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第2獣
怪獣2-3
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『で、どうする? ここでしばらく待つのか?』
「否、エレベーターホールに休憩所みたいな所あっただろ、そこに行こう。ここで待っていたら邪魔になるだろうし」
確かに、入り口近くでいつまでも待っているのは看護師や他の患者に迷惑になる。秀人が踵を返して、休憩所に行こうとした時だ。
「秀人! 入ってきていいぞ!」
いつもの蘭の声が聞こえてきた。
『どうやら、いいらしいな』
ゴリアスの言葉に秀人は頷いて、入る。
「秀人君、わざわざ来てくれたのかい」
思わぬ登場に、恭平博士は驚く。
「秀人、お前も来ていたのか! これで全員揃ったな!」
父親の修造が、冗談めかして言う。
「うん。心配だからね」
父親の冗談を、軽く返す。
「おじさん、足大丈夫なんですか?」
「平気だよ。ちょっと転んだだけだから、すぐに退院できるから大丈夫」
秀人の問いかけに笑顔を作って返す。それを見ていた蘭は、父親のいつもの笑顔を見て穏やかな気持ちになった。
「でも、北大で何があったんですか? 怪獣出現のニュースでそんな酷いことになるなんて……」
何気なしに秀人は聞いた、何があったのか知りたかった。
「怪獣出現のニュースが構内放送で流れたんだ、それが原因でパニックになったんだよ。その時まだ、講義をしている最中だったんだけど、学生たち全員がいきなり出口に殺到したから、落ち着かせようとしたら、講堂で変な風に転んでしまって足を折ってしまったんだよ」
恭平博士は顔を赤らめて、少し恥ずかしげに説明する。
「で、逃げようとしたら足が痛くて、全く動けなかったんだ。そうしたら偶然近くに居た、宝田さんに助けられたんだよ」
「そうなんだ。学生がパニックを起こしていたから、落ち着かせるようにしていたら、講堂の中に恭平博士が倒れていてね! で、おんぶして大学病院まで運んできたんだよ!」
修造が照れくさそうに、説明する。
「宝田さん、本当にありがとうございました……。助けていただいて……」
恭平博士の妻である、妃奈子が座っていた椅子から立ち上がって、深々と頭を下げた。
「本当にありがとうございます。退院したら是非、お礼をさせてください!」
恭平博士もベッドの上でお礼を言う。
「お礼なんていいんですよ。人として当然のことをしたまでです。それに五島さん、前だって、私たちを助けてくれたではありませんか。その時の恩返しですよ!」
人を助けるのに、見返りはいらない。それはごく当たり前のことだ。修造はそれをやっただけに過ぎない。
「すいません、入ります」
その時、病室の入り口から声がして、一人の女性が入ってきた。
蘭と秀人は振り返り驚いて飛び上がりそうになった。それはその女性も同様であった。
「鏑木さん!」
「蘭ちゃんに秀人君! どうしてここに?」
献花台で会った女性、鏑木美矢子がそこに立っていた。
蘭と秀人はお互いの家族に、知り合った理由を話した。
「そうだったのか……、二人共意外と顔が広いんだね……」
いきさつを聞いて、恭平博士は感嘆の声を上げる。
「色々な人と顔見知りで、父 修造は秀人の意外な顔の広さに喜んでいる。
「はい、ずっとどこかで聞いたことあるなって、思っていたんですが。まさか五島先生のお子さんとその幼馴染だなんて……」
意外な出会いに驚いている、
「鏑木さん、おじさんの講義取っていたんですね」
秀人は聞いてくる。
「はい、私は大学院で古代日本のことを研究しているんですが、その中に五島先生の講義があるんです。それを選択していて、そこで親交があったんです」
「そうなんだよ、研究テーマは面白くてね、私も関心があるんだ」
「どんな内容なんです? 僕も聞きたいです!」
秀人か目を輝かせて、興味を持って聞いた。
「えっと。大学院では人文選考の歴史学講座で、古代日本における先住民と言うテーマを研究しています。実際に調査合宿に行ったり、道外での見学も行ったりしているんです」
「そうなんですか! 僕も北大とその大学院に行くことのを目標にしているんです! よろしかったら後で色々お話聞かせてもらえませんか!」
秀人の思わぬ発言に、少し驚く。
