王子に近づいたのは私の有用性を示すためであって、下心は全く無いのですが……。

広畝 K

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王子に近づいたのは私の有用性を示すためであって、下心は全く無いのですが……。

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「大丈夫です、私は理解していますわ」

 ほっ、と私は一息をつきます。

 いやいや、流石は未来の王妃様になられるメアリ公爵令嬢です。

 最初から王子に近づくのではなく、この御方に近づいていれば良かったと思うのは何度目か……。

「しかし、あの方は理解されていないのですね?」

 はい、と私は頷きます。

 メアリ様が仰る「あの方」とは色ボケ王子のことであり、何をどう取り違えたか、私のことを愛人にしようと画策している盆暗でもあります。

 いや、メアリ様の側で手伝いができるのは嬉しいですよ?

 でもあの王子の愛人になるのは心から御免被るというだけの話です。

「貴女が良ければ、万事解決なのですけれども。なかなか上手くは運びませんね……」

 ……ん? もしかしてメアリ様?

 貴女の差し金なんてことはないですよね?

「ほほほ」

 ほほほじゃないですが!
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