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婚約者との距離感おかしくない? と妹に指摘された話

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「姉さま、婚約者との距離感おかしくありません?」

「えっ、そうですか?」

 覚えのない指摘に首を傾げますと、妹は盛大に溜め息をつきました。失礼ですね。

 よく考えれば、確かに距離は近いかも知れません。ですが、誤差の範囲ですよ。たまに抱き上げられたり、たまに一緒のパフェを食べたり、たまに一緒に寝たり(健全)しますけれども、そう言われるほどでもないと思いますね。

「いやいやいやいや、距離感バグってますよ! 政略結婚なんですよね!?」

 いえ、まだ婚約段階です。

 両家の事情によっては十分に婚約破棄されうる状態ですよ。

「その通りですよ、妹さん。僕たちはまだ正式に結婚契約を結んでいるわけではありませんからね」

「あら、エドガー様」

 挨拶代わりに私を抱き上げ、額にキスを降らせてきながら登場した婚約者のエドガー様です。

 これくらいは、やはり挨拶でしょう。

 政略でもこれくらいは普通ですよね。

「……まあ、姉さまたちにとっては普通なんでしょう。姉さまたちにとっては」

 妹はどこか疲れたようにふらつきながら、どこからともなく現れた婚約者に抱き上げられて寝室へと去っていきました。

 他人のことをどうこう言えないんじゃないかな、と私辺りは思うんですけどね……。
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