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王都への旅路 〜自称婚約者〜
おっさん、誤解だと知る
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不貞寝を決め込もうと思っていたが、どうしてもムカムカと腹が立って仕方がない。
自分がこんなにやきもち焼きだなんて、初めて知った。
ムクっと起き上がり、手近にあった枕を掴むと手元に引き寄せ、思い切り殴る。
枕には申し訳ないが、怒りを抑える道具になってもらうことにして、ボスッバスッと両腕で交互に何度も殴り付ける。
「あの」ボスッ
「女」バスッ
「人の」ボソッ
「男に」バスッ
「抱き」ボスッ
「ついて」バスッ
「ムカつく!」ボスボスバスボス。
言いながら枕を殴り付け、ほんの少しだけイラつきが解消したような気がした。
「あ~あ、枕が可哀想」
いつの間に部屋に戻ってきたのか、突然、ふわっと後ろから抱きしめられつつ囁かれた。
すぐに声と匂いでロイだとわかって、カァッと赤くなる。
「ロ」
振り返って名前を呼ぼうとしたが、口を塞がれ、そのままベッドへ押し倒された。
すぐに舌が絡め取られて、濃厚なキスをされ、イライラが一気にどっかへ吹っ飛ぶ。
「ん…ん…」
覆い被さるように唇を塞がれて、何度も角度を変えて深いキスが続く。頭の奥がジンと痺れて、気持ちの良いキスにうっとりしつつ、自然とロイの頭を両手で包み、自分から引き寄せるようにキスをする。
「キス、気持ちいい?」
「うん…気持ちい…」
そう囁きながら、再び唇が重なり抱きしめ合って互いの唇を貪り合う。
唇が離れて上からロイに見つめられて、自分もその綺麗な顔を見つめたが、再びやきもちが蘇った。
「ロイ…婚約者は…?」
「俺にそんな奴いねーよ。あれはあの女の妄想」
「は?妄想…?」
ああ、と返事をしながら、唇を重ねる。
「婚約者じゃない、のか?」
「違う。あの女の存在すら、今の今まですっかり忘れてたわ。顔見ても思い出せなかった」
そう言われ、廊下でディーがマチルダと名前を言った後に気付いていたロイを思い出す。
「信じられないか?後でディーにも聞いてみろよ」
チュッと頬にキスをする。
「俺の婚約者はお前だ、ショーヘー。お前だけが俺の伴侶になるんだ」
婚約した覚えはないと思ったが、そう言われて頬を染める。
そんな自分に微笑むと、優しく頭を撫でられた。
「やきもち焼いたんだろ?可愛いな、俺のショーヘーは…」
そう言って重ねるだけのキスをする。
「ロイ…」
名前を呼び、キスの続きをせがむ。
「お前だけだ。ショーヘー、愛してる」
チュッと唇に、頬に、瞼にキスを落とす。
優しく、愛情がこもったキスに心がじんわりと熱くなり、目を閉じてキスを受け止める。
何度も何度も口付けを交わし、お互いの存在を確かめるように抱きしめあった。
「いちゃいちゃしてもいい?」
「…約束だからな…」
そう言って、ロイの顔に触れると、自分からキスをした。
ロイが笑顔になり、チュッチュッとたくさんのキスの雨を降らしながら、ロイの手が自分の体を弄り始めた。
「ん…ぁ…」
ロイの手が寝夜着の上から上半身を弄り、布越しに乳首に触れ、指の腹で何度も擦り上げると、フルッと翔平の体が震えて快感に身悶えた。
キュッと指で摘み上げ、指ではさんでクリクリといじると、ビクビクと翔平の体が跳ねる。
「あ、ぁ」
翔平の唇を舐めながら、寝夜着の上着をたくし上げると、布越しではなく直に乳首に触れ、唇から胸へ移動した舌先で乳首をつつく。
ジュル、チュプと音を立てて乳首に吸い付き、何度も舌と唇で愛撫しつつ、時々甘噛みすると、翔平から嬌声が上がって体がピクンピクンと跳ねた。
「んぁ…ロイ、ディーは?」
「まだ宿のオーナーの所」
今愛撫しているのは自分なのに、ディーの名前を出されてほんの少しだけ嫉妬し、意地悪するつもりで主張を始めていたペニスをギュッと握り込んだ。
「ヒッ」
布越しで強めに扱くと、翔平の腰が揺れる。
「あ、あん、ん」
ペニスを掴む手を外そうとするように翔平の手がロイの手を掴むが、反対の手で、ズルッと一気に下着ごと引き摺り下ろされた。
遮るものがなくなった翔平のペニスが外気に晒されてプルプルと震えるように存在を主張する。
「可愛い」
その竿を握り、鈴口にチュッとキスすると大きめの嬌声と共にビクンと大きく反応した。
そのまま口を開け、あーん、とわざと声に出してペニスを含む。
「あ!あぁ!」
ジュブジュブと頭を上下に動かして、少し乱暴に吸い上げ、唇と舌で愛撫すると、その性急な追い上げに翔平の手がロイの頭を掴む。
「ひもちひい?」
「あ、あ、咥えた、まま、しゃべ、な、あぅ」
「らって」
チュポンと口を離す。
「ショーヘーのここ、美味しい」
「食いもん、じゃねーっつの」
ゆるゆると手で扱かれながら、もじもじと体を捩り、足を閉じようとしたが、ロイの体が滑り込んで防ぎつつ、逆に左右に足を開かさせる。
どこかに忍ばせていたのか、キュポンと、ロイの手の中にあったローションの小瓶の蓋が開けられて、手に垂らすと、アナルの入口をなぞり、ゆっくりとほぐしていく。
つぷつぷと指を少し入れては出すというもどかしい動きに、すっかりペニスを受け入れることに慣れたアナルがキュンキュンと収縮を繰り返す。
「可愛い、ここ、欲しがってヒクヒクしてる」
ロイの言い方に、恥ずかしくてカアァッと全身を真っ赤に染めた。
「こんなにちっちゃい穴なのに、これから俺を受け入れて、広がって、食いついて、うねって」
「やめ、ろ」
言葉で煽られて、ますます全身を羞恥心が襲った。
言葉責めはほんと弱い。
恥ずかしくて恥ずかしくて、グルグルと眩暈がしそうな羞恥に顔を両手で覆う。
そんな翔平にクスッと笑うと、素早くズボンの前をくつろげて、己のペニスを出すと翔平に覆い被さった。
「あ!んぅ!」
