エルフだと思った？ 残念！ エルフじゃなくてゴブリンでした！

三章「ゴブリン大家族」

95話

「やっぱそうなんだろうなあ……」

　七之上は未だに自分に張り付いている娘たち二人を抱え上げ、その顔を至近から見比べる。

　先の娘も美しかったが、この娘たちもまた違った美しさがある。
　傍目から見た感じでは、従者たち二人の娘は肌の色や髪の色といった、はっきりとした差異以外はほぼ同じ容姿に思えた。
　だが、至近で見れば見るほど、かなり違っていることが七之上にはよく分かった。

　エリザベスの娘は、可愛いというよりは美人系の容姿であろう。目つきは僅かに釣り目がちで、気の強さを感じさせるような顔をしている。だが、そこに粗雑さや乱雑さは微塵も感じられず、凛とした涼やかさがある。

　マリーの娘は逆に、美人というよりは可愛い系の容姿であった。目つきは若干垂れているように思われるが、瞳に芯の強さを感じさせる輝きがある。かと言って全体的な雰囲気はどこかふわっとしていて掴みどころがなく、大きな包容力を感じさせる。

　他の娘たちからはまた違った印象を感じるやも知れないが、そのようなことは七之上にとっては些細であるに違いない。

　いずれも愛しき娘たちであるために、容姿などはあまり問題ではないのだ。
　健やかに育ってくれればそれで良いのである。
　あとは悪い男に捕まらなければ。