「良いですよ! 後で沢山聞かせてあげます」
「ありがとうございます!」
「否、エレベーターホールに休憩所みたいな所あっただろ、そこに行こう。ここで待っていたら邪魔になるだろうし」
確かに、入り口近くでいつまでも待っているのは看護師や他の患者に迷惑になる。秀人が踵を返して、休憩所に行こうとした時だ。
「秀人! 入ってきていいぞ!」
いつもの蘭の声が聞こえてきた。
『どうやら、いいらしいな』
ゴリアスの言葉に秀人は頷いて、入る。
「秀人君、わざわざ来てくれたのかい」
思わぬ登場に、恭平博士は驚く。
「秀人、お前も来ていたのか! これで全員揃ったな!」
父親の修造が、冗談めかして言う。
「うん。心配だからね」
父親の冗談を、軽く返す。
「おじさん、足大丈夫なんですか?」
「平気だよ。ちょっと転んだだけだから、すぐに退院できるから大丈夫」
秀人の問いかけに笑顔を作って返す。それを見ていた蘭は、父親のいつもの笑顔を見て穏やかな気持ちになった。
「でも、北大で何があったんですか? 怪獣出現のニュースでそんな酷いことになるなんて……」
何気なしに秀人は聞いた、何があったのか知りたかった。
「怪獣出現のニュースが構内放送で流れたんだ、それが原因でパニックになったんだよ。その時まだ、講義をしている最中だったんだけど、学生たち全員がいきなり出口に殺到したから、落ち着かせようとしたら、講堂で変な風に転んでしまって足を折ってしまったんだよ」
恭平博士は顔を赤らめて、少し恥ずかしげに説明する。
「で、逃げようとしたら足が痛くて、全く動けなかったんだ。そうしたら偶然近くに居た、宝田さんに助けられたんだよ」
「そうなんだ。学生がパニックを起こしていたから、落ち着かせるようにしていたら、講堂の中に恭平博士が倒れていてね! で、おんぶして大学病院まで運んできたんだよ!」
修造が照れくさそうに、説明する。
「宝田さん、本当にありがとうございました……。助けていただいて……」
恭平博士の妻である、妃奈子が座っていた椅子から立ち上がって、深々と頭を下げた。
「本当にありがとうございます。退院したら是非、お礼をさせてください!」
恭平博士もベッドの上でお礼を言う。
「お礼なんていいんですよ。人として当然のことをしたまでです。それに五島さん、前だって、私たちを助けてくれたではありませんか。その時の恩返しですよ!」
人を助けるのに、見返りはいらない。それはごく当たり前のことだ。修造はそれをやっただけに過ぎない。
「すいません、入ります」
その時、病室の入り口から声がして、一人の女性が入ってきた。
蘭と秀人は振り返り驚いて飛び上がりそうになった。それはその女性も同様であった。
「鏑木さん!」
「蘭ちゃんに秀人君! どうしてここに?」
献花台で会った女性、鏑木美矢子がそこに立っていた。
蘭と秀人はお互いの家族に、知り合った理由を話した。
「そうだったのか……、二人共意外と顔が広いんだね……」
いきさつを聞いて、恭平博士は感嘆の声を上げる。
「色々な人と顔見知りで、父 修造は秀人の意外な顔の広さに喜んでいる。
「はい、ずっとどこかで聞いたことあるなって、思っていたんですが。まさか五島先生のお子さんとその幼馴染だなんて……」
意外な出会いに驚いている、
「鏑木さん、おじさんの講義取っていたんですね」
秀人は聞いてくる。
「はい、私は大学院で古代日本のことを研究しているんですが、その中に五島先生の講義があるんです。それを選択していて、そこで親交があったんです」
「そうなんだよ、研究テーマは面白くてね、私も関心があるんだ」
「どんな内容なんです? 僕も聞きたいです!」
秀人か目を輝かせて、興味を持って聞いた。
「えっと。大学院では人文選考の歴史学講座で、古代日本における先住民と言うテーマを研究しています。実際に調査合宿に行ったり、道外での見学も行ったりしているんです」
「そうなんですか! 僕も北大とその大学院に行くことのを目標にしているんです! よろしかったら後で色々お話聞かせてもらえませんか!」
秀人の思わぬ発言に、少し驚く。
「良いですよ! 後で沢山聞かせてあげます」
「ありがとうございます!」
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