まだ少ししかほぐしていないのに、挿入が始まって、圧迫感とひりついたような痛みが襲う。
「ごめん、ショーヘーが可愛すぎて、我慢出来ない」
腰を押し付けながら、翔平の体を抱きしめ上体を倒し、どんどん深く入ってくるロイに、ハッハッと短い呼吸を繰り返す。
ロイも服を脱ぐことすらもどかしいのか、ズボンを少し下ろしただけの状態で、奥へ奥へと入って行く。
「ん…あ…」
ゆっくりだが、確実に奥まで侵入するロイに、浅い呼吸を繰り返しながら受け入れる。
だいぶ奥まで挿入が終わると動きが止まって、ロイの恍惚としたため息が耳元で聞こえた。
「はぁ…すげ…気持ちい…」
自分を包み込み、締め付ける腸壁にうっとりと呟いて、その感覚を味わう。
「動くよ」
耳を舐められながら言われ、クンと腰を揺らされた。
「あ」
コツと奥にロイのペニスの先端がぶつかるような気がする。
「ん、ん、んー」
そのままキスをされ、舌を絡ませ合いながら、奥をコツコツとつつくように、軽く打ち付けられる。
その頃には圧迫感も小さな痛みもなくなり、アナルから押し寄せる快感の波に漂い始めていた。
「はぁ、あ、ロイ…」
激しくはない、優しい突き上げに翻弄されながら、ロイの首へ両腕を回し、キスをせがんだ。
そのリクエストに応えてキスを繰り返すと、それだけで中がうねって締め付けが強くなる。
ローションの力を借りて、ロイのペニスがぬちゅぬちゅと音を立てて抽送を繰り返す。
「ショーヘー、奥当たってるのわかる?」
ふいにそう言って、腰を揺する。
コツと奥をつつかれるような動きにコクコクと頷いた。
「奥、拓きかけてる」
「あ!」
少し強めに奥を突き上げられ、ゾクッとした快感に大きめな声を上げた。
「まだ、この奥まで挿れたことないんだけど…。もっと気持ち良くしてあげるから、受け入れて」
え、とその言葉に驚く。
「奥って…、え?」
奥をつく感覚がコツコツからゴツゴツへ変わり始め、そこにある壁をロイのペニスがノックするようにぶつかる。
「あ!んぅ!!」
奥にぶつかるたびに、腰から振動するような快感が突き抜け、声を何度も上げた。
「あ!あ“!も!無理!入らない!!」
「入るよ…もっと奥まで…」
ロイも呼吸を荒くして、アナルを突き上げるストロークを長くした。
入口ギリギリまで引き抜き、奥を抉るように突き上げる。
「んあ“、あ”、だ!め!!」
途中にある前立腺を擦り上げながら、奥の壁を突き破るように大きく動く。
そして、その奥の壁がロイのペニスの刺激に開き、何度目かの突き上げでロイの侵入を許した。
グポッと音がしたような錯覚を感じ、その衝撃と快感に悲鳴をあげた。
「!!!あ”!!あ“ーあ!あ」
ガクガクと翔平の体を跳ね、細かい痙攣を何度も繰り返し、その快感の強さに射精した。
最奥をロイのペニスが突き破った感覚とともに、今まで感じたこともない快感が全身を駆け巡る。
直腸を抜け、S字結腸まで到達したロイのペニスに体が痙攣し、ガクガクと震えが止まらない。
「あ…はぁ…何?…どー、なって…奥が…」
「全部入った…」
ロイが自分のペニス受け入れた最奥を感じて微笑む。ペニスの亀頭の先の部分を受け入れて、よりキツい締め付けに一度動きを止めた。
今まで、ペニスの根元まで完全に挿れたことはなかったが、初めて根元まで挿入出来て、感嘆の吐息を漏らす。
「あぁ…ショーヘー…いいよ…サイコー…」
最初はゆっくりと小さなストロークを何度も繰り返す。
やがて、大きなうねりへと変化して、最奥を突き上げた。
「あ“、あ”ぁ、あ“、あ」
ロイが動くたびに、悲鳴に似た嬌声をあげ、感じすぎて溢れた涙とともに、口を閉じることが出来ない状態で唾液が溢れて流れ落ちる。
ロイが最奥を突き上げながら、舌を絡ませて、唇を貪る。
「ん!んぅ!!」
舌を絡ませ、互いにキスを貪り合いながら快感の波に溺れる。
「あ“、あ!また、イく!」
「ん、イキそ…ぁ」
ロイが耳元で囁き、その快感に濡れた声と吐息の後、最奥に熱い精液を感じ、自分も再び射精した。
絶頂の余韻でピクピクと痙攣した後、クタッと力を失った翔平の腕がパタリとシーツに落ち、ほんの一瞬、意識が飛んだ。
「奥、気持ちいいいだろ?」
ロイにキスされながら、そう聞かれたが、快感が強すぎて乱れた呼吸のせいで返事が出来ない。
「あー!!」
突然聞こえた声に、ゆっくりと目線を部屋の入口に向ける。
「ロイ!抜け駆けするなんて!」
ディーが額に青筋を立て、怒りながら部屋へ入ってくる。
ロイが上半身を起こし、後ろを振り返る。
「ショーヘイさん、大丈夫ですか?」
翔平は寝夜着の上着を着たまま、ロイはズボンを少しだけ下ろした状態で、まだロイを受け入れたまま繋がったいる姿に、呆れたようにロイを見て、翔平の頬に触れた。
「ディー…」
翔平がディーを見つめる。
そのトロンとした快楽に呑まれたままの目に、ディーもムラッと欲望が湧き上がり、下半身が反応した。
「狡い!」
「お前がいつまでも話し込むのが悪い」
そう言いながら、ゆっくりとペニスを引き抜いていく。
「んぁ…あ、ぁ」
その動きにも翔平がピクピクと反応を返す。
全身をピンク色に染めた翔平の体、しっとりと汗ばんで、その胸や腹に飛び散った精液、上着がめくり上がってちらりと見えるプックリと存在を主張したピンク色の乳首に、ディーの欲望がどんどん膨れ上がる。
「ロイ!どいてください!」
ドンとディーがロイを押し退け、翔平の正面に回ると素早くペニスを取り出す。
「ガッつくなよ」
ロイが笑う。
「こんな色っぽい姿を見せられて我慢出来るわけないでしょう!」
茶化すロイにクワッと威嚇のような表情をした。
すでに大きく硬く張り詰めたペニスがビクビクと脈打つ。
「ショーヘイさん…いいですか…?」
それでも翔平の体を慮って、そっとその頬に触れる。
「…ディー…」
薄く目を開け視線をディーに向ける。
そして、頬に触れたディーの手にすりっと自分から顔を擦り寄せると、その手の平に唇を押し当てるように口付けた。
