おっさんが願うもの

猫の手

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王都編 〜観劇〜

126.おっさん、被害者を治療する

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 訓練を終え、ぐったりした状態で瑠璃宮に戻る。
 体中の色んな筋を伸ばされてギシギシと音を立てているような感じがした。
 痛みはヒールを使えばすぐに消えるが、キースに痛みを軽減する程度ならいいが、完全に取り去ることはしない方がいいと言われた。
 人体の不思議、というやつなのか、痛みがすぐに消えると体が覚えてしまうのだそうだ。そうなると、これ以上は無理というラインを簡単に越えてしまい、逆に怪我をすることになると教えられた。
 確かに、痛みはすぐに消せるから多少無理してもいいと考えていた自分に気付かされ、ゾッとした。
 壊れてもすぐに直る(治る)、そんな物のように自分の体を扱うようになってしまわないように、痛みを残すことにする。

「大丈夫か、歩き方が変だぞ」
 後ろからグレイに半笑いで声をかけられ、柔軟体操の股裂が後を引いて、ガニ股歩きになっているのを指摘された。
「股が痛いんだよぉ…」
 股関節が痛くていつのようにスタスタと歩けずゆっくりと歩く。
 そんな俺を後ろから見ていたグレイとオスカーが肩を震わせて笑っていた。

 ゆっくりした足取りで、訓練場に向かった時よりも倍の時間をかけて戻った。
「帰ったらマッサージしましょう。
 それで痛みはだいぶ和らぎますから」
 キースがニコリと微笑む。

 これが本当の飴と鞭か。

 と、キースの言葉に乾いた笑いを漏らした。




 庭園を抜けあと少しで玄関、というところでハプニングが起きた。
「聖女様!!!」
 突然背後から声をかけられて、思わず振り返ったが、それよりも先にグレイとオスカーが声の方へ飛び出し、男を組み伏せる場面を見た。
 そして視界を遮るように、キースが俺を背に庇う。その袖からは漆黒の剣が現れていた。
 たった1、2秒の出来事に混乱しかかるが、すぐに誰かが俺を襲おうとした?と気付く。
「何をする!離せ!」
 グレイとオスカーに飛びかかられて、地面に倒された男が暴れる。
 その手に持っていた薔薇の花束から花弁がヒラヒラと舞い散って行く。
「私は聖女様に会いにきただけだ!」
「トラヴィス・ベッカーだったな」
 グレイがトラヴィスの両腕を後ろ手に拘束したまま立ち上がらせる。持っていた花束が地面に落ちた。
 名前を聞いて夜会でも声をかけられたな、と思い出した。
 名乗りもせずプレゼントは気に入ったかと馴れ馴れしく声をかけてきた、ベッカー子爵家の4男。すでに廃嫡されたルメール伯爵家4男イライジャの遊び仲間。
 今回も名乗らずに俺に近づいてきたのか、と脱力する。
「一介の騎士風情が貴族である私になんたる仕打ちを!」
 両腕を拘束しているグレイに怒鳴るが、夜会の時と同様、自分を威圧しているグレイに怯んでいる様子だった。
 キースがカシャンと剣を袖にしまうと、俺にここにいてくださいと言い、スタスタとトラヴィスに近付く。
「トラヴィス様。
 貴族だとおっしゃるなら、きちんと手順をお踏みください。
 申し込みをし承諾を得て初めて面会が叶うのです。そのくらいご存じでしょう?」
「っは。何度も面会の申し込みをしているが、都合が悪いと断られるばかりではないか!
 だからわざわざこうして会いにきてやったんだ!」
「ですから、突然来られても困るのです」
 キースがにこやかに、静かに答える。その目の奥は笑っていないが。
「この俺に待てというのか」
「そうです。皆まさにお待ちいただいております」
「っは。よく言う!
 昨日、ヴィンス・リンドバーグと芝居を観に行ったそうではないか。
 なぜあいつが良くて俺が駄目なんだ」
 同じ子爵位の息子である自分にもその権利があると叫ぶ。
「この際ですからはっきり申し上げましょう」
 キースの声が冷たいものに変わる。
「貴方がいくら面会を申し込まれても、それは到底叶わないとお察しください。
 貴殿のお仲間であったイライジャが何をし、彼がどうなったのか、ご存じでしょう?
 お諦めください」
 はっきりとトラヴィスに告げるのと当時に威圧の魔力を込めた眼差しを向ける。
「…貴様…執事の分際で…」
 トラヴィスの顔が真っ赤になり、彼から魔力が放出された。
「おっと、やめておけ。
 ここでそんなことをすれば、本当にただではすまんぞ」
 オスカーが身につけていた暗器を抜き、その顔面に刃を向ける。
「たかが騎士の分際で貴族である私に…」
「貴族、貴族とやかましいな。
 それならお前に合わせて言ってやるが、今この場にいる誰よりもお前が一番下位の立場だぞ。
 俺は帝国公爵家の出で、グレイも伯爵以上の叙爵が決まっている。
 さらにお前が貶したキースは…わかるだろ」
「……」
 その言葉を聞いて目が泳いだ。
 アランとキースの関係は、貴族から王城に勤務する一般人に至るまでは周知の事実。アランがいかにキースを大切にしているのかは誰でも知っている。
「諦めろ。チャンスは1ミリもない。お前も、お前の仲間たちもだ」
 グレイが言い、脱力し抵抗する力をなくしたトラヴィスの腕を離した。
「今回の件は正式にベッカー子爵家へ抗議させていただきます。
 また金輪際貴方様からの贈り物、お手紙等は受取を拒否させていただきますのでご了承を」
 最後にキースがとどめを刺し、オスカーも暗器をしまうと離れた。

