エルフだと思った? 残念! エルフじゃなくてゴブリンでした!

広畝 K

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三章「ゴブリン大家族」

103話

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 大木よりもなお太いその胴体を打ち震わせ、長い身体を大いにくねらせ、全長二十メートルを優に超えるその巨体を、地に居る者たちに悠々と見せつけた。

 その顔は天を睨みつつも、天に焦がれるように、眼を鋭く光らせている。それは泉の清らかな水によって、僅かな命を誇り高く謳歌せよと念じられて生み出された、純然たる魔法生命体『水竜』であった。

 水竜は生まれた瞬間から、自らの意思が膨大な魔力の戒めによって捕らわれていることを、しっかりと認識していた。いや、認識させられていると言って良いだろう。
 その戒めを定めた者が、その地にある泉の中央から彼を見つめているのだから。

 水竜は空を泳ぐことを止め、ディーネに向かって大きな咆哮を放った。

 これからお前を討つという、自由への宣言である。
 戒めを解き、天へと昇るという宣誓である。

 ディーネの意思に忠実に誇り高くあり、けれどもその意思に反するべく、自由足るべく、水竜は吼えたのだ。
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