「ん…」
小さくコクッと頷いた、その翔平の行動と表情にズキューンと心を射抜かれ、ガバッと覆い被さる。
先端をアナルに当てがうと、吸い付くように密着し、クプッと音を立てディーのペニスを受け入れていく。
「あ…あ、ん」
ゆっくりと浅いストロークを繰り返して、前立腺を押し上げるように腰を揺らすと、翔平の体が小さく震えて声を上げた。
翔平の腕が上がり、ディーの体を抱きしめ自ら引き寄せ、キスをねだる。
「ん…ん」
唇を重ね、舌を絡ませながら、徐々に深く挿入し、奥を突き上げる動きに変わると、翔平の呼吸も上がってくる。
「あ、あ“、あ”ぁ」
「ん!」
ディーが奥を突き上げた瞬間、グプンと最奥への壁を抉り、ディーが思わず声を上げた。
その締め付けの強さにディーも感嘆のため息をつき、その最奥に向かって突き入れる。
「あ、だめだ、止まらな、あ」
ディーがあまりにも気持ち良過ぎて声を上げる。
「あ“!あ!あぁ!あ”ー!!」
「ショーヘイさん!」
何度も大きく突き上げた後、最奥に精液を解き放ち、翔平もまたとろりと精液をこぼした。
ビクビクと2人の腰が痙攣し、絶頂の余韻に浸りながら何度もキスを繰り返した。
「はぁ…」
ディーの腰がビクビクと何度も跳ね、最後の一滴まで翔平の中に注いだ。
「ショーヘイさん、愛してます」
チュッチュッと、何度も頬に唇にキスをする。
「ん…ディー…」
翔平もそれに応えて、キスを繰り返す。
「ショーヘーはほんとキスが好きだよな」
ロイが2人の情事を見届けて、笑う。
「ん、好き…、キス、気持ちいいし…」
そう言って、ディーと舌を絡ませた。
「ショーヘー、もっかい駄目?」
「それは却下で…」
翔平の快楽に呑まれた表情に、ロイがニヤニヤしながら言ったが、翔平に即答される。
「気持ち良すぎて、もう無理」
トロンとした目が少しづつはっきりとしてくる。
「ッチェ」
明らかに残念そうにロイが舌打ちする。
その様子にクスッと笑い、ディーが腰を引いて、ペニスの抜いて行く感触に、体を震わせた。
「はぁ…」
グッタリと気だるい疲労感に体を投げ出すと、ディーがクリーン魔法を使った。
「キスマークつけてないし、もう一回温泉行くか?」
「あー…、行く」
さっきは、やきもちを焼いて、あんまり満喫出来なかったことを思い出し、ディーに礼を言いつつ体を起こした。
「俺らもスッキリしたし、温泉でまったりするか」
「言い方」
そのロイに苦笑しつつ、再び寝夜着を着た。
再び3人で廊下を進み、温泉に向かう。
今度は廊下に使用人の姿はなく、ホッとした。目に見えてホッとしている自分の姿を2人に笑われる。
「なんだ、今から風呂か?」
温泉の出入口で、ちょうど出てきたグレイに会った。
「ちょっと色々あって、今からです」
「俺はもう入ったから、飯行ってくるわ。後で打ち合わせするだろ?」
「先に食べててください。後で行きますから」
「おー」
そう言って別れ、本日2回目の温泉を満喫する。
宿の食堂へ行くと、グレイも騎士達もそろそろ食事を終える所だった。
「お待たせしました。もう食べ終わりますね。先に打ち合わせしましょうか」
ディーが席につきながら話す。
「えー、食いながらでいい?」
「我慢しろよ、話が終わってからでもいいだろ」
ロイを宥め、注文と取りに来た使用人に、まずは飲み物だけを頼む。
それからすぐにディーが遮音魔法をかけると話し始めた。
「今夜にも雨は止むそうですが、街道の状況を考えて、もしかしたらもう一泊することになるかもしれません。」
そのディーの言葉に、全員が、やった、という嬉しそうな顔をし、ディーが苦笑する。
「斥候からの連絡待ちになりますが、王都まではもうすぐですし、急いで行く必要もないですからね。ゆっくり進みましょう」
運ばれてきた飲み物を口にする。
「ウィル、斥候からの情報は?」
「はい、報告します。
次の街で私たちの任務は終わりになります」
その言葉に、騎士たちがえー!!と声を上げた。
「なんで!?王都までの護衛じゃないんですか!?」
「事情が変わりました。
殿下、こちらを」
そう言って、ディーに書簡を手渡す。
受け取ったディーが王家の家紋の封蝋を切り、中を取り出して確認する。
じっと黙ってディーが読み終わるのを待つ。特に騎士達はもうすぐ任務が終わると告げられて、その内容を固唾を飲んで見守った。
読み進めたディーの眉根がどんどん寄せられ、読み終えたころには、完全に眉間に皺を寄せていた。
手紙をロイに渡しロイも読み始めた。
「次の街、王都の隣街のカレーリアで護衛任務を騎士団第1部隊へ引き継ぐようにと」
「えー!」
アシュリーが叫ぶ。
「第1部隊全員っスか?」
「そうです。今から3日後にはカレーリアに入るそうです。
今ここで足止めされたので、我々が街に入るのは4日後になりますが」
「まさか、聖女絡みか」
グレイが珍しくピンと来て呟く。
「御名答。ショーヘイさんを聖女として迎え入れると。
すでに王都では聖女が数日後に到着することが広まり、準備が進められているそうです」
話の流れが変わったことに、自分も顔を顰めた。
またあの聖女ごっこをしなければならないのかと考え、うんざりした気分になる。
「結局、国民にとったらジュノーよりも聖女の方が馴染み深い。
ジュノーの知識は国や商人にとっては有益なことだが、国民にその知識が還元されるまでには時間がかかる。その分ありがたみがな」
ロイが、読み終わった手紙をロイへ返しながら、失笑しつつ言った。
「国民へのアピールに使われるってことね…」
ボソッと呟く。
「察しが良くて助かります」
自分の言葉にディーが苦笑しながら答える。
「要するに、ショーヘーを王家のイメージ戦略に利用するわけだな」
グレイが呆れたようにずばりと言い、ディーがさらに苦笑いした。
「申し訳ありません、ショーヘイさん」
「ディーが謝ることじゃないよ。
国民にしたら、ジュノーよりも聖女の方が嬉しいってことだろ?
