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一章「エルフは君の心の中に存在している」

34話

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 瞬間、棍棒は地面を粉砕し、ごっそりと削り取り、地面を巻き上げながら振り抜かれることとなる。
 恵まれた身体能力から生み出される強大な力を活かした、オーガの放った一撃は、局地的な地震と共に大地に深い傷跡を残した。

 そこには、生物が存在した僅かな痕跡すら見当たらない。

「分かりやすい大振りでしたね」

 オーガはその冷静な声に反応し、声の元に視線を向ける。
 振り上げた棍棒の上に、動けないところを叩き殺したはずの獲物が乗っていた。

 そして敵は自身を冷酷に見つめていただけではなく、赤く光る矢を番えており、小さな口で何事かを呟いた。

「次は鼻です」

 オーガがその言葉を理解する前に、赤い閃光がオーガの眼を眩ませた。

 鼻に命中した閃光は一瞬にして球状に膨れ上がり、熱と光を一瞬の内に増幅させ、小爆発を引き起こした。
 顔の中心に受けた不意の衝撃と痛みに耐え切れず、オーガはたたらを踏む。
 よろめいた足が落ち葉の重層に体重を預けることにより、湿って摩擦の少ないそれらを互いに滑らせ、巨体の足を転ばせた。
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