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第1獣
怪獣1-2
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『全く、どうなるか見ているこっちは、気が気でなかったぞ』
蘭と秀人の頭の中に、そのもう一匹の声が響く。
もう一匹の正体はゴリアス。その正体は大昔の地球に存在した生物界の頂点に立った巨大生物。すなわち怪獣。蘭が名付け親となって、ゴリアスになった。
「だけどもう、一か月になるんだよね……」
「そうだな……、なんだかあっという間だよな……」
蘭と秀人は、どこか遠い目で掌の痣を見る。それは怪獣の形をしていた。
二人は大昔地球の頂点に居た巨大生物、すなわち怪獣に変身した。建物を破壊した挙句、ゴリアスと敵対していた怪獣ジラノまでもが出現して、大騒ぎになった。
有珠山にてゴリアスの光線でジラノを倒すことに成功し。蘭と秀人、ゴリアスの勝利で決着をつけた。変身がとかれ、ゴリアスには二度と会えないと思ったが。右手の甲に怪獣型の痣ができ。再びゴリアスに変身する時には、その痣を合わせて、できるのだと教わった。
「でも、こんなに長くボランティアするなんて、思ってもいなかったよ……」
「何言っているんだよ! これが俺らなりの責任の取り方だろう!」
秀人が疲れ切った声で、弱音を吐くと蘭が叱咤する。
責任の取り方を、秀人の提案で蘭のボランティア作業をゴリアスに見せながら、秀人が脇で人間社会のことを教えて行こうとした。お前も作業を手伝えと蘭が主張し始め、なし崩し的に秀人も手伝うことになってしまった。
(だけど、秀人が元気になってよかったよ……)
(でも、蘭が調子を取り戻してくれてよかった……)
(二人共……、ようやく本調子になったのか……)
二人と一匹は、心の中でお互いのことを思う。
(特に二人には、迷惑をかけてしまった……)
蘭と秀人の体の中に、魂のような感じで共存しているゴリアス。常に二人と一緒に居るから、どんなことを考えているのかが伝わってくる。
(特にジラノとの戦いの後は、本当にかわいそうだった……)
怪獣に変身して、人間以外のものになる、恐怖心から不眠症に、蘭は不安のようなものを抱えていた。
どうすれば、怪獣に変身して街を壊してしまった恐怖心をなくせるのか。
ゴリアスにできる償いはないのか?
考えているうちに、秀人の頭の中にボランティアの単語が浮かんだ。
「自分たちで壊したところは、自分たちで直さないとね」
蘭と秀人は、自分たちのしてしまった過ちと向き合うために、瓦礫撤去のボランティアを始めた。ゴリアスに人間社会の常識、自分たちの犯してしまった罪と向き合うための一環として、秀人が提案した。
『これが人間の償いなのか……』
ゴリアスの生きた時代と違って、人間という生物が地球に存在し、文明や法律で社会を維持している。その中で罪を犯してしまったら、どういう風に向き合うのか理解するためには必要なことで、ゴリアスはすぐに理解してくれた。
『見ず知らずの人達が、一つの目的に向かって動くのは、変わっていない……。それがいつまでも続くことは素晴らしい……』
理解してくれたゴリアスは、常にそう思っていてくれた。
「さてと……、少し休んで回復したし、秀人! 作業に戻るぞ!」
「えっ! 蘭! まだ五分くらいしか休んでないよ!」
蘭の言葉に、秀人は抗議する。
「何言っているんだ! この瓦礫は俺らが出したようなもんだろ! それに、人間社会の常識や犯してしまったことに対する、償いを教えるって言いだしたのは、どこの誰だっけねぇ? 秀人君!」
そう言いながら、秀人の肩を掴んでゆっくり力を入れてくる。蘭の指がTシャツを通して、ゆっくりと食い込んで行き、痛みが走る。
これは蘭が秀人に対して、逃げないようにする力による強制。
「分かった! 分かった! 作業に戻ろう、蘭!」
痛みに観念し、秀人が蘭の腕を叩く。
「そうか! 分かってくれたか! 幼馴染として、嬉しいぞ!」
蘭は秀人の背中をバンバン叩いて、喜んでいるが、秀人には悔しさのようなものが心の中に湧いてくる。
「さぁ、頑張ろう! ここでさぼっていると、ボランティアの方々に申し訳ないぞ!」