喜ばれるならそれでいいんじゃないか?」
そう言いつつ笑うが、少しだけ微妙な笑みになってしまった。
「ショーヘーさん、ジュノーで聖女で大変だ…」
クリフがボソリと呟く。
その言葉に思わず笑った。
「大丈夫だよ。何も取って食われるわけじゃないし」
「ショーヘーなんか食ったら腹壊すぞ」
ロイの茶化した言葉に全員が笑った。
「そっかぁ、この旅ももうあとちょっとで終わりかー…」
アシュリーとイーサンが大きなため息とともに、項垂れる。
旅ではなく、本来は護衛任務なのだが、その辺は誰も突っ込まない。
「すごい楽しかった…」
アーロンが感慨深げに呟く。
「楽しかったですよねー…。もうずっとこのまま一緒に旅をしたいです…」
はあぁとクリフがため息をついた。
「おいおい、お前ら、騎士の本分を忘れてねーか」
グレイが笑いながら項垂れる騎士に言うが、彼らの気持ちは良くわかる。
自分も3ヶ月以上ずっと一緒に旅をしてきて、彼ら以上にもう終わってしまうことが辛いと、悲しいとそう感じていた。
「とにかく、そういうことになったので、あと数日、気を引き締めて行きましょう」
ディーがそう言ったが、はぁーい、と気の抜けた返事をした騎士に、アイザックが苦笑いして、「返事!」と声を張り上げた。
「はい!」
アイザックの声で、全員が背筋を伸ばす。流石、獣士団第4部隊長、引き締める所は引き締めた。
「あと数日とは言っても、雨が上がらないことにはな。今は温泉に入ってまったりしようや」
ロイがダラリと腕を下げ、腹減った、と呟いた。
「ショーヘイさん、みんなには話していませんが、手紙にはまだ続きがあるんですよ」
グレイを伴い、4人で部屋に戻った後、グレイにも手紙を読ませつつディーが切り出す。
「続き?」
ベッドに座って、ロイにベタベタとまとわりつかれるのを腕を突っ張って防ぎながら聞く。
「ええ、我々のことです」
そう言われて数秒考えて赤くなる。
「もう、バレてんの?」
グレイが手紙の内容に吹き出しそうになりながら、ディーに返した。
「バレバレだわ」
ワハハとグレイが笑う。
ディーが、1枚の紙を自分に渡してきた。
それを受け取って見る。
紙いっぱいに書かれた超デカい文字で一言。
でかした! 父より
「っぶ!」
思わず噴き出した。
「あはははは!!何これ!!!」
「国王からですw」
「国王らしいわwww」
ロイも声に出して笑う。
要するに、息子のディーゼルがジュノーである自分を射止めたことを褒めているのが、この一言に集約されているらしい。
「あははは!!お前の親父さんって王様だよな!?王様がこれ!?」
ゲラゲラと笑い、ベッドの上を転がる。
そんなふうに笑われてディーも笑う。
「まぁ、豪快な人ではあるんですけどね。でも、続きというのはこれじゃなくて…」
笑顔からスンと真顔になる。
「ショーヘイさんと私、ロイ、3人の関係はしばらく非公表にしたいと」
「あ、そうなの?うん、わかった」
「え、それだけですか?いいんですか?」
ディーが自分が素直にあっけらかんと了承したことに逆に焦りだす。
「だって、第三王子がジュノーを、聖女を連れて帰ってきて、いきなり自分の結婚相手です、なんて、それはどう考えたっていきなり過ぎるんじゃねーの?」
笑いながら答える。
「それは…そうかもしれませんけど…」
ディーが拗ねたように言う。
「私としては、すぐにでも発表して、正式に婚約したいんですよ。それはロイもでしょ?」
口を尖らせて言う。
「まぁな。俺だってそうしたいさ」
ロイが苦笑する。
「だけどな、王家としての体裁やら建前があるんだろうよ」
ロイに言われて、本来はそれを考えるべき立場のディーが不貞腐れた。
「まぁ、公表しないだけで、隠すわけじゃないんだからよ」
グレイが笑いを堪えながら、ポンとディーの肩を叩いて慰める。
「とりあえずは暗黙の了解ってやつだな」
ロイも付け加え、ディーがぐぬぬと唸った。
「ショーヘイさんに、変な虫がつくのが嫌なんですよ」
「ああ、それはねーわ。つきそうになっても俺らがすぐに叩き落とすだろ?」
「当たり前です」
ロイの言葉に即答する。
変な虫って、そんなにモテる気もしないのだが、事実として2人に惚れられたわけだし、それについては黙っておく。
「俺らのことはそれでいいけどさ…」
そう言って、ニヤリとグレイを見る。
「グレイも人ごとじゃないぞ?どーすんだ?ジュリアさん」
自分に話を振られてグレイがウッと唸った。
「俺のことはいいんだよ!」
「そうはいかんでしょう。なぁ、ディーさん、ロイさんや」
時代劇風に2人に笑いかけ、2人がニヤニヤする。
「あの剛腕のグレイに彼女が出来たんだもんなー」
「そうですよ。もう私たちが公表しないんですから、代わりにと言っちゃなんですが、ここは一つ派手にグレイとジュリアの婚約を…」
「や、め、ろ」
グレイが真顔でディーに詰め寄り、爆笑した。
ツカツカとヒールの音を響かせて路地を進む。
「何なんですの?あの男。私のロイ様に馴れ馴れしく…」
ロイにようやく迎えに来てもらったというのに、ロイにはすでに決まった相手がいると告げられた。
再会した廊下から、ディーゼル殿下に促され、宿のオーナーの所へ連れて行かれた。
私をいったい誰だと思っているのか。
公爵家の私を平民と同じように扱って、こき使うなど言語道断だ。
ロイ様が迎えに来てくださったから、私もこれでようやく元の生活に戻れる。
我慢した甲斐があった。
きっとオーナーに私を連れて帰ると告げ、今まで散々な扱いをしてきたオーナーに対して激怒するはずだ。
だが、オーナーの部屋でディーゼル殿下は、私がロイ様の婚約者だと勘違いをしている、思い込んでいる、私をロイ様へ会わせないようにして欲しいと、そうオーナーに要望した。
ロイ様にはすでに伴侶となる人が決まっていて、私のことなど何も思っていない、とそう打ち明けられた。
何を言っているのか、わからなかった。
オーナーもオーナーだ。
この私に向かって、使えないだの、仕方なく雇ってるだの、言いたい放題。
公爵令嬢のこの私がここで平民と共に働いてあげているというのに、なんという言い草なのだろう。
「お前のことは名前しか覚えていない。婚約した記憶もない。勝手な妄想は止めろ」
怒りに満ちた表情でロイ様が私に言った。
違う。
私たちは愛し合った。
