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王都への旅路 〜新たな関係〜
64.おっさん、価値観の違いに苦しむ
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村を出て2日目の夕方、シュミットに到着した。
ゆっくりと馬車から降りるが、馬車から降りるためのたった3段の階段を踏み外した。
「危ない!」
咄嗟にロイとディーの腕が伸びて自分を抱き止める。
丁度2人の腕がクロスされた状態の上に落ちる。
「ナイスキャッチ」
グッと、グレイがサムズアップを決める。
「気をつけてくださいよ」
「気をつけろよな」
2人に言われてムッとした。
誰のせいだと思ってるんだ。
ずーっと馬車の中で2人にはさまれ、かつ2人が自分に寄りかかって寝てしまったために身動きが取れなくなり、ずっと同じ体勢でいた。
肩は凝るし、足は痺れるし、酷い目にあった。
シュミットはランドール領都ほどでないが、匹敵するほどの大きさだった。
ベネット領で2番目に大きい街で、今回は宿屋というには豪華すぎる宿に宿泊する。
「なんでお前も同室なんだよ」
ロイが明らかに不機嫌な声で言う。
「仕方ないでしょ。空いてないんですから」
ディーの言葉に、ほんとかよ、とロイが口を尖らす。
「残念でしたねー、ロイ」
ディーがニヤニヤと笑う。
煽るのやめて。
「いちゃいちゃしたい!」
「うわ!!」
いきなりロイに飛びつかれ、タックルされる形でベッドへダイブした。
「バカなことしてないで、食事に行きますよ。ウィルもそろそろ戻ってくるはずです」
ウィルは街に到着する少し前に、黒騎士から情報を受け取るため、自分たちから離れて先行して街へ入っている。
「飯!」
ギューっと抱きしめられ、グリグリと自分の胸に顔を押し付けていたロイが、ガバッと起き上がりさっさとベッドから降りた。
こいつ。
人をベッドに押し倒しておいて、さっさと飯かよ、と自力で起きあがろうとしたところへ、ディーに手を差し出された。
「ありがと」
その手を掴むと引っ張り起こされる。だが、起こされるだけではなく、そのまま強く引っ張られて、起き上がるどころが前につんのめって、ディーに抱きしめられた。
だが、すぐに離されて乱れた服をササッと直してくれる。
すごく微妙なディーの行為に、顔をものすごく顰めた。
こいつら…。
2人の行動がわからない。
おそらく間違いなく、ロイは、ディーが自分に告白したことを、好きだということを知っている。
ロイは今まで「ショーヘーは俺のもの」アピールが激しかった。それはディーに対してもだ。
なのに、ロイの前でディーが自分に触れても、抱きしめても、何も言わない。
心の中でモヤモヤが大きくなる。
顔を顰めたまま、部屋を出た。
食事はグレイの希望で、彼が知っている街中の食堂兼酒場ですることになった。煮込み料理が絶品らしい。
かなり繁盛しているようで、食堂の中は混雑していたが、いつのまにかグレイが予約を入れていたようで、10人という大人数にも関わらず、すぐに席に案内された。
そこでも、ロイとディーにはさまれて座る。
次々に大皿に運ばれてくる料理はどれも美味しくて、さらにアルコールも少し入り、モヤモヤした気持ちはこの時だけは薄くなる。
「深酒しないでくださいね」
ディーに苦笑されて、自分もだいぶ前にやってしまった醜態を思い出して苦笑いしつつ、わかってると答えた。
食事が終わり、ウィルの報告が始まる。
