エルフだと思った？ 残念！ エルフじゃなくてゴブリンでした！

三章「ゴブリン大家族」

111話

「可愛いものは正義じゃからな！」

　とディーネは宣言し、側にいた娘の一人を抱えて頬ずりをした。
　娘も、満更でもないような顔をして、頬をすり返している。
　その様子だけを何も知らない他人が見たならば、仲の良い姉妹のように見えるだろう。

　七之上は先のディーネの一言で一抹の不安を抱えることとなったが、深く考えることを止めた方が精神衛生上において健康であると判断した。

「んで、男が生まれなかった理由については？　察しはついてたんだろ？」

「確かにな。流石の我も、一人も生まれんとは思っておらんかったがの」

　そうは言うものの、男が生まれにくいという理由については見当がついているとのことらしい。ゴブリンという種族が、他の魔物と比べて弱小に属する種族であることが主な理由だろう、とディーネは言うのである。