24 / 55
24P
しおりを挟む
「一体、何事だ!」
その場に現れたのは瑞歯別皇子だった。
そして皇子は、目の前で嵯多彦に捕まっている佐由良の光景を見て驚いた。
「お前、何をしてるんだ!!」
佐由良は皇子に助けを求めて言った。
「皇子、助けて……」
佐由良は必死で逃げようとするも、嵯多彦は離そうとしない。
そして嵯多彦は佐由良に刃物を突きつけた。
佐由良もその刃物を見て体を震わせた。この刃物がちょっとでも自分に当たれば、簡単に皮膚が切られてしまう。
「皇子、この娘を助けたいなら大声を出さないでもらえるか」
「何だと」
嵯多彦は刃物を佐由良の首もとに当てる。
それを見た瑞歯別皇子もさすがに慌てた。自分が1歩でも前に出れば、彼女の首に刃物が刺さってしまう。
「分かった。声は出さない。だからその娘を傷付けるな」
それを聞いた嵯多彦は、刃物を佐由良から離した。
その瞬間、瑞歯別皇子の背後から現れた2人の男が皇子を捕まえた。
「お前達は、こいつと一緒に来た奴らか」
2人掛かりで捕まったとあっては、さすがの彼でも振りほどく事が出来ない。
「さぁ皇子、これでお前もおしまいだな」
「何でお前達はこんな事を」
瑞歯別皇子は、目の前の嵯多彦を睨み付けて言った。
「前の大王と吉備の黒日売のせいで、磐之媛は死んだ。ただ今の大王を殺してもお前がいる。だから逆にお前が死ねば、大和もかなりぐらつくだろうからさ」
「それでお前は俺を」
それを聞いて、佐由良の目からも涙が出た来た。
「それと偶然、この吉備の娘を見て、吉備への復讐にもなるかと思ったんだが、何分綺麗な娘だったのでな。
それで、こいつは慰めものにしようと思った訳だ。まだお前も手を付けてないようだったんでね」
「な、何だと!」
瑞歯別皇子はこの一言で、かなりの怒りを覚えた。
それまで必死に押さえつけられていた男2人を、無理やり跳ね返した。
「動くなと言ったはずだ。この娘がどうなっても良いのか」
(駄目だわ、このままじゃあ皇子が殺されてしまう……)
「皇子、私の事は気にしないで。皇子の命に比べたら、私なんて代わりはいくらでもいる」
瑞歯別皇子はその場で、動けなくなった。
(くそ、この娘を見殺しになんて出来ない……)
(一体どうすれば。このままじゃ皇子が)
佐由良は思わずその刃物を自分の肩に刺した。
「お前、何するんだ」
その瞬間に嵯多彦の腕が緩んだ。
「よし、今だ」
瑞歯別皇子が、つかさず嵯多彦を殴り付けた。
「おい、誰かいないか!」
瑞歯別皇子はその場で大声で叫んだ。
するとその声を受けてようやく家臣達がやって来た。
「嵯多彦様、これはまずいですよ」
「仕方ない、ここは一旦逃げるぞ」
そう言って近くにとめてあった馬に乗り、嵯多彦達はいそいそと逃げて行った。
「皇子一体何事ですか」
家臣達は皆この光景を見て驚いた。
佐由良は肩にかなり深い傷を負おっていた。
「おい、大丈夫か。しっかりしろ!」
「皇子、ご無事で良かったです……」
だが、佐由良は意識がもうろうとしていた。
「おい、早く傷の手当てをしろ!!」
皇子にそう言われ、周りがあわただしく動き出した。
「何とか持ちこたえてくれ、おい、佐由良!!」
(皇子が始めて、私の事を名前で呼んでくれた)
そう思った瞬間佐由良の意識は途絶えた。
その場に現れたのは瑞歯別皇子だった。
そして皇子は、目の前で嵯多彦に捕まっている佐由良の光景を見て驚いた。
「お前、何をしてるんだ!!」
佐由良は皇子に助けを求めて言った。
「皇子、助けて……」
佐由良は必死で逃げようとするも、嵯多彦は離そうとしない。
そして嵯多彦は佐由良に刃物を突きつけた。
佐由良もその刃物を見て体を震わせた。この刃物がちょっとでも自分に当たれば、簡単に皮膚が切られてしまう。
「皇子、この娘を助けたいなら大声を出さないでもらえるか」
「何だと」
嵯多彦は刃物を佐由良の首もとに当てる。
それを見た瑞歯別皇子もさすがに慌てた。自分が1歩でも前に出れば、彼女の首に刃物が刺さってしまう。
「分かった。声は出さない。だからその娘を傷付けるな」
それを聞いた嵯多彦は、刃物を佐由良から離した。
その瞬間、瑞歯別皇子の背後から現れた2人の男が皇子を捕まえた。
「お前達は、こいつと一緒に来た奴らか」
2人掛かりで捕まったとあっては、さすがの彼でも振りほどく事が出来ない。
「さぁ皇子、これでお前もおしまいだな」
「何でお前達はこんな事を」
瑞歯別皇子は、目の前の嵯多彦を睨み付けて言った。
「前の大王と吉備の黒日売のせいで、磐之媛は死んだ。ただ今の大王を殺してもお前がいる。だから逆にお前が死ねば、大和もかなりぐらつくだろうからさ」