 3人がへたり込んだトラヴィスから俺の元へ戻り、そのまま瑠璃宮の中に入った。
 キースが窓からトラヴィスの様子を伺い、彼がゆっくりと立ち上がり、ふらふらと立ち去っていくのを確認した。

「全く。あんな輩が貴族だとはね」
 オスカーが苛立ったように舌打ちした。
「…オスカーって貴族だったんだ」
 じっとイケオジの顔を見つめて聞く。
「ああ、言ってなかったか?
 俺は帝国公爵家の次男でな。サイファーの嫁さんになっちまったダリアと一緒にこの国に来たんだ。
 ここは居心地良くてよ。そのまま居着いちまったってわけだ」
 そう言った後にワハハと笑う。
 帝国出身でダリアと一緒に来たというのはキースから聞いて知っていたが、貴族だとは知らなかった。
「まぁ、俺自身が爵位を持ってるわけじゃねーし、しがない次男坊なんだけどよ。公爵は兄貴が継いだしな。
 それを考えると、俺も輩と変わんねーか」
 そう言って豪快に笑った。
 今までのオスカーの言動や立ち居振る舞いを思い出してみると、確かに貴族らしい所も多々あったと気付いた。

 自室への階段をヒーヒー言いながら上がりつつ、さらに話を続ける。
「グレイの叙爵って…、ジュリアさんと結婚するからだよな」
「あー…まあ…、うん…まだ、予定、だが…」
 グレイが顔を赤くする。
「叙爵を受けるのはジュリア様ですが、その伴侶になられるグレイ様も同様とみなされますので」
 キースがニコリと笑い、伴侶と言われたグレイがますます顔を赤くして照れた。
「グレイの奴、官舎と王都のイグリット邸を行ったり来たりしてんだぞ」
 ニヤニヤしながらオスカーがバラす。
「え!?何!?もうそんなことになってんの!?」
 グレイが噴火しそうなほどさらに赤くなり、湯気を頭から出す。
「グレイく~ん、その辺の報告を聞いておりませんぞ~」
「いや、べ、別に隠していたわけじゃ…」
「ちょうどいい。昼飯食ったら、グレイの報告を聞こうや」
 オスカーと俺にニヤニヤと下世話な笑いで詰め寄られ、グレイが赤い顔のままぐぬぬと口を結んだ。