「ドルキアから先行していた斥候部隊が王都へ到着したそうです。
峠の件で、我々は予定から遅れていますから、ここから先の斥候は黒騎士が行います。引き続き、街道の安全確認、状況判断を行います」
当初予定していた行程から、10日程遅れている。
ドルキアで立てた行程通りならば、あと2、3日で王都へ到着する予定だった。
「それと、これから向かおうとしていたシュターゲンですが、少々問題が」
そう言って、チラッと自分たち4人を見た。
その視線ですぐにベネットのことだと気付いた。ウィルも自分たちがベネットに関係していることを知っているのだろう。
「アドルフ・ベネットが失脚しました。現在王都で拘束されています」
その言葉に、やっぱり、と思ったが、事情を知らない騎士たちは少しだけザワついた。
「シュターゲンでは現在、王都から行政官や執行官が多数派遣されていて、そこを通るとなると、少々面倒くさいことになるかもしれません。
また、公爵失脚の話はすでに広まっており、治安にも問題が発生していまして、王都から騎士団第4部隊が派遣されました。
ドルキアから帰還命令が出た騎士団第2部隊と獣士団第4部隊は、王都へ戻らず、このままシュターゲンに駐留することになりそうです」
その報告内容に、クリフが、俺こっちの任務で良かったー、とつい本音を漏らし、アイザックの拳骨をもらった。
「ベネット家の爵位が剥奪されたわけではないんだな?」
グレイが確認する。
愛しのジュリアがイグリット領主になって、今後ベネット家との関わりがどうなるかが心配なのだろう。
「現時点では。
現在は長男のカーティス・ベネットが領主代行を務めており、王都からの使者の対応に追われているようです」
腕を組んで報告を聞いていたディーがしばらく考えて言った。
「迂回しましょう」
そう決断する。
「その方がいいかもしれません。シュターゲンを回り込んで、ゲーテから王領へ」
「ゲーテ!?」
数人が同時に声を上げ、一気に色めきたつ。
「おいおい、お前ら、目的を忘れんなよ」
グレイがニヤニヤと笑う。
「いいっスね。ゲーテ」
アイザックも嬉しそうに笑う。
アーロンやクリフ、アシュリーもイーサンも、全員がワクワクと目を輝かせて嬉しそうに笑顔を見せた。
「なぁ、ゲーテに何があんの?」
隣のロイに聞くと、ロイは苦笑しながら、そっと耳打ちする。
「ゲーテは、色町だ」
「……は?」
色町って、あの色町?
つまりそういうことをするための街。
風俗街。
思わず、カーッと赤面した。
その顔を見て、ロイが笑う。
若い騎士達が嬉しそうにする意味がわかった。
「他に迂回するとなると、さらに時間がかかりますし、仕方ないでしょう」
ディーが色めき立つ騎士たちを抑えるように一瞥すると、全員が真顔になるが、それでもすぐにニヤァと笑みが溢れて、その様子に苦笑した。
酒場を出て、ホテルまでゆっくりと歩く。お酒が入って、少しだけ火照った顔に夜風が気持ち良い。
「美味かったー。グレイが教えてくれるものはみんな美味いな」
「だろー?」
「獣士団で遠征に出るたびに、色々食べ歩いてたもんな、お前」
そう言ってロイが笑う。
「美味いもんは正義だ」
グレイの座右の銘が出て、みんなで笑う。
ふとロイの手が自分のを手を取り、自然に恋人繋ぎになる。
みんなが側にいるのに、とかなり恥ずかしいが、照れながらもその手を握り返した。
美味いものを食べたし、好きなお酒も飲めて、かなり上機嫌でホテルへ戻った。