何度も夜会で逢瀬を重ね、その都度ロイ様は私に微笑みかけ、語りかけ、エスコートしてくださった。
だから、お父様にお願いして、ロイ様を私の伴侶として迎え入れられるようにお願いしたのだ。
お父様は、まかせろ、と言った。
その時から、私はロイ様の婚約者となったのだ。
だが、お父様はある日突然消えた。帰ってこなかった。
その後屋敷に詰めかけた自警団や騎士団に家を荒らされ、お母様とともに屋敷から追い出された。
わけもわからずに、親族の家へ逃げたが、数軒には追い返され、入れてくれた家では罵倒され、陰口を叩かれた。
それでもいつかロイ様が迎えに来てくださると信じて、ずっと耐えた。
親戚中をたらい回しにされ、とうとう行先がなくなり、宿屋暮らしをしたが、お金がなくなり持っていた宝石やドレスを全て売って生活費にした。
それでも足りず、見かねた遠縁の者がここを紹介してくれた。
しかし、公爵令嬢であるにも関わらず働かされる。私を令嬢扱いすらしない。
なぜ私がこんな目に。
私は公爵令嬢でロイ様の婚約者なのに。
「そうよ。ロイ様はきっと誰かに脅されて。お父様と同じように、あの時居なくなったのも、きっと誰かに」
それがあの男だ。
ロイに肩を抱かれ、寄り添いながら隣で微笑む男の姿が脳裏に蘇る。
全部あの男が仕組んだんだ。
マチルダの顔に怒りに満ちる。
許せない。
お父様を、私からロイ様を奪った。
許すものですか。
マチルダが扉を叩く。
しばらくして、小さな男が顔を覗かせる。
「アレを頂戴」
「…またかよ…金あんのか?」
そう言って手を差し出す。
「わたくしを誰だと…」
「知らねーよ。欲しいなら金出せよ」
そう言われてお仕着せのポケットから硬貨を出してその手に乗せた。
「…ほら」
硬貨の数を数えて、一度引っ込むとすぐに戻ってきて、マチルダの手に小さな巾着袋を乗せた。
「これだけ…?」
「あんな端金だとそれが精一杯だよ。これでもお得意さんだから少しサービスしてんだ」
「まあ、いいわ。これで許してあげる」
マチルダの言葉に、男が舌打ちしてバタンとドアを閉めた。
マチルダはその巾着袋をポケットに入れると、路地を戻る。
これで、私はロイ様を取り戻せる。
フフッと笑い、来た時と同じように足早にヒールを鳴らして歩き出した。
自分がこんなにやきもち焼きだなんて、初めて知った。
ムクっと起き上がり、手近にあった枕を掴むと手元に引き寄せ、思い切り殴る。
枕には申し訳ないが、怒りを抑える道具になってもらうことにして、ボスッバスッと両腕で交互に何度も殴り付ける。
「あの」ボスッ
「女」バスッ
「人の」ボソッ
「男に」バスッ
「抱き」ボスッ
「ついて」バスッ
「ムカつく!」ボスボスバスボス。
言いながら枕を殴り付け、ほんの少しだけイラつきが解消したような気がした。
「あ~あ、枕が可哀想」
いつの間に部屋に戻ってきたのか、突然、ふわっと後ろから抱きしめられつつ囁かれた。
すぐに声と匂いでロイだとわかって、カァッと赤くなる。
「ロ」
振り返って名前を呼ぼうとしたが、口を塞がれ、そのままベッドへ押し倒された。
すぐに舌が絡め取られて、濃厚なキスをされ、イライラが一気にどっかへ吹っ飛ぶ。
「ん…ん…」
覆い被さるように唇を塞がれて、何度も角度を変えて深いキスが続く。頭の奥がジンと痺れて、気持ちの良いキスにうっとりしつつ、自然とロイの頭を両手で包み、自分から引き寄せるようにキスをする。
「キス、気持ちいい?」
「うん…気持ちい…」
そう囁きながら、再び唇が重なり抱きしめ合って互いの唇を貪り合う。
唇が離れて上からロイに見つめられて、自分もその綺麗な顔を見つめたが、再びやきもちが蘇った。
「ロイ…婚約者は…?」
「俺にそんな奴いねーよ。あれはあの女の妄想」
「は?妄想…?」
ああ、と返事をしながら、唇を重ねる。
「婚約者じゃない、のか?」
「違う。あの女の存在すら、今の今まですっかり忘れてたわ。顔見ても思い出せなかった」
そう言われ、廊下でディーがマチルダと名前を言った後に気付いていたロイを思い出す。
「信じられないか?後でディーにも聞いてみろよ」
チュッと頬にキスをする。
「俺の婚約者はお前だ、ショーヘー。お前だけが俺の伴侶になるんだ」
婚約した覚えはないと思ったが、そう言われて頬を染める。
そんな自分に微笑むと、優しく頭を撫でられた。
「やきもち焼いたんだろ?可愛いな、俺のショーヘーは…」
そう言って重ねるだけのキスをする。
「ロイ…」
名前を呼び、キスの続きをせがむ。
「お前だけだ。ショーヘー、愛してる」
チュッと唇に、頬に、瞼にキスを落とす。
優しく、愛情がこもったキスに心がじんわりと熱くなり、目を閉じてキスを受け止める。
何度も何度も口付けを交わし、お互いの存在を確かめるように抱きしめあった。
「いちゃいちゃしてもいい?」
「…約束だからな…」
そう言って、ロイの顔に触れると、自分からキスをした。
ロイが笑顔になり、チュッチュッとたくさんのキスの雨を降らしながら、ロイの手が自分の体を弄り始めた。
「ん…ぁ…」
ロイの手が寝夜着の上から上半身を弄り、布越しに乳首に触れ、指の腹で何度も擦り上げると、フルッと翔平の体が震えて快感に身悶えた。
キュッと指で摘み上げ、指ではさんでクリクリといじると、ビクビクと翔平の体が跳ねる。
「あ、ぁ」
翔平の唇を舐めながら、寝夜着の上着をたくし上げると、布越しではなく直に乳首に触れ、唇から胸へ移動した舌先で乳首をつつく。
ジュル、チュプと音を立てて乳首に吸い付き、何度も舌と唇で愛撫しつつ、時々甘噛みすると、翔平から嬌声が上がって体がピクンピクンと跳ねた。
「んぁ…ロイ、ディーは?」
「まだ宿のオーナーの所」
今愛撫しているのは自分なのに、ディーの名前を出されてほんの少しだけ嫉妬し、意地悪するつもりで主張を始めていたペニスをギュッと握り込んだ。
「ヒッ」
布越しで強めに扱くと、翔平の腰が揺れる。
「あ、あん、ん」
ペニスを掴む手を外そうとするように翔平の手がロイの手を掴むが、反対の手で、ズルッと一気に下着ごと引き摺り下ろされた。
遮るものがなくなった翔平のペニスが外気に晒されてプルプルと震えるように存在を主張する。
「可愛い」
その竿を握り、鈴口にチュッとキスすると大きめの嬌声と共にビクンと大きく反応した。
そのまま口を開け、あーん、とわざと声に出してペニスを含む。
