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婚約者はTPOを意識してなお告白してくるという話

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 婚約者のエドガー様と街を散歩している私です。

 当てもなくのんびり歩いていると、右手側に花屋があるのを見つけました。

 色とりどりに咲いている花を見ると、なんとなく元気が湧いてきますね。

「そう言うと思って買ってきました」

 ……えっ!?

 いや、えっ、隣を歩いていた筈のエドガー様がいつの間にか花束を持っています。

 しかも跪いて、花束を差し出し、大きな声で言いました。

「メアリさん! 私と結婚して下さい!」

 黄色い歓声が彼方此方から聞こえてきます。

 というか、いつの間に観衆が!?

 花屋の店員さんも顔を赤くしてこちらを見ていますし、口笛を吹いている人たちもいますし、何が何やら……。



 ――――。

 ――。

 ゆ、夢でした……。

 目覚めた場所は自室のベッドです。

 衆人環視の中で告白とか、勘弁して下さい……。

 窓際の花瓶から一輪を取って、香りを楽しみます。

 確かに夢ではありましたが、少し前、実際にエドガー様から似たようなことをされた覚えがあります。

 ちょっと今度、念の為に釘を刺しときましょうか……。
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