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Ⅰ
ド
しおりを挟むふと窓の外を見ると、雨粒達が物凄い音でバチバチバチバチと騒いでいる。そのせいで電車が16時ごろから運転を見合わせ、18時を少し過ぎた今も運転再開の見込みは立っていない。そんな彼らはまるで子供の成長過程の様に勢いをつけたまま時間を止め待ってくれることはしない。一度過ぎたAという地点にはもう戻ることはできない。つまり両者とも一方通行な道をひたすらに突き進んでいくだけ。多分それだけである。
うるさいコンサートが開催しれていた窓の方向から体を逸らし、今度は体を後ろに向けてみる。すると
『ピアノとは、モーツァルトやベートーヴェンのような偉大な作曲家たちの作品を通じて、音楽という素晴らしい世界への理解を深めるためにとても良いツールです!』
と昨日までは掲示されていなかったであろうA4のピラピラしたチラシが、これと言わんばかりの大きな文字を載せて主張している。もともとピアノは3歳の頃から小学校4年生になるまで必死に頑張ってきたが、親の見栄のためか中学受験をすることになってしまった俺はピアニストの夢を捨て、気が付けばもう高校2年生の1月である。来年は高校3年生で受験だというのに模擬テストの国語の偏差値は38とかなりやばい数値を出している。そのためこの歳になっても親からの長々とした、為になるかわからない説教はほぼ毎日存在する。その分英語でカバー出来ているからいいではないかと言おうとはするも、反感を買って時間が延びるのは、それこそアホくさいとしか思えないので適当にはいとだけ返事だけをして、それから勉強という日々が続いている。いつからだろうこの様な生活が始まってしまったのは。大好きだった彼女と別れてからこのようになってしまったのか、そもそも自分では気づいてはいなかったが、付き合った当時からこの様な性格だった為、相手が愛想尽かしてしまったのかはわからない。
いや、もう何もかもが、どうでもいいことのように思えてきてしまう。結局大学に入ったとして、将来何をしたいのかもよくわからない。
そんなことを考えながら一人で静かな教室で化学の問題集を解いていた、だがすぐにその静けさは失われることとなった。
誰かが入ってくる。
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