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三章「ゴブリン大家族」

92話

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 これは、七之上の意識がないうちに行為がなされたという、空白の時間が生んだすれ違いともいうべき弊害なのであろう。

 彼自身、そこの空白の部分に対して、なにかしらの寂しさを、置いてけぼりにされたという感じを、頭の中に巣食わせていると感じていた。

 だからこそ、男親の娘萌えという気持ちに対して、共感という次点の段階で感情が留まっているのだろう。

 七之上は自身の感情に掛かっている霧のような不透明さを、そう分析した。

 そのように七之上が思っている内に、幼女は彼の手から抜け出した。

 両手を使ってその場に立ち上がり、着ている白いワンピースを軽く叩いて葉を落とした。

 そして息を吸い込んで、

「パパが起きたよー!」

 と、声を上げながら、ログハウスの方に走っていく。

 彼女が言葉を言い終わらないうちに、ログハウスの扉が勢いよく開け放たれた。

 そこから、彼女と同じような娘たちが何人か転がり出てきて、七之上の顔を見て目をキラキラと輝かせる。

 その中にはマリーの娘なのだろう、褐色の肌の上に黒いワンピースを着ている銀髪の娘も、何人か交じっている。
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