 とんだハプニングから、思わぬ幸せ報告を聞けることになって、ウキウキした。



 夕食後、自室でまったりと寛いでいると、当然のようにロイとディーが遊びに来る。
 ロイの尻尾が嬉しそうにパタパタとひっきりになしに動いているのを見たオスカーが、まんま犬だな、と笑った。
「はぁ、落ち着く」
 そしていつものように抱きついて顔を寄せ俺の匂いを嗅いでいた。
 そんな2人に昼間あったトラヴィスの件を教えると2人ともピキピキと額に青筋を立てて怒っていた。

「ああ、そうだ。思い出した」
 昼間、後で確認しようと思っていたことを思い出した。
「コークス家ってどうなったんだ?」
「ああ…コークスね…」
 ディーの表情が曇る。
 コークスのやったことを聞いて、俺が嫌な思いをするだろうと思って言い淀むが、教えてくれた。
「今もまだ捜査途中ですが、実際に奴隷にされた者の証言や書類上の証拠も見つかっていますので、確実に有罪です」
「ってことは、お取り潰しか」
「そうなりますね。ほぼ一族全員関わっていましたから。
 長男、長女の伴侶も関わっていて、唯一、末子の次女だけは行為そのものに加担していませんでした。ですが知っていて黙認していたので同罪ですね」
 コークス一族が犯した罪については以前触りだけ聞いたが、その一部だけでも酷い内容だった。
「家長のレイ、長男は死罪だろう。その伴侶もだ。
 ロドニーも例の件で死罪は免れん。」
 死罪という言葉に眉根を寄せる。

 だが、それだけのことをコークス家は行ってきたんだろう。
 奴隷という言葉から俺が連想する酷い内容をそのまま実行していた。さらに、その蛮行で亡くなった人もいるといるんだろうと思った。

 ロドニーも家族が行う蛮行を幼い頃から見てきたはずだ。彼自身その行為に加わったかどうかは別として、聖女教会という歪んだものに取り憑かれたのも、小さい頃から目にし、家族によって刷り込まれた性癖があったからではないかと思った。

 詳細を聞こうと思ったが、それを知ることに俺の精神が耐えられないと思い、聞くのをやめた。
 ただ。

「助け出された人たちは…?」
「今も治療中ですが……。
 駄目ですよ。貴方の力を使うことは出来ません」
 ディーが答えるが、慌てて俺の考えを否定するように言う。
「なんで。そのための聖女だろう」
「ショーへー。はっきり言うが、おそらくお前には耐えられない」
 ロイが俺の目を見て言った。
「耐えられないって…どういう…」
 言いかけて口を噤む。
 助け出された奴隷達は、言うなれば全員がレイプ被害者。俺もその被害にあいかけたことを思い出し青ざめた。
 しかも普通のレイプではない。性奴隷として強制的な性行為以外にも数々の暴行を受けているのは想像できた。
「わかるな?」
 俺に被害者を見せられない、それだけ被害者達が酷い状態であると理解した。
「…でも…俺は…」
 俯き、顔を歪ませる。
「大丈夫だ。ヒーラーを総動員して治療にあたっている」
「ええ。魔導士団や騎士団からもヒールを使える者が集められているんです」
 オスカーとディーが慰めるように言ったが、俺は理解出来ても納得は出来なかった。

 何のための聖女か。
 何のための力か。
 この国の人達を癒すと誓ったんじゃないのか。

 顔を両手で覆い、俯くと考える。
「そんなに酷い状態なら、ますます俺の力が必要なんじゃないのか」
 吐き出すように言った。
「…ショーヘイさん…」
 ディーがそっと俺を横から抱きしめる。
「貴方に辛い思いをさせたくないんです」
「被害者には辛い思いをさせていいってことか」
 売り言葉に買い言葉のような言い方をしてしまい、顔を顰めた。
「ショーへー…」
 ロイも俺の背中を撫でる。

 たとえ俺が精神的にダメージを受けたとしても、それは時間が解決し癒してくれる。
 今もなお苦しんでいる人の治療を優先しなければ、俺の、聖女の意味がない。
 俺ならきっと被害者を治療出来る。

