巨大魔物討滅作戦

広畝 K

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第四章:開店

19話

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 昼食を終え、大人たちがそれぞれの仕事へと出向いた後、ソルトとシュガーは店舗を建てるための土地の選定を行った。
 空いている土地の利用許可については、昼食の間に村長から取り付けてある。

「じゃ、建てようか!」

「シュガーが建てるわけじゃないでしょ……」

「気分を代弁!」

 妙にテンションの高い姉貴分を視界の外へと追いやりながら、ソルトは腰元に括っていた袋の中から手の平に収まるほどの小箱を取り出した。
 その小箱は薄いガラスのような透明の材質でできていて、中に入っているものが外からでも窺える。

「これって、もしかして店舗? 箱の中に入ってるの?」

「そうだよ。危ないからちょっと離れて」

 言われた通りに彼女がその場から距離を取ると、ソルトは小箱の中から小さな建築物を慎重に取り出して、空いている土地の中央付近にそっと置いた。

 それから彼もシュガーの元まで歩き、建築物から距離を取ると、小箱の内側に刻み込まれている小型の魔法陣をそっと指でなぞる。

 なぞられた魔法陣が淡い白色の光を帯びると、土地に置かれた小さな建築物も連動しているかのように、薄い白の光を帯びてゆく。

 それだけでなく、建築物の方は徐々にその形を大きく、存在感を増していった。
 みるみるうちに大きく広がる建築物は音を立てることなく、その比率も保ったまま、土地をゆっくりと侵食してゆくのである。

 建築物が土地の中に収まりきらないかどうかという手前で、小箱の魔法陣が光を消失させた。
 と同時に、建築物も放っていた光を消失させ、その質量の増大を止めたのだ。

 結果として、土地には十分に店舗たりうる建築物がその存在感を放つこととなった。
 その外観は、都会で一般的とされている薄めの白黄色に染められている。

 屋根の葺かれていない、立方体のような四角い建物だ。

 落ち着きを感じさせるその趣きある佇まいは、田舎の村の中にあってもそれほど奇異とは映らない。
 奇異というほどに目立つものではなく、ちょっとしたわくわく感や、中に入ってみたいという感覚を見る者に与えることだろう。
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