「それでお前は俺を」
それを聞いて、佐由良の目からも涙が出た来た。
「それと偶然、この吉備の娘を見て、吉備への復讐にもなるかと思ったんだが、何分綺麗な娘だったのでな。
それで、こいつは慰めものにしようと思った訳だ。まだお前も手を付けてないようだったんでね」
「な、何だと!」
瑞歯別皇子はこの一言で、かなりの怒りを覚えた。
それまで必死に押さえつけられていた男2人を、無理やり跳ね返した。
「動くなと言ったはずだ。この娘がどうなっても良いのか」
(駄目だわ、このままじゃあ皇子が殺されてしまう……)
「皇子、私の事は気にしないで。皇子の命に比べたら、私なんて代わりはいくらでもいる」
瑞歯別皇子はその場で、動けなくなった。
(くそ、この娘を見殺しになんて出来ない……)
(一体どうすれば。このままじゃ皇子が)
佐由良は思わずその刃物を自分の肩に刺した。
「お前、何するんだ」
その瞬間に嵯多彦の腕が緩んだ。
「よし、今だ」
瑞歯別皇子が、つかさず嵯多彦を殴り付けた。
「おい、誰かいないか!」
瑞歯別皇子はその場で大声で叫んだ。
するとその声を受けてようやく家臣達がやって来た。
「嵯多彦様、これはまずいですよ」
「仕方ない、ここは一旦逃げるぞ」
そう言って近くにとめてあった馬に乗り、嵯多彦達はいそいそと逃げて行った。
「皇子一体何事ですか」
家臣達は皆この光景を見て驚いた。
佐由良は肩にかなり深い傷を負おっていた。
「おい、大丈夫か。しっかりしろ!」
「皇子、ご無事で良かったです……」
だが、佐由良は意識がもうろうとしていた。
「おい、早く傷の手当てをしろ!!」
皇子にそう言われ、周りがあわただしく動き出した。
「何とか持ちこたえてくれ、おい、佐由良!!」
(皇子が始めて、私の事を名前で呼んでくれた)
そう思った瞬間佐由良の意識は途絶えた。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
夢幻の飛鳥2~うつし世の結びつき~
藍原 由麗
歴史・時代
稚沙と椋毘登の2人は、彼女の提案で歌垣に参加するため海石榴市を訪れる。
そしてその歌垣の後、2人で歩いていた時である。
椋毘登が稚沙に、彼が以前から時々見ていた不思議な夢の話をする。
その夢の中では、毎回見知らぬ一人の青年が現れ、自身に何かを訴えかけてくるとのこと。
だが椋毘登は稚沙に、このことは気にするなと言ってくる。
そして椋毘登が稚沙にそんな話をしている時である。2人の前に突然、蘇我のもう一人の実力者である境部臣摩理勢が現れた。
蘇我一族内での権力闘争や、仏教建立の行方。そして椋毘登が見た夢の真相とは?
大王に仕える女官の少女と、蘇我一族の青年のその後の物語……
「夢幻の飛鳥~いにしえの記憶」の続編になる、日本和風ファンタジー!
※また前作同様に、話をスムーズに進める為、もう少し先の年代に近い生活感や、物を使用しております。
※ 法興寺→飛鳥寺の名前に変更しました。両方とも同じ寺の名前です。
毛利隆元 ~総領の甚六~
秋山風介
歴史・時代
えー、名将・毛利元就の目下の悩みは、イマイチしまりのない長男・隆元クンでございました──。
父や弟へのコンプレックスにまみれた男が、いかにして自分の才覚を知り、毛利家の命運をかけた『厳島の戦い』を主導するに至ったのかを描く意欲作。
史実を捨てたり拾ったりしながら、なるべくポップに書いておりますので、歴史苦手だなーって方も読んでいただけると嬉しいです。
陸のくじら侍 -元禄の竜-
陸 理明
歴史・時代
元禄時代、江戸に「くじら侍」と呼ばれた男がいた。かつて武士であるにも関わらず鯨漁に没頭し、そして誰も知らない理由で江戸に流れてきた赤銅色の大男――権藤伊佐馬という。海の巨獣との命を削る凄絶な戦いの果てに会得した正確無比な投げ銛術と、苛烈なまでの剛剣の使い手でもある伊佐馬は、南町奉行所の戦闘狂の美貌の同心・青碕伯之進とともに江戸の悪を討ちつつ、日がな一日ずっと釣りをして生きていくだけの暮らしを続けていた……
大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾】
藍原 由麗
歴史・時代
豪族葛城の韓媛(からひめ)には1人の幼馴染みの青年がいた。名は大泊瀬皇子(おおはつせのおうじ)と言い、彼は大和の皇子である。
そして大泊瀬皇子が12歳、韓媛が10歳の時だった。
大泊瀬皇子が冗談のようにして、将来自分の妃にしたいと彼女に言ってくる。
しかしまだ恋に疎かった彼女は、その話しをあっさり断ってしまう。
そしてそれ以降、どういう訳か2人が会う事は無くなってしまった。
