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三章「ゴブリン大家族」
83話
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となると、ますます七之上には分からなくなった。
落ち葉の大布団で温められている、あの卵たちは一体なんなのか、と。
どこから生じたものなのか、と。
「二人は何か知らん?」
聞いた瞬間、従者たちは俯き、頬を赤く染めた。
しばしの間、二人で目線のやりとりをしていたが、即断即決に定評のあるエリザベスが意を決して七之上に向き直った。
「あれらの卵は、ですね」
私たちの産んだ卵です。と、エリザベスは淡々と告げた。
だが、その口調には恥ずかしさが多分に含まれており、その言葉を聞いたマリーも恥ずかしそうに両手を頬に当てている。
七之上はそれを聞き、頭の中に疑問符を浮かべた。
何をそんなに恥ずかしがることがあるのか、と。
彼は生前、女性にモテたことがあるどころか、話しかける機会すらなかったために、デリカシーが大いに欠けているところがあった。
それゆえに、
「君たち、卵産んじゃったの?」
と、割とデリケートな質問を、きょとんとした表情でもって二人に平気で問うたのである。
「ええ、実はそうなのです」
「そうなの……」
しかし、従者二人も召喚者に似て順応が早いらしい。
七之上がそういったことに羞恥を感じていないことを即座に理解し、却って安心して答えを口にする。
落ち葉の大布団で温められている、あの卵たちは一体なんなのか、と。
どこから生じたものなのか、と。
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「君たち、卵産んじゃったの?」
と、割とデリケートな質問を、きょとんとした表情でもって二人に平気で問うたのである。
「ええ、実はそうなのです」
「そうなの……」
しかし、従者二人も召喚者に似て順応が早いらしい。
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