義兄様が私との結婚を見合わせたいという言い分も理解できますが、問答無用ですわ

広畝 K

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義兄様が私との結婚を見合わせたいという言い分も理解できますが、問答無用ですわ

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 お父様の再婚相手は優しそうな方でして、その方が連れていた少年もまた優しそうな雰囲気でした。

 私よりも二つ上の、義兄となる少年です。

 伯爵の地位にあって礼儀作法の厳しい我が家にあって、少年の作法は見られたものではありませんでした。

 しかしそれも、家で暮らすようになって最初の頃の話です。

 数年経過した今ではすっかり作法を身に着け、学を修め、家の跡取りとして申し分のない教養を獲得しています。

 他の令息には多分に見られる傲慢の気もありませんし、イケメンですし、文句の付けようがありません。

 いや、文句を付けるとしたら血筋くらいのものですね。

 そしてその血筋こそが貴族社会では重要なものとして扱われます。


 まったくもって馬鹿馬鹿しいことです。


 とはいえ、我が家に於いてもそれは例外ではありません。

 彼は我が家の血を受け継がぬ外様の人間ですから、跡取りにはなれないわけですね。

 そう、私の婿にならない限りは。


 ということで、ほら、義兄様?

 私と結婚すれば全てが手に入りますよ?

 私も義兄様を手に入れられますし、WinWinでは?


 えっ? ご友人が私を好いているから身を引きたい?

 いやいや、私は義兄様のご友人を好きではありませんし、そもそも興味も御座いません。

 もしかしたら義兄様には好いている人がいるのかも知れませんし、何処かの令嬢に好かれているのかも知れません。


 しかし、関係ありませんわ。

 お父様とお義母様には、既に話を通していますから。
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