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第六章:冒険者たち
27話
しおりを挟む冒険者ギルドとは、民間の警備企業に近い種類の団体だと思って良い。
ただの警備団体と異なる点は、魔物を相手にする稼業であるという一言に尽きるであろう。
当然、ギルドに所属する者は腕に覚えのある者でなければならず、また、多くの民衆を相手にする客商売の一面もあるために、それなり以上の処世術と自己肯定感を身につけている者でなければ長く勤めていられない。
ギルド設立から現代に至るまで、少なくない数の冒険者が偉大なる功績を世に示してきた。
王族・皇族の護衛、師団規模に及ぶ魔物の討伐、街道を占拠した盗賊団の捕縛、新たな土地の開拓、発掘された古代遺跡の保護など、その偉業は数知れない。
そういった歴史的な背景もあり、冒険者とは兵士よりも上に位置する名誉な職であると一般には認識されている。
そのため、入団試験の難しさは士官試験にも劣らぬほどに難しく、入団合格者の数は希望者に比して少ないのが特徴である。
そんな冒険者ギルドであるが、これもまた魔道具の一般的普及に乗ずるかのように、大陸の隅々まで出張所を構えるようになった。
ゆえに当然、それだけの出張所に配する冒険者の数が少数であることが問題となり、多くの人員を新たに雇い入れる必要が生じた。
出張所に配する新人を雇い入れるという名目のために試験難易度が見直されることとなり、結果として冒険者の全体的な質が低下するという事態に陥った。
が、傍目に見て分かるほどではないとされ、冒険者全体における質の改善については、まだまだ先送りにされているというのが現状である。
ともあれ、冒険者ギルドはそこが最果ての地であっても、たとえ人が独りであっても、生活を営んでいるのであれば、出張所を建て、人員を派遣した。
それはソルトの故郷である山中の田舎村においても例外ではなかった。
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