 やるべきことをやろう。

「キース」
 顔をあげ、キースを真剣に見つめた。
「被害者の治療の手筈を整えてくれ。怪我の状態と人数を把握したい」
「ショーヘイ様…。治療の許可が下りないかもしれませんよ」
 キースも賛成出来ないと暗に言う。
「レイブン様に直談判してもいい。
 被害者を治療する」
 その俺の言葉に、何人かがため息をついた。
「ショーへー」
 ロイがポンポンと俺の背中を優しく叩く。
「やっぱりショーへーだよな」
 ロイが苦笑しながら俺を見つめた。だが、すぐに真顔になる。
「いいか。覚悟しろ。相当酷いからな。
 騎士ですら顔を背けたくなるような状態だ。
 被害者を見て、無理だと思ったらすぐに止めろ。それに、こっちで無理だと判断した場合も止めさせる」
「ロイ」
 治療に反対だったロイが一変したことに、ディーが反発する。
「わかった。それでいい」
 頷きながらロイに返事をした。
「聖女か…」
 オスカーが呟いた。その表情はどこか安堵したような気持ちも込められていた。
「ショーへー、前にも言ったかもしれんが、お前の護衛につけて心から光栄だと思う。
 尊敬するよ」
 微笑みながらオスカーに言われ、頬を染めながら照れた。
「俺は、俺の出来ることを…」
「心配なんだ。お前が自分で自分の首を絞めることになるんじゃないかって。
 だが…、ショーへーらしいな」
 グレイが苦笑しながら言う。
「心配してくれてありがとう、グレイ」
 ディーも以前から思っていたことだった。翔平の優しさは本人自身を苦しめると。
「ショーヘイさん」
 ディーはそれ以上何も言わず、ただギュッと翔平を抱きしめる。
「はっきり大丈夫、なんて言えないけど、凹んだら助けてくれよな」
 ディーを抱きしめ返しながら、その背中を撫でる。
「ロイ、ありがとう。信じてくれて」
 そして、ロイにも抱擁して感謝した。
「わかりました。手配します」
 キースも優しく微笑み、俺の肩に触れる。
「貴方にお仕え出来て光栄です」
 そう言って破顔した。




 

 2人の手が優しく俺の肌を這う。
「ん…」
 チュッ、チュルッと音を立てて舌を絡ませ吸われると、ゾクゾクと快感が背筋を駆け抜けた。
 2人に変わるがわる濃厚なキスをされ、受け入れて、頭の芯が痺れてボーッとした。
「愛してる」
「愛してます」
「ん…お、れも、愛して、る」
 ロイの舌先が乳首に触れ、遊ばれるように舐められるとピクピクと快感に反応した。
 ディーに唇を塞がれ舌を奪われたまま、ロイが口で乳首を、手でペニスを愛撫されてくぐもった喘ぎを漏らした。
 ジクジクと痺れるような疼きがアナルと腹の中を襲い、足をもじもじさせた。
「欲しい?ショーへー」
 指でアナルを突かれて、ほんの少し指を挿入されただけで、喘ぎが大きくなった。
「き、聞くな」
 恥ずかしさに耳まで真っ赤になりながら抗議するが、その耳をディーに舐められ、耳穴まで舌で犯されると、ビクビクと体が跳ねた。
「ふぅ、ん」
 くすぐったさと快感が入り混じった感覚に体を捩り、ギュッと目を閉じた。
「可愛い…」
 耳元で囁くディーの声にも反応し、ふぅふぅと熱く荒い息を吐いた。

