エルフだと思った？ 残念！ エルフじゃなくてゴブリンでした！

序章「転生ですよ！ 転生！」

1話

　北村七之上が目覚めると、そこは――

「――雪国であった」

「違うよ」

　呆れたような顔をした少年が、七之上を見つめている。

　その少年は背中から直に白い翼を生やし、頭上には光り輝く輪を浮遊させている。髪の色は白金のように眩く輝いていて、瞳の色は淡い海のような色をしていた。

　ちなみに、顔の造形も芸術的なほどに美少年である。

　それだけならば、天使という形容がぴったりな少年であったろう。

　ただし、少年は布の一切れすら纏っていない全裸という格好であったために、七之上は困惑せざるを得なかった。

　少年は股間すら隠してはいないのである。モザイクも掛かっていない。
　そんな全裸の少年が、胸を反らせてドヤ顔で、七之上のことを見上げているのだ。

　七之上は少年を頭の残念な子なのだろうと認識し、放置することに決定して、周囲の風景を見渡すことにした。

　しかし目に入ってきたそれは、果たして風景と言えるかどうか。

　どこまで遠くを見ても、クリーム色の空間が広がっているだけである。
　地面はおろか空の色すら同じ色で、色の境目というものがない。
　この世のものとは到底思えない、奇妙な場所であった。

「なにこれ、どういう状況なん？」

「君はね、残念ながら死んでしまったんだよ」

　と、どこか嬉しそうな口調で少年は答えた。