上 下
1 / 1

占いは令嬢の嗜みでございます

しおりを挟む
「何やってんの?」

 彼の視線の先には、怪しい格好の私が居ます。

 紫色のローブを纏い、フードを被り、水晶玉を両手に掲げているのです。

 それは、何やってるのと言いたくもなるでしょう。

 ともあれ、問われたからには答えなくてはなりません。

 そう、占いをしているのです、と。

「なんで?」

 恋占いは令嬢としての嗜みなのです。

「そうなの」

 そうなのです。

 そしてちゃちゃっと占いました。

 貴方の目の前に運命の人が現れるでしょう。

 そう、まさしく私のような!

「俺たち、婚約してるよね」

 はい。

「恥ずかしくない? そんなことして」

 少し……。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...