 背後からディーに支えられ、ロイをアナルに受け入れて揺さぶられる。
「あ!あ、はぁ、あ」
 ディーに執拗に首筋や耳を嬲られ、手で胸を揉まれて乳首をいじられる。
 ロイが俺の腰を掴み、奥をトントンとノックするように突かれると、腹の中から湧き起こる快感に俺のペニスから蜜がとめどなく溢れた。
「んぅ…ん」
 ディーと深いキスを繰り返し、乳首を弄られ、ロイが俺のペニスを自分の動きに合わせて扱くと、その強烈な快感に耐えられず、すぐに絶頂に達した。
「はぁ…」
 絶頂の余韻にビクビクと体が跳ね、その後すぐに俺の中に射精したロイの熱い精液にも体が反応した。
「ふ…」
 ロイが短いため息をつき、ぬぽんと音を立てて引き抜き、そっと自分の膝の上から俺の腰をベッドの上に下ろす。
 ロイのペニスは射精直後にも関わらず、まだ天を向いて張り詰めていた。
「ディー」
 俺の唇や頬にキスを落とすディーをロイが呼び、場所を交代する。
「んぁ…」
 片足を持ち上げられ、大きく張り詰めたディーのペニスをアナルにキスさせ、クチュクチュと音を立てた。
「あ」
 その濡れた音と、挿入される期待に興奮し、小さく体を震わせた。
 クプリとその先端が挿入される。
「ふ…うぁ…あ」
 ゆっくりと、だが確実に奥に入ってくるディーにゾクゾクとした快感が全身を走り、シーツを握りしめた。
「ん、あ、あ」
 トチュットチュッと優しく突き上げられる度に嬌声があがり、熱い吐息を漏らす翔平をロイがうっとりとした表情で眺めた。
「ショーへー…」
 翔平の頭を、頬を撫で、唇を指でなぞると、顔にペニスを近づけた。
「はぁ…」
 途端に強くなったロイの雄の匂いに反応し、翔平は上半身をひねるとその手でロイのペニスに触れた。
 手でゆっくりとロイのペニスを包み、撫で、指で鈴口から溢れる蜜を掬い取る。
「ぁ…」
 頭上から聞こえるロイの喘ぎにも興奮した。
 口を開け舌を突き出しロイのペニスの裏筋を舐め、チュウと鈴口に吸い付く。
「ん、ん」
 そのまま口に含んで舌で亀頭部分を舐めた。
「はぁ…あ、ショーへー…」
 ペニスを頬張る翔平の頭を優しく撫で、必死にしゃぶる翔平を愛おしそうに見つめた。
 タン、タン、と翔平の片足を抱え、ゆっくりだったディーの突き上げが強くなると、その体の揺れに合わせて自然に口淫も強くなる。
 上顎にロイの鈴口が擦りつけられて快感が湧き起こる。
「ショーヘイさん…はぁ、あ」
 濡れた音が大きくなり、奥を突く動きも早くなってディーも絶頂が近いことを知らせた。
「ん!ん!あぁ!」
 その快感の強さに、口からペニスを離し、嬌声が上がる。
 ペチンとロイのペニスが翔平の頬にあたり、そのままディーの突き上げに合わせて、何度も顔にぶつかった。
「出ます」
 グンと一際大きく突き上げ、翔平の中に精液を放つ。
「ん!」
 腹に注がれた熱さにゾクゾクと快感が走った。
「ショーへー、口開けて」
 そう言われ、素直に口を開けた瞬間、ビューッとロイのペニスから精液が放たれた。
 白い白濁した精液が口に、顔に注がれて、一瞬意識が飛ぶ。
「あ…」
 どろりと口から溢れる精液を舐め、その味に顔を顰めた。
「ごめ…」
 ロイがすぐにベッドの傍らにあったガーゼタオルを手に取って、顔や口を拭こうとするが、その手を遮ったかと思うと黙って口を閉じ、口の中にあった精液をゴクリと飲み干した。
 そして、はぁ…とうっとりした恍惚な表情を浮かべる。
 その翔平の姿を見た2人の背筋にゾクゾクと電流のような衝撃に近い快感が走り、一気に復活を遂げる。
「ショーヘイさん、お風呂入りましょうか」
「へ?」
 余韻に浸ってうっとりしている所を突然言われ、変な声を出した。
「わ」
 ロイに姫抱きに持ち上げられると、そのまま寝室をでてバスルームへ連れて行かれる。
 ディーが湯船の水をぬるめのお湯に変えるのを待つ間、ロイが抱きかかえた翔平へチュッチュッとキスの雨を降らしつつ、顔面や髪にかかってしまった精液をクリーンで綺麗に取り去る。
「いいですよ」
 振り向いてロイに声をかけ、ロイが俺を抱いたままバスタブに入った。
