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そしてその後、隋の客人達は飛鳥の宮の少し離れた所にある、海石榴市の路上までやって来た。
※海石榴市:(現)桜井市 金屋
そしてそんな彼らを出迎えたのは、稚沙の親戚にあたる額田部比羅夫である。
比羅夫はその時飾り馬75頭を引き連れて、隋からの客人の到着を今か今かと待っていたようだ。
すると彼は客人らに挨拶の言葉を伝える。
「隋からの客人の方々、わざわざここ倭国の飛鳥の地までようお越し下さった。私は額田部連比羅夫と申す。
今回の客人方の訪問をとても歓迎しております」
「ほぅ、これは見事な馬ですな。蘇因高殿が言っていたように、この地域は馬の飼育がとても盛んなようだ」
※蘇因高:隋での小野妹子の呼び名
裴世清はとても感心した様子で、横にいた小野妹子に話しかける。
彼はここに来る道中、ずっと小野妹子から、倭国についての話を聞いていたようだ。
それを聞いた小野妹子も、微笑んで彼に返事を返す。
「はい、裴世清殿のおっしゃる通りです。またここ海石榴市には厩も置かれています。これだけの馬の飼育が成り立っているのも、比羅夫殿の一族のお陰ですね」
「ふむふむ、馬がしっこかりと育つ環境があるのはとても良いことだ」
裴世清と一緒に来ていた他の客人も、彼に同感らしく、皆々感心して話しを聞いていた。
「では、裴世清殿。小墾田宮ももうすぐです。先を急ぎましょう」
小野妹子がそういうと、その場にいた者達は、小墾田宮を目指して再び向かうことにした。
ここからは75頭もの馬を引き連れての移動となる。
そんな中、比羅夫の横に小野妹子がやってくる。
「比羅夫殿、本日はこれほど多くの馬での出迎え、本当に感謝します」
「いや、いや、私が出来る限りのことをしたまでです。それに今回の客人の出迎えは盛大に行うよう、炊屋姫様からも話があったのでな」
そういって額田部比羅夫はとても愉快そうにして笑った。
彼のこの気さくな性格が、他の者達からとても慕われている。そして無論、炊屋姫からの信頼にも繋がっているのであろう。
「それに小墾田宮には、私の親戚の娘が女官として仕えてましてな。稚沙という名の娘で、あの子の前で恥をかかす別けにはいかないのです」
比羅夫のその言葉を聞いた小野妹子は、ふと頭を巡らせた。
「そういえば、私が隋に向かうよりも少し前に、平群の額田筋の娘が女官としてやって来てましたね。私は話はしたことありませんが」
「そう、そう。その娘です。年齢はまだ14歳になったばかりですが、とても素直で明るい娘です。
今は一人前の女官になるんだといって、日々頑張ってるようだ」
比羅夫はとても嬉しそうにしながら、稚沙のことを話した。
「へぇー、そうですか。あなたの自慢の親戚の子なら、私も一目見てみたいものですね」
小野妹子も彼の話しを聞いて、その娘に少し興味を持った。
「はい、是非声をかけてやって下さい。でもだからといって手は出さないで下さいよ。何分とても純粋な娘なので」
それを聞いた小野妹子はその場で思わず笑い出してしまった。
「まさか、私でもそんな幼く可憐な娘に手など出しませんよ」
彼らはそんな雑談を混ぜながら、小墾田宮を目指して馬を走らせた。
※海石榴市:(現)桜井市 金屋
そしてそんな彼らを出迎えたのは、稚沙の親戚にあたる額田部比羅夫である。
比羅夫はその時飾り馬75頭を引き連れて、隋からの客人の到着を今か今かと待っていたようだ。
すると彼は客人らに挨拶の言葉を伝える。
「隋からの客人の方々、わざわざここ倭国の飛鳥の地までようお越し下さった。私は額田部連比羅夫と申す。
今回の客人方の訪問をとても歓迎しております」
「ほぅ、これは見事な馬ですな。蘇因高殿が言っていたように、この地域は馬の飼育がとても盛んなようだ」
※蘇因高:隋での小野妹子の呼び名
裴世清はとても感心した様子で、横にいた小野妹子に話しかける。
彼はここに来る道中、ずっと小野妹子から、倭国についての話を聞いていたようだ。
それを聞いた小野妹子も、微笑んで彼に返事を返す。
「はい、裴世清殿のおっしゃる通りです。またここ海石榴市には厩も置かれています。これだけの馬の飼育が成り立っているのも、比羅夫殿の一族のお陰ですね」
「ふむふむ、馬がしっこかりと育つ環境があるのはとても良いことだ」
裴世清と一緒に来ていた他の客人も、彼に同感らしく、皆々感心して話しを聞いていた。
「では、裴世清殿。小墾田宮ももうすぐです。先を急ぎましょう」
小野妹子がそういうと、その場にいた者達は、小墾田宮を目指して再び向かうことにした。
ここからは75頭もの馬を引き連れての移動となる。
そんな中、比羅夫の横に小野妹子がやってくる。
「比羅夫殿、本日はこれほど多くの馬での出迎え、本当に感謝します」
「いや、いや、私が出来る限りのことをしたまでです。それに今回の客人の出迎えは盛大に行うよう、炊屋姫様からも話があったのでな」
そういって額田部比羅夫はとても愉快そうにして笑った。
彼のこの気さくな性格が、他の者達からとても慕われている。そして無論、炊屋姫からの信頼にも繋がっているのであろう。
「それに小墾田宮には、私の親戚の娘が女官として仕えてましてな。稚沙という名の娘で、あの子の前で恥をかかす別けにはいかないのです」
比羅夫のその言葉を聞いた小野妹子は、ふと頭を巡らせた。
「そういえば、私が隋に向かうよりも少し前に、平群の額田筋の娘が女官としてやって来てましたね。私は話はしたことありませんが」
「そう、そう。その娘です。年齢はまだ14歳になったばかりですが、とても素直で明るい娘です。
今は一人前の女官になるんだといって、日々頑張ってるようだ」
比羅夫はとても嬉しそうにしながら、稚沙のことを話した。
「へぇー、そうですか。あなたの自慢の親戚の子なら、私も一目見てみたいものですね」
小野妹子も彼の話しを聞いて、その娘に少し興味を持った。
「はい、是非声をかけてやって下さい。でもだからといって手は出さないで下さいよ。何分とても純粋な娘なので」
それを聞いた小野妹子はその場で思わず笑い出してしまった。
「まさか、私でもそんな幼く可憐な娘に手など出しませんよ」
彼らはそんな雑談を混ぜながら、小墾田宮を目指して馬を走らせた。
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