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国外追放された私が侯爵令息の偽装恋人に据え置かれてしまう話

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 どうも、紆余曲折あって国外追放された私です。

 今はどことも知らぬ森の中を歩いています。

 追手が差し向けられたのでね。撒くためには仕方なく。

 既に夜ですが、まあ私は魔物避けや明かりの魔法くらいは使えますのでね。

 とはいえ、歩くのも疲れるので、樹の洞でも見つけてさっさと眠りたいところです。

 やや、少し離れたところに焚き火が……。

 しかも良い匂いも漂ってきます。これは魚ですね……間違いない……。



「――はあ、なるほどねぇ」

 焚き火を起こしていたのは旅人でした。

 焼き魚の礼に、まあ適当に嘘を織り交ぜて事情を説明したわけです。

 ほら、普通は女性が森に立ち入ることはほとんど無いので。

 旅人が危険ではないかという心配についても、それほど無いです。

 聞けばこの方、隣国における侯爵家の三男だそうでして。

 実家から手紙が届いたために帰る途上なのだそうです。

 聞いた感じ、嘘では無さそうでしたしね。折角なので便乗して、隣国で働くのも有りかなって感じです。



 しかしまさか、偽装恋人として振る舞うように懇願されるとは、流石の私も思いませんでしたよ。

 しかもなんです? 三男なのに跡取り候補ですって? そんなことあります???

 まあ、それらについては、また別の機会に話すこともあるでしょう。
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