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三章「ゴブリン大家族」
82話
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不安の思いを隅に置きつつ、木の皿によそわれたスクランブルエッグを口に運ぶ。
新鮮な卵であったのか、塩などの調味料などは何も無いはずであるのに、七之上は美味しさを感じた。
素材の味が活かされているというフレーズを生前によく聞いた気がするが、こういうことかと腑に落ちたような表情を浮かべる。
「美味しい……?」
「ああ、こりゃ美味いな」
七之上は微笑みながら、エリザベスと一緒にマリーの頭を優しくなでた。
マリーは頬を赤く染めながら、朝食をゆっくりと食べ終える。
その後に用意された飲み物は、ホットミルクである。
ここまで奇妙に乳製品が揃っていると、それが何の動物から搾乳されたミルクなのかといった疑問も気にならなくなるらしい。
七之上はそれを何のためらいもなく、クピクピとゆっくり飲み始める。
「ところで」
と、七之上はホットミルクの入った木のカップを持ちながら、二人に尋ねた。
朝食で使われた卵って、落ち葉のところに置いてある卵を使ったものなのか、と。
「違いますよ?」
答えは簡潔であった。
朝食の卵は、魔物たちが森から採取してきてくれた物であるとのことである。
ミルクに関しては、魔物が出したものらしい。
エリザベスは少し離れた位置で皆と同じ朝食を食べている、牛に良く似た魔物を手で示す。
彼女はその魔物に頭を下げて、ミルクを提供してくれたことに対するお礼の言葉を述べた。
新鮮な卵であったのか、塩などの調味料などは何も無いはずであるのに、七之上は美味しさを感じた。
素材の味が活かされているというフレーズを生前によく聞いた気がするが、こういうことかと腑に落ちたような表情を浮かべる。
「美味しい……?」
「ああ、こりゃ美味いな」
七之上は微笑みながら、エリザベスと一緒にマリーの頭を優しくなでた。
マリーは頬を赤く染めながら、朝食をゆっくりと食べ終える。
その後に用意された飲み物は、ホットミルクである。
ここまで奇妙に乳製品が揃っていると、それが何の動物から搾乳されたミルクなのかといった疑問も気にならなくなるらしい。
七之上はそれを何のためらいもなく、クピクピとゆっくり飲み始める。
「ところで」
と、七之上はホットミルクの入った木のカップを持ちながら、二人に尋ねた。
朝食で使われた卵って、落ち葉のところに置いてある卵を使ったものなのか、と。
「違いますよ?」
答えは簡潔であった。
朝食の卵は、魔物たちが森から採取してきてくれた物であるとのことである。
ミルクに関しては、魔物が出したものらしい。
エリザベスは少し離れた位置で皆と同じ朝食を食べている、牛に良く似た魔物を手で示す。
彼女はその魔物に頭を下げて、ミルクを提供してくれたことに対するお礼の言葉を述べた。
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