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一章「エルフは君の心の中に存在している」
36話
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それは、風の魔法を用いた分身であった。
空気による錯覚と質量を利用し、自らの動きを幾重にも見せる分身の魔法である。
僅かな時間で増殖し、今ではオーガの周りを十重二十重に囲みながら歩いている。
そして、ゆっくりと彼女らの移動速度が上がっていき、分身の数が一気に倍以上に増えた。
自分の素早さを上げる魔法を行使することによって空気の動きをさらに生み出し、分身の数を増やすことに成功しているのだ。
これは単純に移動速度を上げる魔法を行使しただけであるが、分身を作る魔法と同時に行使すると、非常に相性が良い。
オーガも黙ったまま敵の挙動を見ていたわけでなく、棍棒を振るって払い、分身を確実に潰している。
だが、分身とは言わば質量の幻影である。
幾度となく潰しても、そこに空気がある限り、幾らでも生産できるのだ。
そんな分身を囮にしながら、エリザベスはそれらの分身に紛れ、赤い光を帯びる矢を幾度もオーガに打ち込んでいく。
打ち込む度にオーガの体に小さな爆発が起きるが、体表面の防御力さえも魔法で底上げしているらしく、そこまで大きなダメージとはなっていないのが実情であった。
空気による錯覚と質量を利用し、自らの動きを幾重にも見せる分身の魔法である。
僅かな時間で増殖し、今ではオーガの周りを十重二十重に囲みながら歩いている。
そして、ゆっくりと彼女らの移動速度が上がっていき、分身の数が一気に倍以上に増えた。
自分の素早さを上げる魔法を行使することによって空気の動きをさらに生み出し、分身の数を増やすことに成功しているのだ。
これは単純に移動速度を上げる魔法を行使しただけであるが、分身を作る魔法と同時に行使すると、非常に相性が良い。
オーガも黙ったまま敵の挙動を見ていたわけでなく、棍棒を振るって払い、分身を確実に潰している。
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幾度となく潰しても、そこに空気がある限り、幾らでも生産できるのだ。
そんな分身を囮にしながら、エリザベスはそれらの分身に紛れ、赤い光を帯びる矢を幾度もオーガに打ち込んでいく。
打ち込む度にオーガの体に小さな爆発が起きるが、体表面の防御力さえも魔法で底上げしているらしく、そこまで大きなダメージとはなっていないのが実情であった。
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