「あ!あぁ!」
ジュブジュブと頭を上下に動かして、少し乱暴に吸い上げ、唇と舌で愛撫すると、その性急な追い上げに翔平の手がロイの頭を掴む。
「ひもちひい?」
「あ、あ、咥えた、まま、しゃべ、な、あぅ」
「らって」
チュポンと口を離す。
「ショーヘーのここ、美味しい」
「食いもん、じゃねーっつの」
ゆるゆると手で扱かれながら、もじもじと体を捩り、足を閉じようとしたが、ロイの体が滑り込んで防ぎつつ、逆に左右に足を開かさせる。
どこかに忍ばせていたのか、キュポンと、ロイの手の中にあったローションの小瓶の蓋が開けられて、手に垂らすと、アナルの入口をなぞり、ゆっくりとほぐしていく。
つぷつぷと指を少し入れては出すというもどかしい動きに、すっかりペニスを受け入れることに慣れたアナルがキュンキュンと収縮を繰り返す。
「可愛い、ここ、欲しがってヒクヒクしてる」
ロイの言い方に、恥ずかしくてカアァッと全身を真っ赤に染めた。
「こんなにちっちゃい穴なのに、これから俺を受け入れて、広がって、食いついて、うねって」
「やめ、ろ」
言葉で煽られて、ますます全身を羞恥心が襲った。
言葉責めはほんと弱い。
恥ずかしくて恥ずかしくて、グルグルと眩暈がしそうな羞恥に顔を両手で覆う。
そんな翔平にクスッと笑うと、素早くズボンの前をくつろげて、己のペニスを出すと翔平に覆い被さった。
「あ!んぅ!」
まだ少ししかほぐしていないのに、挿入が始まって、圧迫感とひりついたような痛みが襲う。
「ごめん、ショーヘーが可愛すぎて、我慢出来ない」
腰を押し付けながら、翔平の体を抱きしめ上体を倒し、どんどん深く入ってくるロイに、ハッハッと短い呼吸を繰り返す。
ロイも服を脱ぐことすらもどかしいのか、ズボンを少し下ろしただけの状態で、奥へ奥へと入って行く。
「ん…あ…」
ゆっくりだが、確実に奥まで侵入するロイに、浅い呼吸を繰り返しながら受け入れる。
だいぶ奥まで挿入が終わると動きが止まって、ロイの恍惚としたため息が耳元で聞こえた。
「はぁ…すげ…気持ちい…」
自分を包み込み、締め付ける腸壁にうっとりと呟いて、その感覚を味わう。
「動くよ」
耳を舐められながら言われ、クンと腰を揺らされた。
「あ」
コツと奥にロイのペニスの先端がぶつかるような気がする。
「ん、ん、んー」
そのままキスをされ、舌を絡ませ合いながら、奥をコツコツとつつくように、軽く打ち付けられる。
その頃には圧迫感も小さな痛みもなくなり、アナルから押し寄せる快感の波に漂い始めていた。
「はぁ、あ、ロイ…」
激しくはない、優しい突き上げに翻弄されながら、ロイの首へ両腕を回し、キスをせがんだ。
そのリクエストに応えてキスを繰り返すと、それだけで中がうねって締め付けが強くなる。
ローションの力を借りて、ロイのペニスがぬちゅぬちゅと音を立てて抽送を繰り返す。
「ショーヘー、奥当たってるのわかる?」
ふいにそう言って、腰を揺する。
コツと奥をつつかれるような動きにコクコクと頷いた。
「奥、拓きかけてる」
「あ!」
少し強めに奥を突き上げられ、ゾクッとした快感に大きめな声を上げた。
「まだ、この奥まで挿れたことないんだけど…。もっと気持ち良くしてあげるから、受け入れて」
え、とその言葉に驚く。
「奥って…、え?」
奥をつく感覚がコツコツからゴツゴツへ変わり始め、そこにある壁をロイのペニスがノックするようにぶつかる。
「あ!んぅ!!」
奥にぶつかるたびに、腰から振動するような快感が突き抜け、声を何度も上げた。
「あ!あ“!も!無理!入らない!!」
「入るよ…もっと奥まで…」
ロイも呼吸を荒くして、アナルを突き上げるストロークを長くした。
入口ギリギリまで引き抜き、奥を抉るように突き上げる。
「んあ“、あ”、だ!め!!」
途中にある前立腺を擦り上げながら、奥の壁を突き破るように大きく動く。
そして、その奥の壁がロイのペニスの刺激に開き、何度目かの突き上げでロイの侵入を許した。
グポッと音がしたような錯覚を感じ、その衝撃と快感に悲鳴をあげた。
「!!!あ”!!あ“ーあ!あ」
ガクガクと翔平の体を跳ね、細かい痙攣を何度も繰り返し、その快感の強さに射精した。
最奥をロイのペニスが突き破った感覚とともに、今まで感じたこともない快感が全身を駆け巡る。
直腸を抜け、S字結腸まで到達したロイのペニスに体が痙攣し、ガクガクと震えが止まらない。
「あ…はぁ…何?…どー、なって…奥が…」
「全部入った…」
ロイが自分のペニス受け入れた最奥を感じて微笑む。ペニスの亀頭の先の部分を受け入れて、よりキツい締め付けに一度動きを止めた。
今まで、ペニスの根元まで完全に挿れたことはなかったが、初めて根元まで挿入出来て、感嘆の吐息を漏らす。
「あぁ…ショーヘー…いいよ…サイコー…」
最初はゆっくりと小さなストロークを何度も繰り返す。
やがて、大きなうねりへと変化して、最奥を突き上げた。
「あ“、あ”ぁ、あ“、あ」
ロイが動くたびに、悲鳴に似た嬌声をあげ、感じすぎて溢れた涙とともに、口を閉じることが出来ない状態で唾液が溢れて流れ落ちる。
ロイが最奥を突き上げながら、舌を絡ませて、唇を貪る。
「ん!んぅ!!」
舌を絡ませ、互いにキスを貪り合いながら快感の波に溺れる。
「あ“、あ!また、イく!」
「ん、イキそ…ぁ」
ロイが耳元で囁き、その快感に濡れた声と吐息の後、最奥に熱い精液を感じ、自分も再び射精した。
絶頂の余韻でピクピクと痙攣した後、クタッと力を失った翔平の腕がパタリとシーツに落ち、ほんの一瞬、意識が飛んだ。
「奥、気持ちいいいだろ?」
ロイにキスされながら、そう聞かれたが、快感が強すぎて乱れた呼吸のせいで返事が出来ない。
「あー!!」
突然聞こえた声に、ゆっくりと目線を部屋の入口に向ける。
「ロイ!抜け駆けするなんて!」
ディーが額に青筋を立て、怒りながら部屋へ入ってくる。
ロイが上半身を起こし、後ろを振り返る。
「ショーヘイさん、大丈夫ですか?」
翔平は寝夜着の上着を着たまま、ロイはズボンを少しだけ下ろした状態で、まだロイを受け入れたまま繋がったいる姿に、呆れたようにロイを見て、翔平の頬に触れた。
「ディー…」
翔平がディーを見つめる。
そのトロンとした快楽に呑まれたままの目に、ディーもムラッと欲望が湧き上がり、下半身が反応した。
「狡い!」