 ザバァと音を立ててお湯が溢れる。
「もうちょっと寄ってください」
「流石に3人は無理だろ」
 大きめとはいえ、男3人では狭すぎると思って言ったが、ロイの膝に座らされると以外にもかなり余裕で入れた。
「あー…気持ちい」
 俺の背後でロイが言うが、俺は尻に当たっているロイのペニスが気になって、それどころではなかった。
 向かい合わせに座るディーが微笑み、そのまま俺に近寄ると、頬に手を添え、親指で唇をなぞられた。
「ん…」
 そのまま口内に親指を入れられて、舌に触れられ撫でられるとゾクゾクとペニスが持ち上がる感覚を覚えた。
「ぁ…はぁ…」
 ディーの指で口内を弄られて、熱いため息を漏らす。
 そしてロイの両手が腰を掴み、上に持ち上げられた。
「あ!」
 アナルにロイのペニスが添えられた瞬間、一気に下に落とされた。
「ああ!あ」
 口内にあったディーの指を噛みそうになり、閉じられなかった口から嬌声が上がった。
 先ほどまで2人を受け入れていたアナルは柔らかく、簡単にロイの挿入を許した。
「あ、あん…はぁ…」
 ロイが腰を揺する度にパシャパシャとお湯が揺れ、バスタブの外へ溢れて行く。
「ショーヘイさん」
 そのままディーに口付けられ、舌を絡め取られた。
「ん、ん」
 腕を上げてディーの首へ回すと、もっとキスして欲しくて、自分から舌を突き出す。
 そして、ディーの手が俺のペニスに絡むと、自分のペニスと合わせた。
 お湯が揺れる音なのか、舌が絡む音なのか、水音がバスルームの中に響き渡る。
「ショーへーの中、熱くて、狭くて、食いちぎられそう」
 中を突き上げながらロイが熱い吐息とともに言い、次第に動きを激しくしていった。
 同時に唇も舌もディーに貪られ、合わせたペニスを両手で扱かれると、ガクガクと腰が痙攣するように揺れた。
「は…あぁ…」
 ブルブルと痙攣が激しくなり、目から快感の涙が溢れた。
「イ、イク…」
「いいですよ…イって…」
 耳を舐め、そのまま唇を奪い舌を絡ませながら強めに追い上げると、ディーを抱きしめる力が強くなり、体が大きく波打った。
「う…」
 絶頂により大きくうねり締め付けられたロイも小さく呻き翔平の中に射精した。
「はぁ…」
 クタッと脱力した翔平を受け止める。
 ざばりと翔平の体を腕の力だけで持ち上げ、ペニスを引き抜き体勢を変えた。
「悪ぃ。もうちょっと付き合ってくれな」
「も…無理…」
 ロイに正面から抱きしめられ、そのままキスを繰り返す。
 そして背後からディーを受け入れ、ロイに支えられながら突き上げられ、翻弄された。
 何度も強い快感に意識を飛ばしかけ、その度激しい突き上げに引きずり戻される。
「お、ねが、い、もぅ」
 フルフルと小さく震え、ポロポロと涙を流す。
 背後でディーの荒い息遣いが聞こえ、肩を甘噛みされた瞬間、再び絶頂に襲われ、中にディーも放つ。
 2人に前後から抱きしめられ、キスを受け止める。
「はぁ…もう、動けない…」
 崩れ落ちる翔平を2人で支え、湯船から出て丁寧に体を拭きながらクリーンをかける。
「眠い…」
「ああ、眠いな」
 クスクスと笑いながら、下着や寝夜着を着せて行く。
「ゆっくり寝ましょう」
 ディーも答え、先に寝夜着を着込み、ロイから翔平を受け取ると抱き上げ、寝室に運んだ。
「ロイ、ディー…」
 ベッドに寝かされ、2人にはさまれてポカポカと温まってくると睡魔に襲われるが、寝落ちしそうになりながらも2人を呼んだ。
「なんだ?」
「なんですか?」
「…大好きだよ」
 ほぼ瞼が閉じた状態で呟いた翔平に2人が嬉しそうに笑い、眠った翔平の頬に左右同時にキスをした。




 その2日後、翔平はコークスの被害者を治療した。
 その際最初のカミロ村よりも多く魔力を消費したため、丸2日間以上眠りにつくことになった。





※注意※
次話は拷問被害者の文章が入りますのでご注意ください。
本編の進行に支障はありませんので、苦手な方はお読みにならなくても大丈夫です。
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