『そうだな、二人共頑張るんだぞ!』
「ゴリアス……、この瓦礫とかに関しては君にも責任があるんだからね……」
小さく恨み言を呟くと、蘭と秀人は天幕を出た。
蘭と秀人の頭の中に、そのもう一匹の声が響く。
もう一匹の正体はゴリアス。その正体は大昔の地球に存在した生物界の頂点に立った巨大生物。すなわち怪獣。蘭が名付け親となって、ゴリアスになった。
「だけどもう、一か月になるんだよね……」
「そうだな……、なんだかあっという間だよな……」
蘭と秀人は、どこか遠い目で掌の痣を見る。それは怪獣の形をしていた。
二人は大昔地球の頂点に居た巨大生物、すなわち怪獣に変身した。建物を破壊した挙句、ゴリアスと敵対していた怪獣ジラノまでもが出現して、大騒ぎになった。
有珠山にてゴリアスの光線でジラノを倒すことに成功し。蘭と秀人、ゴリアスの勝利で決着をつけた。変身がとかれ、ゴリアスには二度と会えないと思ったが。右手の甲に怪獣型の痣ができ。再びゴリアスに変身する時には、その痣を合わせて、できるのだと教わった。
「でも、こんなに長くボランティアするなんて、思ってもいなかったよ……」
「何言っているんだよ! これが俺らなりの責任の取り方だろう!」
秀人が疲れ切った声で、弱音を吐くと蘭が叱咤する。
責任の取り方を、秀人の提案で蘭のボランティア作業をゴリアスに見せながら、秀人が脇で人間社会のことを教えて行こうとした。お前も作業を手伝えと蘭が主張し始め、なし崩し的に秀人も手伝うことになってしまった。
(だけど、秀人が元気になってよかったよ……)
(でも、蘭が調子を取り戻してくれてよかった……)
(二人共……、ようやく本調子になったのか……)
二人と一匹は、心の中でお互いのことを思う。
(特に二人には、迷惑をかけてしまった……)
蘭と秀人の体の中に、魂のような感じで共存しているゴリアス。常に二人と一緒に居るから、どんなことを考えているのかが伝わってくる。
(特にジラノとの戦いの後は、本当にかわいそうだった……)
怪獣に変身して、人間以外のものになる、恐怖心から不眠症に、蘭は不安のようなものを抱えていた。
どうすれば、怪獣に変身して街を壊してしまった恐怖心をなくせるのか。
ゴリアスにできる償いはないのか?
考えているうちに、秀人の頭の中にボランティアの単語が浮かんだ。
「自分たちで壊したところは、自分たちで直さないとね」
蘭と秀人は、自分たちのしてしまった過ちと向き合うために、瓦礫撤去のボランティアを始めた。ゴリアスに人間社会の常識、自分たちの犯してしまった罪と向き合うための一環として、秀人が提案した。
『これが人間の償いなのか……』
ゴリアスの生きた時代と違って、人間という生物が地球に存在し、文明や法律で社会を維持している。その中で罪を犯してしまったら、どういう風に向き合うのか理解するためには必要なことで、ゴリアスはすぐに理解してくれた。
『見ず知らずの人達が、一つの目的に向かって動くのは、変わっていない……。それがいつまでも続くことは素晴らしい……』
理解してくれたゴリアスは、常にそう思っていてくれた。
「さてと……、少し休んで回復したし、秀人! 作業に戻るぞ!」
「えっ! 蘭! まだ五分くらいしか休んでないよ!」
蘭の言葉に、秀人は抗議する。
「何言っているんだ! この瓦礫は俺らが出したようなもんだろ! それに、人間社会の常識や犯してしまったことに対する、償いを教えるって言いだしたのは、どこの誰だっけねぇ? 秀人君!」
そう言いながら、秀人の肩を掴んでゆっくり力を入れてくる。蘭の指がTシャツを通して、ゆっくりと食い込んで行き、痛みが走る。
これは蘭が秀人に対して、逃げないようにする力による強制。
「分かった! 分かった! 作業に戻ろう、蘭!」
痛みに観念し、秀人が蘭の腕を叩く。
「そうか! 分かってくれたか! 幼馴染として、嬉しいぞ!」
蘭は秀人の背中をバンバン叩いて、喜んでいるが、秀人には悔しさのようなものが心の中に湧いてくる。
「さぁ、頑張ろう! ここでさぼっていると、ボランティアの方々に申し訳ないぞ!」
『そうだな、二人共頑張るんだぞ!』
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