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第6獣
怪獣6-3
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『そうだ、あの土偶とグリフォンは同じ気配がして、全く同じ存在なんだ』
「まさか、グリフォンの関係者とか、そんな間柄なんじゃないか?」
蘭の言葉に土偶は頷いた。
土偶が何かを話す、鏑木の頭の中に、勝手に言葉が流れて行く。聞いているうちに顔は青ざめ、膝から崩れ落ちそうになるのを秀人が支えた。
「鏑木さん、大丈夫ですか?」
「二人共……落ち着いて聞いて。侵略者はこの列島に住んでいる人間、すなわち日本人だって……」
ふざけたことを聞いて、蘭の怒りは一気に爆発した。
「侵略者だと? ふざけるな! この土人形風情が!」
渾身の力で土偶の頭を殴りつけた。砕け散る音と共に、頭の破片が床へ砕け散る。
「勝手なことほざきやがって! 何が侵略者だ! お前らの方が、よっぽどだろうが! 何とか言ってみろ!」
粉々になった破片を見下ろしながら、蘭は怒鳴りつける。相当頭に来ていたのだろう。
「何も出来ないよな。こんな破片になってしまえば」
しかし、蘭の言葉とは裏腹に、床の破片が勝手に集まっていく。砕け散った破片は次第に先ほどと同じ頭部になり、すぐに全身元通りになってしまった。
「何だこいつ……!」
「再生機能なのか?」
再生した土偶を見て、蘭と秀人は呟く。
「二人共、また何か言っているわ……」
「今度は何です?」
「ここは我々カナンガ人のものだった、侵略者が住む前にこの島国に暮らしていた。しかし、一人残らず殺されてしまった。今、住んでいる人間は全員が侵略者の末裔だと……」
侵略者? この島国、日本列島に住んでいる人間、日本人全員が侵略者の末裔とは、どういう意味なのか? 三人の頭の中は、ますます混乱して行く。
「その証拠に、今この地を荒らしまわっている、怪獣はカナンガ人の守り神で、侵略者は守り神に、皆殺されると言っているわ……」
鏑木の声は震えていた。想像もつかないことを言われて、衝撃で怯えている。
「もし、カナンガ人が先住民だとしても、そんな証拠はどこにもないじゃないか」
「そう。大体、日本人やアイヌ人の前に他の人たちがいた、証拠が無いにも関わらず、そんな与太話、信じられるわけがないよ」
二人は鏑木を励ますように言う。それは土偶の言っていることは全部嘘なんだと、励ましているかのような口ぶりだった。それは信じたくない気持ちの裏返しでもある。
「真実だと言っているわ。この地に住んでいる人間は、皆後から来た者だ。我々がこの地に住んでいて、本当の先住民、日本人なんだと……。その証拠を今から見せるとも……」
「証拠だって!」
土偶を見ると、空間が歪んで、鏡が現れた。
「何だ? これは?」
「真実を映す鏡だと言っているわ。今から過去と未来の真実を全て見せるって」
ごくりと息を飲み、三人は鏡に見入った。すると、体が歪み吸い込まれるようにして、鏡の中に引きずり込まれていく。
「まさか、グリフォンの関係者とか、そんな間柄なんじゃないか?」
蘭の言葉に土偶は頷いた。
土偶が何かを話す、鏑木の頭の中に、勝手に言葉が流れて行く。聞いているうちに顔は青ざめ、膝から崩れ落ちそうになるのを秀人が支えた。
「鏑木さん、大丈夫ですか?」
「二人共……落ち着いて聞いて。侵略者はこの列島に住んでいる人間、すなわち日本人だって……」
ふざけたことを聞いて、蘭の怒りは一気に爆発した。
「侵略者だと? ふざけるな! この土人形風情が!」
渾身の力で土偶の頭を殴りつけた。砕け散る音と共に、頭の破片が床へ砕け散る。
「勝手なことほざきやがって! 何が侵略者だ! お前らの方が、よっぽどだろうが! 何とか言ってみろ!」
粉々になった破片を見下ろしながら、蘭は怒鳴りつける。相当頭に来ていたのだろう。
「何も出来ないよな。こんな破片になってしまえば」
しかし、蘭の言葉とは裏腹に、床の破片が勝手に集まっていく。砕け散った破片は次第に先ほどと同じ頭部になり、すぐに全身元通りになってしまった。
「何だこいつ……!」
「再生機能なのか?」
再生した土偶を見て、蘭と秀人は呟く。
「二人共、また何か言っているわ……」
「今度は何です?」
「ここは我々カナンガ人のものだった、侵略者が住む前にこの島国に暮らしていた。しかし、一人残らず殺されてしまった。今、住んでいる人間は全員が侵略者の末裔だと……」
侵略者? この島国、日本列島に住んでいる人間、日本人全員が侵略者の末裔とは、どういう意味なのか? 三人の頭の中は、ますます混乱して行く。
「その証拠に、今この地を荒らしまわっている、怪獣はカナンガ人の守り神で、侵略者は守り神に、皆殺されると言っているわ……」
鏑木の声は震えていた。想像もつかないことを言われて、衝撃で怯えている。
「もし、カナンガ人が先住民だとしても、そんな証拠はどこにもないじゃないか」
「そう。大体、日本人やアイヌ人の前に他の人たちがいた、証拠が無いにも関わらず、そんな与太話、信じられるわけがないよ」
二人は鏑木を励ますように言う。それは土偶の言っていることは全部嘘なんだと、励ましているかのような口ぶりだった。それは信じたくない気持ちの裏返しでもある。
「真実だと言っているわ。この地に住んでいる人間は、皆後から来た者だ。我々がこの地に住んでいて、本当の先住民、日本人なんだと……。その証拠を今から見せるとも……」
「証拠だって!」
土偶を見ると、空間が歪んで、鏡が現れた。
「何だ? これは?」
「真実を映す鏡だと言っているわ。今から過去と未来の真実を全て見せるって」
ごくりと息を飲み、三人は鏡に見入った。すると、体が歪み吸い込まれるようにして、鏡の中に引きずり込まれていく。
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