「お前がいつまでも話し込むのが悪い」
そう言いながら、ゆっくりとペニスを引き抜いていく。
「んぁ…あ、ぁ」
その動きにも翔平がピクピクと反応を返す。
全身をピンク色に染めた翔平の体、しっとりと汗ばんで、その胸や腹に飛び散った精液、上着がめくり上がってちらりと見えるプックリと存在を主張したピンク色の乳首に、ディーの欲望がどんどん膨れ上がる。
「ロイ!どいてください!」
ドンとディーがロイを押し退け、翔平の正面に回ると素早くペニスを取り出す。
「ガッつくなよ」
ロイが笑う。
「こんな色っぽい姿を見せられて我慢出来るわけないでしょう!」
茶化すロイにクワッと威嚇のような表情をした。
すでに大きく硬く張り詰めたペニスがビクビクと脈打つ。
「ショーヘイさん…いいですか…?」
それでも翔平の体を慮って、そっとその頬に触れる。
「…ディー…」
薄く目を開け視線をディーに向ける。
そして、頬に触れたディーの手にすりっと自分から顔を擦り寄せると、その手の平に唇を押し当てるように口付けた。
「ん…」
小さくコクッと頷いた、その翔平の行動と表情にズキューンと心を射抜かれ、ガバッと覆い被さる。
先端をアナルに当てがうと、吸い付くように密着し、クプッと音を立てディーのペニスを受け入れていく。
「あ…あ、ん」
ゆっくりと浅いストロークを繰り返して、前立腺を押し上げるように腰を揺らすと、翔平の体が小さく震えて声を上げた。
翔平の腕が上がり、ディーの体を抱きしめ自ら引き寄せ、キスをねだる。
「ん…ん」
唇を重ね、舌を絡ませながら、徐々に深く挿入し、奥を突き上げる動きに変わると、翔平の呼吸も上がってくる。
「あ、あ“、あ”ぁ」
「ん!」
ディーが奥を突き上げた瞬間、グプンと最奥への壁を抉り、ディーが思わず声を上げた。
その締め付けの強さにディーも感嘆のため息をつき、その最奥に向かって突き入れる。
「あ、だめだ、止まらな、あ」
ディーがあまりにも気持ち良過ぎて声を上げる。
「あ“!あ!あぁ!あ”ー!!」
「ショーヘイさん!」
何度も大きく突き上げた後、最奥に精液を解き放ち、翔平もまたとろりと精液をこぼした。
ビクビクと2人の腰が痙攣し、絶頂の余韻に浸りながら何度もキスを繰り返した。
「はぁ…」
ディーの腰がビクビクと何度も跳ね、最後の一滴まで翔平の中に注いだ。
「ショーヘイさん、愛してます」
チュッチュッと、何度も頬に唇にキスをする。
「ん…ディー…」
翔平もそれに応えて、キスを繰り返す。
「ショーヘーはほんとキスが好きだよな」
ロイが2人の情事を見届けて、笑う。
「ん、好き…、キス、気持ちいいし…」
そう言って、ディーと舌を絡ませた。
「ショーヘー、もっかい駄目?」
「それは却下で…」
翔平の快楽に呑まれた表情に、ロイがニヤニヤしながら言ったが、翔平に即答される。
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トロンとした目が少しづつはっきりとしてくる。
「ッチェ」
明らかに残念そうにロイが舌打ちする。
その様子にクスッと笑い、ディーが腰を引いて、ペニスの抜いて行く感触に、体を震わせた。
「はぁ…」
グッタリと気だるい疲労感に体を投げ出すと、ディーがクリーン魔法を使った。
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「あー…、行く」
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ディーが席につきながら話す。
「えー、食いながらでいい?」
「我慢しろよ、話が終わってからでもいいだろ」
ロイを宥め、注文と取りに来た使用人に、まずは飲み物だけを頼む。
それからすぐにディーが遮音魔法をかけると話し始めた。
「今夜にも雨は止むそうですが、街道の状況を考えて、もしかしたらもう一泊することになるかもしれません。」
そのディーの言葉に、全員が、やった、という嬉しそうな顔をし、ディーが苦笑する。
「斥候からの連絡待ちになりますが、王都まではもうすぐですし、急いで行く必要もないですからね。ゆっくり進みましょう」
運ばれてきた飲み物を口にする。
「ウィル、斥候からの情報は?」
「はい、報告します。
次の街で私たちの任務は終わりになります」
その言葉に、騎士たちがえー!!と声を上げた。
「なんで!?王都までの護衛じゃないんですか!?」
「事情が変わりました。
殿下、こちらを」
そう言って、ディーに書簡を手渡す。
受け取ったディーが王家の家紋の封蝋を切り、中を取り出して確認する。
じっと黙ってディーが読み終わるのを待つ。特に騎士達はもうすぐ任務が終わると告げられて、その内容を固唾を飲んで見守った。
読み進めたディーの眉根がどんどん寄せられ、読み終えたころには、完全に眉間に皺を寄せていた。
手紙をロイに渡しロイも読み始めた。
「次の街、王都の隣街のカレーリアで護衛任務を騎士団第1部隊へ引き継ぐようにと」
「えー!」
アシュリーが叫ぶ。
「第1部隊全員っスか?」
「そうです。今から3日後にはカレーリアに入るそうです。
今ここで足止めされたので、我々が街に入るのは4日後になりますが」
「まさか、聖女絡みか」
グレイが珍しくピンと来て呟く。
「御名答。ショーヘイさんを聖女として迎え入れると。
すでに王都では聖女が数日後に到着することが広まり、準備が進められているそうです」
話の流れが変わったことに、自分も顔を顰めた。
またあの聖女ごっこをしなければならないのかと考え、うんざりした気分になる。
「結局、国民にとったらジュノーよりも聖女の方が馴染み深い。
ジュノーの知識は国や商人にとっては有益なことだが、国民にその知識が還元されるまでには時間がかかる。その分ありがたみがな」
ロイが、読み終わった手紙をロイへ返しながら、失笑しつつ言った。
「国民へのアピールに使われるってことね…」
ボソッと呟く。
「察しが良くて助かります」
自分の言葉にディーが苦笑しながら答える。
「要するに、ショーヘーを王家のイメージ戦略に利用するわけだな」
グレイが呆れたようにずばりと言い、ディーがさらに苦笑いした。
「申し訳ありません、ショーヘイさん」
「ディーが謝ることじゃないよ。
国民にしたら、ジュノーよりも聖女の方が嬉しいってことだろ?