そんな自分よりも、次の行き先がゲーテだと決まったことで、騎士達の方がソワソワと落ち着きがなく嬉しそうにしていて、若いなーとクスクス笑った。
ホテルで久しぶりの風呂に入る。
時間を合わせたわけじゃないが、続々と風呂でみんなに会った。
大きな湯船に浸かって、あ“ーと自然に声が出るのを止められない。
「ショーヘーさん、おっさんくさい」
イーサンに言われる。
「実際おっさんだからな」
そう言ってバシャッと顔にお湯をかける。前にもこんな会話したなと心の中で笑った。
「それにしても、みんな鍛えてるな」
細いと思っていたアイザックやアシュリー達も脱げばガッチリとした筋肉がついている。
胸筋が盛り上がり、クッキリと別れたシックスパック。男の自分が見ても惚れ惚れするような筋肉だ。
「そうっスか?普通っスよ?」
そう言ってアイザックが腕を上げて、グッと力を上げると、モリッと力瘤が浮き上がる。
「まだまだだな」
グレイが何故か対抗して、ムキムキっと上半身に力を入れると、上腕二頭筋が
盛り上がり、胸筋がピクピクと動いた。
そんな筋肉談義を聞きつつ、自分は別なことを考えていた。
ホテルへの帰り道、ロイもディーも普通だった。
いつも通り会話。いつも通りの態度。
だが、ホテルへ戻って、風呂へ行くために部屋を出ようとした時、突然ディーに引き寄せられて、軽く唇にキスをされた。
しかもロイの目の前で。
あまりにも突然のことで、しかも触れるだけの掠め取られるようなキスで、キスされたと思った時には、すでに唇は離れていた。
「お前なー」
ロイが呆れたように言い、すぐさま自分の顔を引き寄せると、長めに唇を重ねてくる。
「全く、油断も隙もねえ」
そのままディーから守るように自分を背後から抱きしめた。
なんで。
なんでディーを許す?
そう頭の中で疑問を繰り返す。
2人の考えが、行動の意味が、わからない。考えれば考えるほと、どんどんわからなくなってくる。
ロイにとって、ディーはどういう存在なんだろう。本当に親友だけの関係なのか。
もうディーへの返事以前に、ロイの行動がわからなすぎて、そっちの不安ばかりが心を蝕んでいる。
ディーへの返事の内容によっては、自分とロイの関係に影響が出るんじゃないかと、恐怖も感じ始めていた。
お風呂で癒されて、もう寝るか、という時に2人に声をかけた。
「2人に話がある」
いつになく真剣な自分の表情に、2人が何の話か察したようで、ベッドに座っていた自分に近づくと、正面に座った。
「ロイ、お前、ディーが俺に告白したこと、知ってるよな」
「ああ、知ってる。お前を愛してると、本人から聞いた」
ロイが素直に認めて、ディーが苦笑する。
「そっか。知ってるんだ」
俯いて話す。
「ロイは、俺にどうして欲しいんだ?」
静かにロイに聞く。
「俺は…」
聞かれてロイが言い淀んだ。その歯切れの悪さに心が締め付けられる。
「ごめん、ディー。ディーのことは好きだけど、俺はロイが好きだ。ロイを愛してる…だから」
「それでもいいんです」
ディーが自分の言葉に被せてくる。
「どちらかを選べって言ってるわけじゃないんですよ」
その言葉に衝撃を受けた。
「…は?」
顔を上げて2人を見る。
「それって、どういう意味?」
「どうって…、言葉通りだ。どちらかを無理に選ぶ必要はないし、遠慮する必要もない。
ショーヘーの好きにしていいんだ」
その言葉に顔を顰める。
「それって、俺に二股しろってことか?
俺が数年前に二股されて酷い目にあったって、教えたよな!?
トラウマになって恋愛出来なくなったって言ったよな!?
