に金持ちで、加えてエルフと呼ばれる魔法の使い手でもある。実力は敵にとって未知数だが、だからといって襲われないという保障にはならない。
 一人ならまだしも、複数で襲われたら無傷で対処ができるかは不明だ。
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