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湊の話
心配
しおりを挟む今日はライブの練習があった
ダンスも歌も、段取りからいろいろ忙しかった
バタバタとしてるうちに時間も過ぎていき、夢のことなんて本当に忘れてた
夢のことより竜也が気になった
ダンスがいつもよりきれが悪い気がする
どうしたんだろう……
最近、主演ドラマに多く出るようになってる竜也は忙しい、疲れてるのかもしれない
竜也はアクロバットもするからな……
そんな状態で練習を続けてたら怪我するかもしれない
振り付けの先生に相談をしたら今日の練習は終わりになった
他のメンバーが帰って行き、シャワーから上がって着替えて出てくれば、脱衣場の椅子に座ってた竜也がこっちに来た
なんだか怒ってるように見えた
「竜也?どうし…「どうしたじゃない!なんで練習終わらせた!」
怒ってるようでなく、怒っていた
「なんでって……竜也の様子がいつもと違ってたから……疲れてるのかもって……」
「だからって練習終わらせることないだろ!俺が中途半端なのが嫌いなの知ってるだろ!」
知ってる、知らないわけがない、いつも歌にもダンスにも演技にも真剣に向き合って、中途半端な事したくないって頑張ってるの一番分かってる、竜也の……好きな人の性格だもん、分かってる、でも……
「でも!練習続けて怪我したら意味ないだろ!それこそ竜也の嫌いな中途半端になるよ!」
僕も引きたくなかった、怪我の仕方によっては今後に影響する、危ないことになったらどうなるかなんて分からない、練習で怪我していろんなことを諦めないといけなくなる、そんなことさせたくなかった
「っ……怪我するかしないかなんて自分でわかる……自分で調整出来る!」
「出来るわけないだろ!一度始めると納得するまで練習しないと気が済まないんだから!調子が悪い時に無理に練習して何かあったらどうするだよ!」
こんな言い合いしたこと無かった、今まで竜也が集中して周りが見えなくなると、やんわり気づかせるようにしていた
それでもダメな時もあったけど、ここまで声を上げてぶつかることなんてなかった
「自分の事は自分が一番分かってる!」
「分かってない!今日はいつもと違って動きが悪かった!そのままアクロバットの練習したら怪我に繋がる!何かあってからじゃ……遅いんだよ!」
「っ……なんで、泣いてるんだよ……」
気がついたら涙が止まらなくなっていた
怪我なんかして欲しくない、好きな人に痛い思いさせたくない、守りたくて必死だった
「泣いてない……呆れてるんだよ……分かってるって言う割に竜也が自分のことちゃんと見えてないから……」
そう言い服の袖で涙を拭った
涙をいくら拭っても止まらなかった
辛くなってきた僕は脱衣場に竜也を残して脱衣場を走って後にした
★☆★
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