喜ばれるならそれでいいんじゃないか?」
そう言いつつ笑うが、少しだけ微妙な笑みになってしまった。
「ショーヘーさん、ジュノーで聖女で大変だ…」
クリフがボソリと呟く。
その言葉に思わず笑った。
「大丈夫だよ。何も取って食われるわけじゃないし」
「ショーヘーなんか食ったら腹壊すぞ」
ロイの茶化した言葉に全員が笑った。
「そっかぁ、この旅ももうあとちょっとで終わりかー…」
アシュリーとイーサンが大きなため息とともに、項垂れる。
旅ではなく、本来は護衛任務なのだが、その辺は誰も突っ込まない。
「すごい楽しかった…」
アーロンが感慨深げに呟く。
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はあぁとクリフがため息をついた。
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グレイが手紙の内容に吹き出しそうになりながら、ディーに返した。
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ワハハとグレイが笑う。
ディーが、1枚の紙を自分に渡してきた。
それを受け取って見る。
紙いっぱいに書かれた超デカい文字で一言。
でかした! 父より
「っぶ!」
思わず噴き出した。
「あはははは!!何これ!!!」
「国王からですw」
「国王らしいわwww」
ロイも声に出して笑う。
要するに、息子のディーゼルがジュノーである自分を射止めたことを褒めているのが、この一言に集約されているらしい。
「あははは!!お前の親父さんって王様だよな!?王様がこれ!?」
ゲラゲラと笑い、ベッドの上を転がる。
そんなふうに笑われてディーも笑う。
「まぁ、豪快な人ではあるんですけどね。でも、続きというのはこれじゃなくて…」
笑顔からスンと真顔になる。
「ショーヘイさんと私、ロイ、3人の関係はしばらく非公表にしたいと」
「あ、そうなの?うん、わかった」
「え、それだけですか?いいんですか?」
ディーが自分が素直にあっけらかんと了承したことに逆に焦りだす。
「だって、第三王子がジュノーを、聖女を連れて帰ってきて、いきなり自分の結婚相手です、なんて、それはどう考えたっていきなり過ぎるんじゃねーの?」
笑いながら答える。
「それは…そうかもしれませんけど…」
ディーが拗ねたように言う。
「私としては、すぐにでも発表して、正式に婚約したいんですよ。それはロイもでしょ?」
口を尖らせて言う。
「まぁな。俺だってそうしたいさ」
ロイが苦笑する。
「だけどな、王家としての体裁やら建前があるんだろうよ」
ロイに言われて、本来はそれを考えるべき立場のディーが不貞腐れた。
「まぁ、公表しないだけで、隠すわけじゃないんだからよ」
グレイが笑いを堪えながら、ポンとディーの肩を叩いて慰める。
「とりあえずは暗黙の了解ってやつだな」
ロイも付け加え、ディーがぐぬぬと唸った。
「ショーヘイさんに、変な虫がつくのが嫌なんですよ」
「ああ、それはねーわ。つきそうになっても俺らがすぐに叩き落とすだろ?」
「当たり前です」
ロイの言葉に即答する。
変な虫って、そんなにモテる気もしないのだが、事実として2人に惚れられたわけだし、それについては黙っておく。
「俺らのことはそれでいいけどさ…」
そう言って、ニヤリとグレイを見る。
「グレイも人ごとじゃないぞ?どーすんだ?ジュリアさん」
自分に話を振られてグレイがウッと唸った。
「俺のことはいいんだよ!」
「そうはいかんでしょう。なぁ、ディーさん、ロイさんや」
時代劇風に2人に笑いかけ、2人がニヤニヤする。
「あの剛腕のグレイに彼女が出来たんだもんなー」
「そうですよ。もう私たちが公表しないんですから、代わりにと言っちゃなんですが、ここは一つ派手にグレイとジュリアの婚約を…」
「や、め、ろ」
グレイが真顔でディーに詰め寄り、爆笑した。
ツカツカとヒールの音を響かせて路地を進む。
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しばらくして、小さな男が顔を覗かせる。
「アレを頂戴」
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そう言って手を差し出す。
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「知らねーよ。欲しいなら金出せよ」
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「これだけ…?」
「あんな端金だとそれが精一杯だよ。これでもお得意さんだから少しサービスしてんだ」
「まあ、いいわ。これで許してあげる」
マチルダの言葉に、男が舌打ちしてバタンとドアを閉めた。
マチルダはその巾着袋をポケットに入れると、路地を戻る。
これで、私はロイ様を取り戻せる。
フフッと笑い、来た時と同じように足早にヒールを鳴らして歩き出した。
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