王子の婚約者探しの茶会に参加したくなかったけど参加した結果、婚約者候補に選ばれてしまった話

王子の婚約者探しの茶会に参加したくなかったけど参加した結果、婚約者候補に選ばれてしまった話

　王家主催の茶会が開かれるらしいです。

　しかも両親の話によると、伴侶を探すという目的があるのだとか。

　面倒ですね……。

　王子の婚約者になるということは、次期王妃になるということです。

　重荷が過ぎる……！

　まあ、見初められるのは公爵令嬢とか侯爵令嬢レベルでしょうけれども。万が一ということはあります。

　そういうことで参加したくなかったわけですが、両親が乗り気で参加することに。あるあるですね。

　文通相手である親戚のアネット様とため息をつきつつ、茶会の端で壁の花になる私たちです。

　私たちが例外のようで、他のご令嬢の方々は王子に夢中です。

　まあ、顔は良いので当然と言えば当然でしょうね。

　私はまあ、兄の顔が良いので慣れています。アネット様も義兄がいるようで、例によって顔が良いそうです。

　それにしても茶会の食事は美味しいですね……茶葉も良い……。

「エミリ様、王子様がこちらに向かってくるのですけれど……」

　まあ、全員と顔を合わせて挨拶をしなければならないという決まりがあるのでしょう。主催の立場ですし。

　ご令嬢方を引き連れてきた王子が近づいてきたのを察知して、私たちは頭を下げました。頭を下げておけばなんとかなる。そういう意識が私たちにはあります。

　この度はお招き頂き云々。どこそこの家の何々で御座います。立派な茶会でうんたらかんたら。

　そういうようなことを、私たちは笑顔の仮面を被って言いました。

「君たち、面白いね」



　後日、私たちは王子の婚約者候補に選ばれてしまいました……。

　面白いって何ですかね……。