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一章「エルフは君の心の中に存在している」

41話

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 爆風に乗って吹き飛ばされたエリザベスは、空中で回転することによって推進方向への姿勢を整える。
 大樹に激突することなく両足をつけ、取り出したナイフを幹に強く突き立て、襲いくる衝撃を貫き通した。

 焼け焦げた臭いが鼻につくが、気にしている暇などない。
 オーガの方に顔を向けようとした瞬間、何かが飛来するのを感知した。
 と同時にエリザベスは突き立てたナイフを蹴り、即座に横方向に跳躍する。

 その咄嗟の判断が、彼女の命を救った。

 飛来物はオーガの持っていた棍棒であった。
 それは即ち、巨木が飛んできたに等しい。

 棍棒はエリザベスのいた位置に完璧に打ち込まれ、打ち込まれた大樹はその衝撃に耐え切れずに幹を大きく軋ませ、内部から亀裂を生じさせると共に、枝葉を撒き散らしながら曲がり、折れてゆき、大きく地を揺らした。
 エリザベスは大樹が折れたことなど頭になく、オーガのいる方向を注視する。

 ――あれだけダメージを与えて、まだ投げ返す余裕がありますか。

 と思ったのも、束の間であったろう。
 黒煙の中の人影が、ゆっくりと横倒しに倒れたのだ。
 エリザベスはそのまま近づかず、風魔法で煙を散らして、その状況を理解した。
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