エルフだと思った？ 残念！ エルフじゃなくてゴブリンでした！

二章「使っちまおうガチャチケット」

77話

　夜に家作りを決定してから、かなりの時間が経過した。

　聖域から空を見上げると星々の輝きは既になく、ゆっくりとではあるが、白い色が薄く塗られてゆく。

　陽の光が薄く聖域内を照らし出し、夜の帳とはまた少し違った、清らかで神秘的な雰囲気が緩やかに流れている。

　朝露を思わせるようなしっとりとした麗しい空気が、木々の緑を瑞々しく、彩り豊かに映えさせている。

　小鳥の声が、遠くから小さく響いて聞こえてくる。新たな朝の産声だ。

　聖域内の一角で、二人の従者が眠っている。

　乾かした落ち葉を積み上げてつくった簡易式の大布団に、仲良く並んで寝息を立てている。

　二人が眠っている位置からそう離れていないところに、一軒の家が建っていた。

　建てられて間もないそのログハウスは、見るからに重厚そうな建築物であった。

　高床を支えている支柱はいずれも太く、強い。だけでなく、建築物全体に環境の風化から防護するための保護魔法が丹念に付与されている。

　聖域外に建てられているにも関わらず、家全体が薄っすらと光に包まれているように見えるのはそのためだ。

　七之上とディーネはその家を見て、感嘆の息をついた。

　二人だけで建てたとは思えない出来栄えに、心から賞賛していたためである。