なのに俺に二股しろって言うのか!」
「え?」
ディーがポカンとするが、ロイは頷く。
「昔のお前の婚約者は、二股じゃなくて浮気したんだ。ショーヘーのことを愛してなかった。
ショーヘーは浮気されて、裏切られたんだ」
「二股と浮気の定義なんか知るか!」
そう言って、頭を抱え込んだ。
「ショーヘー、もしディーも好きっていうなら、俺は別に構わねーよ」
ロイの言葉が理解できずに、ただ頭を抱える。
「ディーだから許すんだ。もしこれが他の奴なら絶対に許さねー」
そう笑う。
「私もロイと2人で貴方を愛したい」
ディーも微笑む。
2人の言葉に理解が追いつかない。
「つまり…、お前らは、俺を共有したいってことか…?」
やっとのことでそう言った。
「共有って言い方はちょっと…」
ディーが苦笑する。
「じゃぁ、他にどんな言い方があるんだよ」
2人の目を見られずに俯く。
「…3人で…愛し合う…?」
その言葉に、脳天を貫かれたような衝撃が襲う。
違う。
「っふ…」
気が付けば、泣いていた。
俯いた目からぼたぼたと大粒の涙が下へ落ちる。
「え!?」
「ショーヘー!?なんで泣くんだ」
2人が狼狽えて、自分を慰めようと右往左往する。
「……」
あまりにも違う。
今まで自分が持っていた恋愛に対する価値観が、全く違う。
「ロイ、ディー」
涙を堪えて手で拭うと、2人を見た。
「ロイ、お前が好きだ。愛してる」
ロイが俺もだ、と頷く。
「ディーへの返事。さっき、ロイを選ぶつもりで断ろうとしてた。
だけどさ、お前らの、この世界の価値観じゃ、2人同時に好きになっても、同時に付き合っても問題ないってことなんだろ?」
「…そうですね。多くはないですが、珍しいことでもないです」
「そっか…」
ズズッと鼻を啜る。
「それなら、俺はディーも好きだ。まだはっきりと自覚したわけじゃないけど、多分愛してるんだと思う。
告白されて嬉しかったし、キスされて嫌じゃなかった」
ディーが泣きそうな顔になる。
「ショーヘー」
「ショーヘイさん」
「でも」
3人の言葉が重なる。
「一度、距離を置きたい」
2人を見つめる自分の目から涙が溢れた。
元の世界の常識と、この世界の常識。
何度もその違いに驚き、戸惑い、躊躇いつつも、順応してきたつもりだ。
一番の衝撃は、女性のみが恋愛対象だった自分が、男性相手に恋をして、心も体も彼を全て受け入れて、愛し合っていることだ。
それだけでもかなりの衝撃なのに、さらに価値観の違いを思い知らされた。
ここは1人で複数人を愛することを良しとされている世界だと知って、自分の中の恋愛観が崩れた。
元の世界でも、一度に複数人と付き合う人は実際に周りにいたし、そういう話も少なからず聞いたことはある。
ただ、元の世界では、そうやって二股、三股をかけた奴はやがて修羅場を迎え、相手に去られ、さらに周囲から信用を失くすことがほとんどだった。
同時に複数人を相手に、というのが、元の世界の一般的な価値観ではないせいだ。
自分は人並みな、一般的な恋愛価値観を持っている。
1人の女性を愛して、一生を共に添い遂げる。
ずっとそういう価値観で生きてきた。
だから、浮気とか二股とか、絶対にありえないと思っていたし、実際に数年前に美代に浮気されて裏切られ、心に深い傷を負った。
だから、自分はロイ1人を選んで、ディーを受け入れないつもりだったのに。
なのに、この世界では本気で好きになったのなら、同時に複数人を愛しても問題ないという。
その事実を知って、2人の行動の意味がわかった。
だが、意味はわかっても理解は出来ない。
ディーへの告白の返事を考えた時、自分の感情に驚いた。
多分、自分は恋愛感情をディーにも持っている。だから、告白されて嬉しかったし、キスされて気持ち良いと感じた。それは否定しない。
でも、自分にはロイがいる。
自分の中の恋愛価値観と照らし合わせて、ロイを選んだ。
それが正しいと思っていた。
それが突然、同時に2人でも良いんだよ、3人で愛し合おうと言われても、到底理解できるわけもない。
