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噂通りの……あれ?
しおりを挟む陽の光が降り注ぎ七色のステングラスが輝く教会には国王の婚礼ともあって中にも外にも人が溢れていた。
神父の前には白金の軍事服を着たガタイの良い男が立っていて神父の方を向いているので顔は分からない。
荘厳なパイプオルガンの音色が沁み渡るように響き神秘的な賛美歌で純白のドレスを着た花嫁である私が歩み出す。
ゆっくりと進み1番前までたどり着くと新郎の手が差し出され、その手を取り一段台に登り神父の言葉を待つ。
「今、これより2人の若者が夫婦となる」
2人の若者という言葉にん?と疑問を抱きつつもその後に続く長い言葉を聞き流す。
「誓い合うとするならば指輪の交換を」
その言葉を合図に向かい合い恭しく指輪を交換する。俯いているので必然的に違和感に気付く。
……あれ?でっぷり出ているであろうお腹がない……。
絵姿を見たが確かにまるまると太っゲッフン!……恰幅のよろしいお方だったのに目の前に映る腹はスッキリとペタンコだ。
「誓いのキスを」
顔の前の短いベールに手がかかりようやく新郎の顔を見た。
腹はペタンコだろうが顔はどうにもなるまいと拝ませて貰ったが、目の前の顔は凛々しい眉と切長の少しばかり気怠げな瞳、シュッと鼻筋が通っているし顎髭を整えた大変野性味溢れた美しい造形でした。
「……えっ?」
小さな疑問の呟きは誓いのキスによって塞がれる。
「新国王陛下王妃陛下に祝福を!万歳!」
万歳!万歳!!という歓声を聞きながらまじまじと目の前の顔を見る。
「新国王、陛下ですって……?」
新国王陛下と呼ばれた男が呆然とするティアナに悪戯が成功したような笑みを浮かべた。
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