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二章「使っちまおうガチャチケット」
61話
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少女は黒いローブを身に纏い、頭の半分を大きなフードで覆っている。
禍々しい色をした、曲がりくねった老木の杖を両手で持ってはいるが、少女の体重に比して杖の方が重いのか、しきりにふらふらとよろついている。
不意に、少女が前に倒れそうになったとき、七之上が咄嗟に走り寄り、彼女を前から支えた。
「おいおい、大丈夫か?」
七之上の腕に支えられた少女は、外れかけたフードの縁から七之上をジッと見ている。
顔にかかっている髪は輝く白銀で、肌の色は褐色である。
その銀色の髪を透かして見える瞳は紫色にキラキラと輝いている。
瞳に幾分か情熱的な光が篭もり始めているのだが、七之上は少しも気づかない。
少女の呼吸が幾分か速くなっており、頬が赤く染まっているが、依然として七之上は気づかない。
「一人で立てるか?」
七之上がそう言って片手で杖を支え、倒れかけた彼女の身体をそっと押して元の位置に戻した。
少女はあたふたとしながら、感謝の意を表して彼に頭を下げる。
「あ、ありがとう……なの。……一人で、立てます……なの」
少女は七之上から老木の杖を返してもらうと、両手で杖を横にして抱え、その場を見ていた全員に対して、頭を下げた。
「わ、わたしの名前はマリーって言います……なの。
光魔法と闇魔法が得意……なの。これからよろしく、お願いします……なの……」
禍々しい色をした、曲がりくねった老木の杖を両手で持ってはいるが、少女の体重に比して杖の方が重いのか、しきりにふらふらとよろついている。
不意に、少女が前に倒れそうになったとき、七之上が咄嗟に走り寄り、彼女を前から支えた。
「おいおい、大丈夫か?」
七之上の腕に支えられた少女は、外れかけたフードの縁から七之上をジッと見ている。
顔にかかっている髪は輝く白銀で、肌の色は褐色である。
その銀色の髪を透かして見える瞳は紫色にキラキラと輝いている。
瞳に幾分か情熱的な光が篭もり始めているのだが、七之上は少しも気づかない。
少女の呼吸が幾分か速くなっており、頬が赤く染まっているが、依然として七之上は気づかない。
「一人で立てるか?」
七之上がそう言って片手で杖を支え、倒れかけた彼女の身体をそっと押して元の位置に戻した。
少女はあたふたとしながら、感謝の意を表して彼に頭を下げる。
「あ、ありがとう……なの。……一人で、立てます……なの」
少女は七之上から老木の杖を返してもらうと、両手で杖を横にして抱え、その場を見ていた全員に対して、頭を下げた。
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