一方大和では、瑞歯別大王(みずはわけのおおきみ)が即位6年目にして急に崩御してしまう。
その為、弟の雄朝津間皇子(おあさづまのおうじ)が家臣や彼の妃である忍坂姫(おしさかのひめ)の必死の説得を受けて、次の新たな大王として即位する事となった。
雄朝津間皇子が新たな大王となってから、さらに21年の年月が流れていった。
大王となった雄朝津間大王(おあさづまのおおきみ)の第1皇子である木梨軽皇子(きなしのかるのおうじ)が、同母の妹の軽大娘皇女(かるのおおいらつめ)と道ならぬ恋に落ちてしまい、これが大和内で大問題となっていた。
そんな問題が起こっている中、大泊瀬皇子が 4年ぶりに韓媛のいる葛城の元に訪ねてくる。
また韓媛は、父である葛城円(かつらぎのつぶら)から娘が14歳になった事もあり、護身用も兼ねて1本の短剣を渡された。父親からこの剣は【災いごとを断ち切る剣】という言い伝えがある事を聞かされる。
そしてこの剣を譲り受けて以降から、大和内では様々な問題や災難が起こり始める。
韓媛はこの【災いごとを断ち切る剣】を手にして、その様々な災いごとに立ち向かっていく事となった。
~それは儚くも美しい、泡沫の恋をまとって~
前作『大和の風を感じて2~花の舞姫~』から27年後を舞台にした、日本古代ファンタジーの、大和3部作第3弾。
《この小説では、テーマにそった物があります。》
★運命に導く勾玉の首飾り★
大和の風を感じて~運命に導かれた少女~
【大和3部作シリーズ第1弾】
★見えないものを映す鏡★
大和の風を感じて2〜花の舞姫〜
【大和3部作シリーズ第2弾】
★災いごとを断ち切る剣★
大和の風を感じて3〜泡沫の恋衣〜
【大和3部作シリーズ第3弾】
※小説を書く上で、歴史とは少し異なる箇所が出てくると思います。何とぞご理解下さい。(>_<")
☆ご連絡とお詫び☆
2021年10月19日現在
今まで大王や皇子の妻を后と表記してましたが、これを后と妃に別けようと思います。
◎后→大王の正室でかつ皇女(一部の例外を除いて)
◎妃→第2位の妻もしくは、皇女以外の妻(豪族出身)
※小説内の会話は原則、妃にしたいと思います。
これから少しずつ訂正していきます。
ご迷惑をお掛けして、申し訳ありません。m(_ _)m

夢占
水無月麻葉
歴史・時代
時は平安時代の終わり。
伊豆国の小豪族の家に生まれた四歳の夜叉王姫は、高熱に浮かされて、無数の人間の顔が蠢く闇の中、家族みんなが黄金の龍の背中に乗ってどこかへ向かう不思議な夢を見た。
目が覚めて、夢の話をすると、父は吉夢だと喜び、江ノ島神社に行って夢解きをした。
夢解きの内容は、夜叉王の一族が「七代に渡り権力を握り、国を動かす」というものだった。
父は、夜叉王の吉夢にちなんで新しい家紋を「三鱗」とし、家中の者に披露した。
ほどなくして、夜叉王の家族は、夢解きのとおり、鎌倉時代に向けて、歴史の表舞台へと駆け上がる。
夜叉王自身は若くして、政略結婚により武蔵国の大豪族に嫁ぐことになったが、思わぬ幸せをそこで手に入れる。
しかし、運命の奔流は容赦なく彼女をのみこんでゆくのだった。
平安ROCK FES!
優木悠
歴史・時代
2024/06/27完結
――つまらねえ世の中をひっくり返すのさ!――
平安ROCK FES(ロックフェス)開幕!
かつての迷作短編「平安ロック!」が装いも新たに長編として復活。
バイブス上がりまくり(たぶん)の時代ライトノベル!
華やかな平安貴族とは正反対に、泥水をすするような生活をおくる朱天と茨木。
あまりの貴族たちの横暴に、ついにキレる。
そして始まる反逆。
ロックな奴らが、今、うごめきはじめる!
FESの後にピリオドがいるだろう、って?
邪魔なものはいらないさ、だってロックだもの!
時代考証も無視するさ、だってロックだもの?
部分的に今昔物語集に取材しています。
浅葱色の桜
初音
歴史・時代
新選組の局長、近藤勇がその剣術の腕を磨いた道場・試衛館。
近藤勇は、子宝にめぐまれなかった道場主・周助によって養子に迎えられる…というのが史実ですが、もしその周助に娘がいたら?というIfから始まる物語。
「女のくせに」そんな呪いのような言葉と向き合いながら、剣術の鍛錬に励む主人公・さくらの成長記です。
時代小説の雰囲気を味わっていただくため、縦書読みを推奨しています。縦書きで読みやすいよう、行間を詰めています。
小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも載せてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる