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王都編 〜密会とデート〜
141.おっさん、デートの約束をする
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聖女と密会のような会食をしてから3日目。
いつものように領地関係の書類に目を通しながら、認可、不認可、と決裁をしていく。
狩猟祭まであと20日あまり。
一足先に領地に戻って現地入りしないと、と考えながら狩猟祭関連の書類に目を通し、サインして行く。
彼は協力してくれるかしら。
サラサラとペンを走らせながら3日前のことを思い出す。
「シェリー!! どこへ行っていたのだ!!」
邸宅に帰った早々あれに怒鳴られた。
「狩猟祭の打ち合わせをしていたら、こんな時間になってしまいました」
「そんなことはどうでもいい!」
どうでもよくないでしょ。
自分の領地最大のイベントを。
心の中で毒づきながら、笑顔であれに問う。
「お父様、どうかなさいまして?」
「おお!それだ!ブルーノ男爵家で演奏会があるのだ!それに聖女が参加するのだ!」
デカい声でガハガハと下品に笑うあれに吐き気がする。
「まぁ!そうでしたの!?確かお父様もご招待されてましたわよね!?」
「そうなのだよ。
今回は少人数で、ブルーノの離れで行われるそうでな。聖女に近付く絶好の機会だ」
「ええ、本当に」
「贈り物を用意せねばならんのだ。何が良いかな」
「それでしたら、私が手配致しますわ。聖女様がきっとお喜びになる物を」
「おお、何か考えがあるのだな?」
「はい。お任せください」
「さすが我が娘。私に似て気が利くな」
その言葉には若干顔が引き攣ってしまった。
本当にバカな男だ。
私が裏で手を回して演奏会に招待されたことにも気付かないなんて。
おそらく演奏会の招待状が今日届き、慌てて領地から駆けつけてきたのだ。
たかがこんなことで転移魔法陣を使用するなんて…と、ニコニコしながら喜ぶあれに、心の中で罵倒を繰り返した。
ヴィンスが聖女を演奏会に誘ったという情報は得ていた。
まだ全ての駒が揃っていないが、とりあえずあれが聖女に手を出しやすくするために、裏工作を行った。
その演奏会でレイプ未遂でも起こしてくれれば話は早いのだが、あれはあれでなかなか慎重に動く。というか肝が小さく度胸がないから、お膳立てがないと動かない。
バカはバカなりに言いなりになっていれば良いものを。
聖女に打ち明ける前に決めたことだから、今回の演奏会から聖女に協力してもらいたいと思っても間に合わない。演奏会まであと3日。時間がない。
それに、本当に彼が協力してくれるかどうかもわからない。
密会で、今まで誰にも話したことのない目的を打ち明けた。
本当はあそこまで話すつもりはなかった。ただ、私の個人的な復讐だと告げ、同情から協力を得ようと思っていた。
だが彼と話して、おそらく彼は個人的な復讐だけではないと気付いていると判断した。
気付いて、本当の目的を探ろうとしている。
あの短時間で取り繕うことが出来ず、仕方なく本当のことを言った。
流石に彼もそれには思い至っていなかったのか、最後に世襲制度について言った時は本当に驚いていた。
いえ、仕方なくじゃない…。
誰かに話したかった…。
彼は不思議な人だ。
敵なのか、味方なのかもわからない私の目をしっかり見て、真剣に話を聞いてくれる。
その目で見つめられると、何故かホッと安心している自分がいた。
話したい。
聞いて欲しい。
彼ならきっとわかってくれる。
何故かそう思ってしまった。
手紙を出すべきね、と演奏会にあれが参加することを知らせなくてはと、書類の整理がひと段落着いた所で、引き出しの中から便箋と封筒を取り出す。
だが、そこで執務室のドアをノックされ、どうぞと応えると、メイドが手に手紙を持って入ってきた。
「失礼致します。お嬢様、さきほどこちらを届け忘れたと…」
今日の分の手紙や書簡はすでに受け取っているが、1通の手紙を手渡される。
メイドからその手紙を受け取ると、表裏を確認する。
「誰?」
差出人の名前が、インクが擦れて見えなくなっていた。
遅れたことと言い、乱暴に扱われてどこかに紛れ込んだのか、随分雑ね、と思いつつペーパーナイフで封を開けて中を確認する。
そして、その内容に驚き、薄く微笑んだ。
「貴方、アリーだったかしら」
「はい」
約1ヶ月前からこの邸で働き始めたアリーを見る。
紹介状もしっかりしたもので、もちろん本物だった。
前の勤務先にも確認を取り、身元もはっきりしていたので雇った。
事実、仕事は完璧で、良い人を紹介してもらったと、紹介者のフィッシャー伯爵にお礼状を出した。
「少し、ここで待っててもらえるかしら」
「かしこまりました」
アリーが一礼し、そのままドア近くの壁際まで下がるとじっと控える。
そんな彼女にクスッと笑うと、便箋に返事をしたため、すぐに封筒に入れて封をした。
「これをお願い」
手紙を彼女に向けると、アリーは壁際から取りに来る。
手紙に触れ受け取ろうとするが、その手紙を渡さずに引き留めた。
「よろしく伝えてもらえる?」
ニコリ、いやニヤリとアリーに微笑むと、アリーはほんの少しだけ口角を吊り上げて微笑む。
「承りました」
そのまま丁寧にお辞儀をし、退室する。
面白い。
心の底からそう思い、笑いが込み上げてくる。
確か、聖女からの会食の招待状を持ってきた時も、彼女だった。
あの時は、たくさんの手紙や書簡の中に紛れていたが、彼女が1人でその束を持ってきて、この書斎机の上に並べて置いていた。
「面白いわ。本当に楽しい」
フフフと今度は声に出して笑う。
彼は記憶がないと嘘を付いた。
彼はその秘密を人質だと言ったけど、彼にはもっと大きな秘密がある。
今から5ヶ月ほど前に国内で各地の転移魔法陣が破壊された。そして出回ったジュノー出現の噂。
その2ヶ月後、聖女が現れたという噂が広がり、その数週間後には聖女の噂は本物になり、王都に来た聖女には記憶がなかった。
他にも騎士団の国境派遣、近隣諸国からの観光客の増加、などなど。
その全ての情報と状況を考えれば、自ずと答えは見えてくる。
記憶がないんじゃないわ。
知らないのよ。この世界を。
聖女は、彼はジュノーなのね。
彼には目的があり、仲間がいる。
聖女、ジュノーを保護したというディーゼル、ロイ、グレイ。おそらくは彼を護衛してる騎士達も。
手紙を持ってきたアリーも。
彼には仲間がいる。
仲間と共に、何かをしようとしている。
仲間…。
目標を同じとする者。
私には…、誰もいない。
笑っていたシェリーの顔から笑顔が消え、1人俯いた。
シェリーの話が真実だとわかった翌日、ディーとアランが瑠璃宮にやってきた。
「あ!ロイ!また1人で!狡いですよ!」
今日の護衛担当だったロイが、俺がソファで本を読むその膝枕でまったりしているのを見て、怒り出す。
「護衛の役得~」
ニヤニヤしながら、俺の腹部にグリグリと顔を押し付け、ディーがロイの騎士服の襟を引っ張りながら引き剥がそうとして、それにロイも抵抗する。
「ディーゼルちゃんはほんとやきもち焼きだなぁ」
アランが弟の行動に笑い、キースは苦笑する。
「今度ディーにも膝枕してやるから」
ロイとディーがムキーッ!と掴み合いになっているのを冷ややかな目で見ながら、呆れ声で言った。
「キース…」
アランがじっとキースを意味ありげに見つめ、体をソワソワさせる。
「はいはい…アラン様も今度ね」
キースも翔平と同じように呆れ声で答えた。
翔平もキースも、ほんとこの兄弟は行動が似てる、と思った。
「方針が決まった。彼女は簒奪とは無関係として、協力することになった」
ダイニングテーブルに座り、アランが言った。
「本来であればシェリーに協力する義理はないんだ。
個人的な復讐に加担するなんて、本当はさせたくない」
腕を組み、眉間に皺を寄せて俺をじっと見る。
「だが…今回に限ってはシェリーに協力する」
ため息混じりにアランが言った。
「父もサイファーも、ジェロームには辟易してたんですよ。
侯爵という地位にありながら、全く仕事もせず、己の権力の維持だけに固執して…邪魔でしかない」
「さっさと爵位を譲って引退して欲しいんだが、後継もなぁ…」
はぁとアランが溜息をつく。
「シェリーが優秀過ぎて、領地管理や侯爵本来の仕事は完璧だしな」
なんとなくわかっていたが、本当にあのジェロームという男は低能で、誰しもがため息をつきたくなる人物なんだと、改めて思った。
「実はな…」
アランが身を乗り出して声を低くする。
それに釣られて、俺もロイもディーも、キースですら身を乗り出し、全員の頭が寄せられる。
「元々ジェロームには密かに監視をつけて、その行動を逐一報告させていたんだ」
「ジェロームを失脚させるネタ探しか」
「ネタってお前ね」
ロイの突っ込みにアランが苦笑する。
俺は逆にそこまでジェロームを必要としていないんだと苦笑した。
「まぁ、その通りだがな。
だが、あいつは全く犯罪には手を染めん」
「小心者で、生来の臆病者ですからね」
「安全圏内でしか甘い汁を吸わない」
「だからシェリーも今まで何も出来なかったんだな」
全員が黙り込む。
そんな臆病者で安全圏にいるジェロームをどうやって嵌めるというのだろうか。
全員の表情がそう語っていた。
「シェリーには、何か考えがあるんだろうな」
全員の視線が俺に集中する。
「俺が協力しないとあいつは手を出せないって言ってた」
「どういうことですか?」
キースが首を傾げる。
「シェリーに協力内容を言われたわけじゃないけど…。
多分…多分な、俺があいつに気があるフリをしろってことだと思う」
「!」
「な!」
全員が俺の顔を見て驚いていた。
「はぁ!それってお前からあいつを誘えってことか!?」
「そこまでかどうかはわかんないけど、とにかく一線を越えたくなるように仕向けるってことじゃないかと…」
全員の顔が、うわぁ、と顔を顰めた。
シェリーは、夜会でお茶会で誘いを巧みにかわす俺を見て、ジェロームには俺を落とすことは絶対に無理だと判断したと言っていた。
聖女はきっと権力や金にも靡かない。
それしか武器のないジェロームにとって、俺は一番厄介な相手なんだと、そう思った。
「まぁ…その可能性はあるか…」
顔を顰めながらアランが呟く。
「それしか、方法はないんでしょうか…」
キースが思い切り顔を歪ませて嫌そうに言う。
「いや、シェリーにそう言われたわけじゃないよ。まだ内容を聞いてないし…。
だからもう一度話をする機会が欲しい。出来れば何か連絡出来る方法も」
「そうだな…」
アランがふむ…、と顎に手を当てて考え始めた。
1人でブツブツと呟いて考えている姿を見てクスッと笑う。
だがすぐにピコンと頭の上に電球が光ったように、表情が明るくなった。
何か思いついたらしい。
「おい、ディーゼル」
ものすごく楽しそうな表情で、可愛い弟を見る。
「お前、ショーヘーとデートしてこい」
「え」
「はぁ!」
ディーは一瞬でヘラッと口元を歪め、ロイは犬歯を剥き出しにした。
「俺は!?なんでディーだけ!?」
アランに詰め寄ろうとするのを、ディーがヘラヘラしながらまぁまぁと押さえ込む。
「明後日、お前アントニーと遠乗りに行くだろ?」
「行かない!キャンセルで!俺もショーヘーとデートする!!」
「我儘言うな」
「明後日、ショーヘイさんとデートして来ていいんですか?」
「ああ、行ってこい」
アランがにこやかに言った。
ロイがギャーギャーと文句を言う。
「不公平だ!俺にもデートさせろー!」
ロイの叫びが木霊した。
アランが考えたのは、街中でシェリーと会うことだった。
シェリーは、たまに息抜きをするために認識阻害の魔法をかけて街中を散策しているらしい。
侯爵令嬢でありながら、平民の暮らす街中を出歩くのは危険極まりないが、それでもシェリーは1人の供だけをつけて、市街地を散策し、平民と同じ食事をし、買い物を楽しむのを趣味にしているという。
それを知っていたから、こちらもその散策に同行しようと考えたらしい。
「シギアーノ邸に潜入している黒に日時と落ち合う場所を伝えてもらうから、お前達2人で行ってこい」
アランがニヤニヤとディーゼルを見る。
「お前は彼氏兼護衛だからな」
ニカッと笑ったアランに、ディーが嬉しそうに兄に抱きつく。
「兄さん、ありがとう」
その弟に、アランの顔がデレッと歪み、あ、ご機嫌取りだな、とブラコンのアランに呆れた。
ロイはすっかりいじけてしまい、テーブルに突っ伏し、ずっと泣き言を言っていた。
こうして、シェリーに協力して、ジェローム失脚の手伝いをすることになったわけだが、シェリーの最終目的である世襲制度の廃止について触れてくることはなかった。
報告の時に自分で、この際置いといて、と言ったのだから、こちらから話を振るわけにも行かないし、王家や貴族、この国の慣習に関して俺が口を挟むわけにも行かない。
きっと俺とは関係のない別な所で、シェリーの件は話し合いが行われているはずだ。
だが…、俺はロイとディーと結婚する、はずだ。
これから先は決して無関係とは言えない。
今すぐの話ではないが、きっといつか話してくれるだろうと、そう思うことにした。
今は、シェリーに早く会って、協力すると、ジェロームの件に関しては仲間だと伝えたい。
1人じゃないよ、とそう言ってあげたいと思った。
2日後、瑠璃宮のロビーで、狩猟スタイルのロイが項垂れる。
「狡い、狡すぎる。俺もデートしたい」
ロイがブツブツと呟く。
「ロイ、ごめんな。今度絶対お前とデートするから」
泣きそうに項垂れるロイの頬を挟むと、自分からキスする。
「絶対だぞ。約束だからな」
「ああ。約束」
そっとロイの手を取って小指を絡ませる。
「?」
「指切りって言ってな、俺のいた国で約束する時にこうやるんだ」
そして、歌を歌って小指を離す。
「針を千本飲むのか」
「飲まないよ。比喩だよ比喩w」
笑いながらロイを抱きしめる。
「行ってらっしゃい。ちゃんと狩りの仕方を教えてくるんだぞ」
「デートしたいよぉ…」
「わかったわかった」
ポンポンと背中を叩いて慰める。
「チューしていいか?」
「仕方ないなぁ」
そう言って、キスを受け入れた。
重ねるだけの長めのキス。だが、いきなり舌を入れられ、そのまま絡め取られて吸われる。
「ん!」
チュルッジュッと舌を嬲られると、ゾクゾクと背筋に快感が走る。
ゆっくりと唇が離れると、唾液が糸を引く。
「続きは今夜ベッドで…」
耳元で囁かれ、そのまま舐められると、強烈な快感と鳥肌が立ってしまう。そして全身を真っ赤に染めた。
「は、早く行け!」
「行ってきます」
ロイが笑いながら玄関を出て行き、真っ赤になった顔を両手で押さえて擦る。
「ラブラブねぇ…」
目の前でいちゃつかれて、フフフとアビゲイルが鼻で笑った。
「ラ、ラブ、ラ!」
舌を噛んだ。
「では我々も行きましょうか」
ディーがススっと近付いて俺の肩を抱き、ロイのキスに対抗するようにキスをされた。
以前シャルルに行った時のように、一般の馬車を使う。
俺の髪は水色に、ディーは茶色に、アビゲイルは金髪になっていた。
3人とも平民の服を着ているが、俺はともかくとして、ディーもアビゲイルも美人過ぎて全く平民に見えない。
俺のそばで微笑まれるとその美貌が眩しくて思わず目を細めてしまう。
アビゲイルはズボンを履き、万が一のための護衛という形になるが、俺とディーがデート途中にシェリーに会うという設定のため、シェリーにもアビゲイルが同伴者になるという設定を用意した。
「まずは、アビーが声をかけます」
「カフェでたまたま相席して、私がシェリーをナンパするわ」
たまたまを強調して言う。
「ナンパって…」
認識阻害の魔法をかけているので、誰も気にしないはずだ。なのに、細かい設定を決めたアランに苦笑する。
アビーがシェリーをナンパしてカフェから連れ出し、散策中に偶然知り合いの俺達に会う。
そしてダブルデートと洒落込むわけだ。
「アラン、絶対面白がってるだろ」
「そうね。遊んでるわね」
アビゲイルがクスクスと笑う。
「でも、面白そうじゃない?シェリーもきっと可愛いわよー」
アビゲイルが鼻歌まで歌い出しそうな勢いでウキウキしている。
美しい2人に、可愛いシェリー。
その3人が揃った時、俺はどう見たって引き立て役だ。3人の荷物持ちにしか見えないだろうと、乾いた笑いを漏らした。
「でも…、サイファーもアランも、さすがだよな…」
「何がですか?」
「策士だってことだよ」
ディーとデートに行け、と言われて、ディーが一緒だと、シェリーが警戒するんじゃないかと思った。
それを指摘したら、鼻で笑われてしまった。
シェリーはとっくに俺がジュノーであることも見抜いていると。
俺たちが簒奪者や黒幕について探っている、そこまでは把握出来ていないだろうが、王家がジュノーを使って何かしようとしているのは、もうとっくに気付いていると。
だからこちらも多いにシェリーを利用させてもらうつもりだ、とアランは笑った。
まるで狸と狐の化かし合いだ。
頭を使った戦いについていけない、とはぁとため息を漏らした。
シェリーもアリーを伴って邸宅を出る。
「アリー、カフェに着いたら戻っていいわよ」
「そういうわけにはいきません。
そばには行きませんが、付かず離れずご一緒させていただきます」
ニコリとアリーに微笑まれたが、シェリーは監視のためね、と苦笑した。
シェリーもアリーも、平民の服を着ている。髪色も変え、認識阻害魔法も完璧に施した。
聖女からの手紙には、デートのお誘いが書いてあった。
聖女も相手を連れ、私にも相手を用意してくれると。
ダブルデートという体で街中を散策し話をしましょう、との内容に驚き、そしてなぜか気持ちが昂った。
気晴らしに街中によく1人で遊びに行っていた。流石に供の者をつけるが、付き従うだけで、話などしない。
実質的には1人でブラブラし、美味しいものを食べて、可愛い小物を買って、歩き回るのが好きだった。
その時だけは、日頃の重圧から解放される。密かな楽しみだった。
こんなことをしてるなんて周囲に知れたら、必ず馬鹿にされ蔑んだ目で見られる。
だが、社交界では味わえない自由な時間は、私にとってはとても重要だった。
まさか、こんな風に誰かと街を歩くなんて。
馬車の中でクスッと1人笑った。
いつものように領地関係の書類に目を通しながら、認可、不認可、と決裁をしていく。
狩猟祭まであと20日あまり。
一足先に領地に戻って現地入りしないと、と考えながら狩猟祭関連の書類に目を通し、サインして行く。
彼は協力してくれるかしら。
サラサラとペンを走らせながら3日前のことを思い出す。
「シェリー!! どこへ行っていたのだ!!」
邸宅に帰った早々あれに怒鳴られた。
「狩猟祭の打ち合わせをしていたら、こんな時間になってしまいました」
「そんなことはどうでもいい!」
どうでもよくないでしょ。
自分の領地最大のイベントを。
心の中で毒づきながら、笑顔であれに問う。
「お父様、どうかなさいまして?」
「おお!それだ!ブルーノ男爵家で演奏会があるのだ!それに聖女が参加するのだ!」
デカい声でガハガハと下品に笑うあれに吐き気がする。
「まぁ!そうでしたの!?確かお父様もご招待されてましたわよね!?」
「そうなのだよ。
今回は少人数で、ブルーノの離れで行われるそうでな。聖女に近付く絶好の機会だ」
「ええ、本当に」
「贈り物を用意せねばならんのだ。何が良いかな」
「それでしたら、私が手配致しますわ。聖女様がきっとお喜びになる物を」
「おお、何か考えがあるのだな?」
「はい。お任せください」
「さすが我が娘。私に似て気が利くな」
その言葉には若干顔が引き攣ってしまった。
本当にバカな男だ。
私が裏で手を回して演奏会に招待されたことにも気付かないなんて。
おそらく演奏会の招待状が今日届き、慌てて領地から駆けつけてきたのだ。
たかがこんなことで転移魔法陣を使用するなんて…と、ニコニコしながら喜ぶあれに、心の中で罵倒を繰り返した。
ヴィンスが聖女を演奏会に誘ったという情報は得ていた。
まだ全ての駒が揃っていないが、とりあえずあれが聖女に手を出しやすくするために、裏工作を行った。
その演奏会でレイプ未遂でも起こしてくれれば話は早いのだが、あれはあれでなかなか慎重に動く。というか肝が小さく度胸がないから、お膳立てがないと動かない。
バカはバカなりに言いなりになっていれば良いものを。
聖女に打ち明ける前に決めたことだから、今回の演奏会から聖女に協力してもらいたいと思っても間に合わない。演奏会まであと3日。時間がない。
それに、本当に彼が協力してくれるかどうかもわからない。
密会で、今まで誰にも話したことのない目的を打ち明けた。
本当はあそこまで話すつもりはなかった。ただ、私の個人的な復讐だと告げ、同情から協力を得ようと思っていた。
だが彼と話して、おそらく彼は個人的な復讐だけではないと気付いていると判断した。
気付いて、本当の目的を探ろうとしている。
あの短時間で取り繕うことが出来ず、仕方なく本当のことを言った。
流石に彼もそれには思い至っていなかったのか、最後に世襲制度について言った時は本当に驚いていた。
いえ、仕方なくじゃない…。
誰かに話したかった…。
彼は不思議な人だ。
敵なのか、味方なのかもわからない私の目をしっかり見て、真剣に話を聞いてくれる。
その目で見つめられると、何故かホッと安心している自分がいた。
話したい。
聞いて欲しい。
彼ならきっとわかってくれる。
何故かそう思ってしまった。
手紙を出すべきね、と演奏会にあれが参加することを知らせなくてはと、書類の整理がひと段落着いた所で、引き出しの中から便箋と封筒を取り出す。
だが、そこで執務室のドアをノックされ、どうぞと応えると、メイドが手に手紙を持って入ってきた。
「失礼致します。お嬢様、さきほどこちらを届け忘れたと…」
今日の分の手紙や書簡はすでに受け取っているが、1通の手紙を手渡される。
メイドからその手紙を受け取ると、表裏を確認する。
「誰?」
差出人の名前が、インクが擦れて見えなくなっていた。
遅れたことと言い、乱暴に扱われてどこかに紛れ込んだのか、随分雑ね、と思いつつペーパーナイフで封を開けて中を確認する。
そして、その内容に驚き、薄く微笑んだ。
「貴方、アリーだったかしら」
「はい」
約1ヶ月前からこの邸で働き始めたアリーを見る。
紹介状もしっかりしたもので、もちろん本物だった。
前の勤務先にも確認を取り、身元もはっきりしていたので雇った。
事実、仕事は完璧で、良い人を紹介してもらったと、紹介者のフィッシャー伯爵にお礼状を出した。
「少し、ここで待っててもらえるかしら」
「かしこまりました」
アリーが一礼し、そのままドア近くの壁際まで下がるとじっと控える。
そんな彼女にクスッと笑うと、便箋に返事をしたため、すぐに封筒に入れて封をした。
「これをお願い」
手紙を彼女に向けると、アリーは壁際から取りに来る。
手紙に触れ受け取ろうとするが、その手紙を渡さずに引き留めた。
「よろしく伝えてもらえる?」
ニコリ、いやニヤリとアリーに微笑むと、アリーはほんの少しだけ口角を吊り上げて微笑む。
「承りました」
そのまま丁寧にお辞儀をし、退室する。
面白い。
心の底からそう思い、笑いが込み上げてくる。
確か、聖女からの会食の招待状を持ってきた時も、彼女だった。
あの時は、たくさんの手紙や書簡の中に紛れていたが、彼女が1人でその束を持ってきて、この書斎机の上に並べて置いていた。
「面白いわ。本当に楽しい」
フフフと今度は声に出して笑う。
彼は記憶がないと嘘を付いた。
彼はその秘密を人質だと言ったけど、彼にはもっと大きな秘密がある。
今から5ヶ月ほど前に国内で各地の転移魔法陣が破壊された。そして出回ったジュノー出現の噂。
その2ヶ月後、聖女が現れたという噂が広がり、その数週間後には聖女の噂は本物になり、王都に来た聖女には記憶がなかった。
他にも騎士団の国境派遣、近隣諸国からの観光客の増加、などなど。
その全ての情報と状況を考えれば、自ずと答えは見えてくる。
記憶がないんじゃないわ。
知らないのよ。この世界を。
聖女は、彼はジュノーなのね。
彼には目的があり、仲間がいる。
聖女、ジュノーを保護したというディーゼル、ロイ、グレイ。おそらくは彼を護衛してる騎士達も。
手紙を持ってきたアリーも。
彼には仲間がいる。
仲間と共に、何かをしようとしている。
仲間…。
目標を同じとする者。
私には…、誰もいない。
笑っていたシェリーの顔から笑顔が消え、1人俯いた。
シェリーの話が真実だとわかった翌日、ディーとアランが瑠璃宮にやってきた。
「あ!ロイ!また1人で!狡いですよ!」
今日の護衛担当だったロイが、俺がソファで本を読むその膝枕でまったりしているのを見て、怒り出す。
「護衛の役得~」
ニヤニヤしながら、俺の腹部にグリグリと顔を押し付け、ディーがロイの騎士服の襟を引っ張りながら引き剥がそうとして、それにロイも抵抗する。
「ディーゼルちゃんはほんとやきもち焼きだなぁ」
アランが弟の行動に笑い、キースは苦笑する。
「今度ディーにも膝枕してやるから」
ロイとディーがムキーッ!と掴み合いになっているのを冷ややかな目で見ながら、呆れ声で言った。
「キース…」
アランがじっとキースを意味ありげに見つめ、体をソワソワさせる。
「はいはい…アラン様も今度ね」
キースも翔平と同じように呆れ声で答えた。
翔平もキースも、ほんとこの兄弟は行動が似てる、と思った。
「方針が決まった。彼女は簒奪とは無関係として、協力することになった」
ダイニングテーブルに座り、アランが言った。
「本来であればシェリーに協力する義理はないんだ。
個人的な復讐に加担するなんて、本当はさせたくない」
腕を組み、眉間に皺を寄せて俺をじっと見る。
「だが…今回に限ってはシェリーに協力する」
ため息混じりにアランが言った。
「父もサイファーも、ジェロームには辟易してたんですよ。
侯爵という地位にありながら、全く仕事もせず、己の権力の維持だけに固執して…邪魔でしかない」
「さっさと爵位を譲って引退して欲しいんだが、後継もなぁ…」
はぁとアランが溜息をつく。
「シェリーが優秀過ぎて、領地管理や侯爵本来の仕事は完璧だしな」
なんとなくわかっていたが、本当にあのジェロームという男は低能で、誰しもがため息をつきたくなる人物なんだと、改めて思った。
「実はな…」
アランが身を乗り出して声を低くする。
それに釣られて、俺もロイもディーも、キースですら身を乗り出し、全員の頭が寄せられる。
「元々ジェロームには密かに監視をつけて、その行動を逐一報告させていたんだ」
「ジェロームを失脚させるネタ探しか」
「ネタってお前ね」
ロイの突っ込みにアランが苦笑する。
俺は逆にそこまでジェロームを必要としていないんだと苦笑した。
「まぁ、その通りだがな。
だが、あいつは全く犯罪には手を染めん」
「小心者で、生来の臆病者ですからね」
「安全圏内でしか甘い汁を吸わない」
「だからシェリーも今まで何も出来なかったんだな」
全員が黙り込む。
そんな臆病者で安全圏にいるジェロームをどうやって嵌めるというのだろうか。
全員の表情がそう語っていた。
「シェリーには、何か考えがあるんだろうな」
全員の視線が俺に集中する。
「俺が協力しないとあいつは手を出せないって言ってた」
「どういうことですか?」
キースが首を傾げる。
「シェリーに協力内容を言われたわけじゃないけど…。
多分…多分な、俺があいつに気があるフリをしろってことだと思う」
「!」
「な!」
全員が俺の顔を見て驚いていた。
「はぁ!それってお前からあいつを誘えってことか!?」
「そこまでかどうかはわかんないけど、とにかく一線を越えたくなるように仕向けるってことじゃないかと…」
全員の顔が、うわぁ、と顔を顰めた。
シェリーは、夜会でお茶会で誘いを巧みにかわす俺を見て、ジェロームには俺を落とすことは絶対に無理だと判断したと言っていた。
聖女はきっと権力や金にも靡かない。
それしか武器のないジェロームにとって、俺は一番厄介な相手なんだと、そう思った。
「まぁ…その可能性はあるか…」
顔を顰めながらアランが呟く。
「それしか、方法はないんでしょうか…」
キースが思い切り顔を歪ませて嫌そうに言う。
「いや、シェリーにそう言われたわけじゃないよ。まだ内容を聞いてないし…。
だからもう一度話をする機会が欲しい。出来れば何か連絡出来る方法も」
「そうだな…」
アランがふむ…、と顎に手を当てて考え始めた。
1人でブツブツと呟いて考えている姿を見てクスッと笑う。
だがすぐにピコンと頭の上に電球が光ったように、表情が明るくなった。
何か思いついたらしい。
「おい、ディーゼル」
ものすごく楽しそうな表情で、可愛い弟を見る。
「お前、ショーヘーとデートしてこい」
「え」
「はぁ!」
ディーは一瞬でヘラッと口元を歪め、ロイは犬歯を剥き出しにした。
「俺は!?なんでディーだけ!?」
アランに詰め寄ろうとするのを、ディーがヘラヘラしながらまぁまぁと押さえ込む。
「明後日、お前アントニーと遠乗りに行くだろ?」
「行かない!キャンセルで!俺もショーヘーとデートする!!」
「我儘言うな」
「明後日、ショーヘイさんとデートして来ていいんですか?」
「ああ、行ってこい」
アランがにこやかに言った。
ロイがギャーギャーと文句を言う。
「不公平だ!俺にもデートさせろー!」
ロイの叫びが木霊した。
アランが考えたのは、街中でシェリーと会うことだった。
シェリーは、たまに息抜きをするために認識阻害の魔法をかけて街中を散策しているらしい。
侯爵令嬢でありながら、平民の暮らす街中を出歩くのは危険極まりないが、それでもシェリーは1人の供だけをつけて、市街地を散策し、平民と同じ食事をし、買い物を楽しむのを趣味にしているという。
それを知っていたから、こちらもその散策に同行しようと考えたらしい。
「シギアーノ邸に潜入している黒に日時と落ち合う場所を伝えてもらうから、お前達2人で行ってこい」
アランがニヤニヤとディーゼルを見る。
「お前は彼氏兼護衛だからな」
ニカッと笑ったアランに、ディーが嬉しそうに兄に抱きつく。
「兄さん、ありがとう」
その弟に、アランの顔がデレッと歪み、あ、ご機嫌取りだな、とブラコンのアランに呆れた。
ロイはすっかりいじけてしまい、テーブルに突っ伏し、ずっと泣き言を言っていた。
こうして、シェリーに協力して、ジェローム失脚の手伝いをすることになったわけだが、シェリーの最終目的である世襲制度の廃止について触れてくることはなかった。
報告の時に自分で、この際置いといて、と言ったのだから、こちらから話を振るわけにも行かないし、王家や貴族、この国の慣習に関して俺が口を挟むわけにも行かない。
きっと俺とは関係のない別な所で、シェリーの件は話し合いが行われているはずだ。
だが…、俺はロイとディーと結婚する、はずだ。
これから先は決して無関係とは言えない。
今すぐの話ではないが、きっといつか話してくれるだろうと、そう思うことにした。
今は、シェリーに早く会って、協力すると、ジェロームの件に関しては仲間だと伝えたい。
1人じゃないよ、とそう言ってあげたいと思った。
2日後、瑠璃宮のロビーで、狩猟スタイルのロイが項垂れる。
「狡い、狡すぎる。俺もデートしたい」
ロイがブツブツと呟く。
「ロイ、ごめんな。今度絶対お前とデートするから」
泣きそうに項垂れるロイの頬を挟むと、自分からキスする。
「絶対だぞ。約束だからな」
「ああ。約束」
そっとロイの手を取って小指を絡ませる。
「?」
「指切りって言ってな、俺のいた国で約束する時にこうやるんだ」
そして、歌を歌って小指を離す。
「針を千本飲むのか」
