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婚約者でハーレムを築くという発想はありませんでした……。

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「この世界で一番、貴女を愛しています」

 花束を持った婚約者が、跪いて言いました。

 これは、もしかして夢では?

「いえ、私の方が貴女を愛しています!」

 そう言って、背中の方から寄り掛かってくるのも婚約者です。

 いつの間にか手を取って、手の甲にキスをしているのも婚約者ですね。

 うん、婚約者ハーレム。これは夢です。さっさと起きましょう。


 目覚めたら、婚約者の膝枕に頭を乗せていました。

「起きた?」

 起きました。

「良い夢は見れた?」

 ええ、よく考えると、割と良い感じの夢だったかもしれません。

 そうして彼の顔を見て、私は馬鹿なことを聞きました。

「分身できません?」

「ちょっとできないですね」

 そりゃそうですね。
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