「飲まないよ。比喩だよ比喩w」
笑いながらロイを抱きしめる。
「行ってらっしゃい。ちゃんと狩りの仕方を教えてくるんだぞ」
「デートしたいよぉ…」
「わかったわかった」
ポンポンと背中を叩いて慰める。
「チューしていいか?」
「仕方ないなぁ」
そう言って、キスを受け入れた。
重ねるだけの長めのキス。だが、いきなり舌を入れられ、そのまま絡め取られて吸われる。
「ん!」
チュルッジュッと舌を嬲られると、ゾクゾクと背筋に快感が走る。
ゆっくりと唇が離れると、唾液が糸を引く。
「続きは今夜ベッドで…」
耳元で囁かれ、そのまま舐められると、強烈な快感と鳥肌が立ってしまう。そして全身を真っ赤に染めた。
「は、早く行け!」
「行ってきます」
ロイが笑いながら玄関を出て行き、真っ赤になった顔を両手で押さえて擦る。
「ラブラブねぇ…」
目の前でいちゃつかれて、フフフとアビゲイルが鼻で笑った。
「ラ、ラブ、ラ!」
舌を噛んだ。
「では我々も行きましょうか」
ディーがススっと近付いて俺の肩を抱き、ロイのキスに対抗するようにキスをされた。
以前シャルルに行った時のように、一般の馬車を使う。
俺の髪は水色に、ディーは茶色に、アビゲイルは金髪になっていた。
3人とも平民の服を着ているが、俺はともかくとして、ディーもアビゲイルも美人過ぎて全く平民に見えない。
俺のそばで微笑まれるとその美貌が眩しくて思わず目を細めてしまう。
アビゲイルはズボンを履き、万が一のための護衛という形になるが、俺とディーがデート途中にシェリーに会うという設定のため、シェリーにもアビゲイルが同伴者になるという設定を用意した。
「まずは、アビーが声をかけます」
「カフェでたまたま相席して、私がシェリーをナンパするわ」
たまたまを強調して言う。
「ナンパって…」
認識阻害の魔法をかけているので、誰も気にしないはずだ。なのに、細かい設定を決めたアランに苦笑する。
アビーがシェリーをナンパしてカフェから連れ出し、散策中に偶然知り合いの俺達に会う。
そしてダブルデートと洒落込むわけだ。
「アラン、絶対面白がってるだろ」
「そうね。遊んでるわね」
アビゲイルがクスクスと笑う。
「でも、面白そうじゃない?シェリーもきっと可愛いわよー」
アビゲイルが鼻歌まで歌い出しそうな勢いでウキウキしている。
美しい2人に、可愛いシェリー。
その3人が揃った時、俺はどう見たって引き立て役だ。3人の荷物持ちにしか見えないだろうと、乾いた笑いを漏らした。
「でも…、サイファーもアランも、さすがだよな…」
「何がですか?」
「策士だってことだよ」
ディーとデートに行け、と言われて、ディーが一緒だと、シェリーが警戒するんじゃないかと思った。
それを指摘したら、鼻で笑われてしまった。
シェリーはとっくに俺がジュノーであることも見抜いていると。
俺たちが簒奪者や黒幕について探っている、そこまでは把握出来ていないだろうが、王家がジュノーを使って何かしようとしているのは、もうとっくに気付いていると。
だからこちらも多いにシェリーを利用させてもらうつもりだ、とアランは笑った。
まるで狸と狐の化かし合いだ。
頭を使った戦いについていけない、とはぁとため息を漏らした。
シェリーもアリーを伴って邸宅を出る。
「アリー、カフェに着いたら戻っていいわよ」
「そういうわけにはいきません。
そばには行きませんが、付かず離れずご一緒させていただきます」
ニコリとアリーに微笑まれたが、シェリーは監視のためね、と苦笑した。
シェリーもアリーも、平民の服を着ている。髪色も変え、認識阻害魔法も完璧に施した。
聖女からの手紙には、デートのお誘いが書いてあった。
聖女も相手を連れ、私にも相手を用意してくれると。
ダブルデートという体で街中を散策し話をしましょう、との内容に驚き、そしてなぜか気持ちが昂った。
気晴らしに街中によく1人で遊びに行っていた。流石に供の者をつけるが、付き従うだけで、話などしない。
実質的には1人でブラブラし、美味しいものを食べて、可愛い小物を買って、歩き回るのが好きだった。
その時だけは、日頃の重圧から解放される。密かな楽しみだった。
こんなことをしてるなんて周囲に知れたら、必ず馬鹿にされ蔑んだ目で見られる。
だが、社交界では味わえない自由な時間は、私にとってはとても重要だった。
まさか、こんな風に誰かと街を歩くなんて。
馬車の中でクスッと1人笑った。
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