あまりにも価値観が違い過ぎて、受け入れるまでに、かなりの時間が必要だった。
それにこの価値観を受け入れられるかどうかもわからない。
どうしても、二股=裏切り、という構図が頭から離れない。
そしてもう一つ。
ロイとディーの関係にも戸惑っている。
ロイなら、ディーなら、と互いに言う。他の人なら駄目なのはわかる。
でも、何故そこまで2人は。
邪魔なのは、自分なんじゃないか。
そうも思えてくる。
苦しい。
理解したいけど、今まの経験が、価値観が邪魔をする。
だから、距離を置こうと言った。
ゆっくりと馬車から降りるが、馬車から降りるためのたった3段の階段を踏み外した。
「危ない!」
咄嗟にロイとディーの腕が伸びて自分を抱き止める。
丁度2人の腕がクロスされた状態の上に落ちる。
「ナイスキャッチ」
グッと、グレイがサムズアップを決める。
「気をつけてくださいよ」
「気をつけろよな」
2人に言われてムッとした。
誰のせいだと思ってるんだ。
ずーっと馬車の中で2人にはさまれ、かつ2人が自分に寄りかかって寝てしまったために身動きが取れなくなり、ずっと同じ体勢でいた。
肩は凝るし、足は痺れるし、酷い目にあった。
シュミットはランドール領都ほどでないが、匹敵するほどの大きさだった。
ベネット領で2番目に大きい街で、今回は宿屋というには豪華すぎる宿に宿泊する。
「なんでお前も同室なんだよ」
ロイが明らかに不機嫌な声で言う。
「仕方ないでしょ。空いてないんですから」
ディーの言葉に、ほんとかよ、とロイが口を尖らす。
「残念でしたねー、ロイ」
ディーがニヤニヤと笑う。
煽るのやめて。
「いちゃいちゃしたい!」
「うわ!!」
いきなりロイに飛びつかれ、タックルされる形でベッドへダイブした。
「バカなことしてないで、食事に行きますよ。ウィルもそろそろ戻ってくるはずです」
ウィルは街に到着する少し前に、黒騎士から情報を受け取るため、自分たちから離れて先行して街へ入っている。
「飯!」
ギューっと抱きしめられ、グリグリと自分の胸に顔を押し付けていたロイが、ガバッと起き上がりさっさとベッドから降りた。
こいつ。
人をベッドに押し倒しておいて、さっさと飯かよ、と自力で起きあがろうとしたところへ、ディーに手を差し出された。
「ありがと」
その手を掴むと引っ張り起こされる。だが、起こされるだけではなく、そのまま強く引っ張られて、起き上がるどころが前につんのめって、ディーに抱きしめられた。
だが、すぐに離されて乱れた服をササッと直してくれる。
すごく微妙なディーの行為に、顔をものすごく顰めた。
こいつら…。
2人の行動がわからない。
おそらく間違いなく、ロイは、ディーが自分に告白したことを、好きだということを知っている。
ロイは今まで「ショーヘーは俺のもの」アピールが激しかった。それはディーに対してもだ。
なのに、ロイの前でディーが自分に触れても、抱きしめても、何も言わない。
心の中でモヤモヤが大きくなる。
顔を顰めたまま、部屋を出た。
食事はグレイの希望で、彼が知っている街中の食堂兼酒場ですることになった。煮込み料理が絶品らしい。
かなり繁盛しているようで、食堂の中は混雑していたが、いつのまにかグレイが予約を入れていたようで、10人という大人数にも関わらず、すぐに席に案内された。
そこでも、ロイとディーにはさまれて座る。
次々に大皿に運ばれてくる料理はどれも美味しくて、さらにアルコールも少し入り、モヤモヤした気持ちはこの時だけは薄くなる。
「深酒しないでくださいね」
ディーに苦笑されて、自分もだいぶ前にやってしまった醜態を思い出して苦笑いしつつ、わかってると答えた。
食事が終わり、ウィルの報告が始まる。
「ドルキアから先行していた斥候部隊が王都へ到着したそうです。
峠の件で、我々は予定から遅れていますから、ここから先の斥候は黒騎士が行います。引き続き、街道の安全確認、状況判断を行います」
当初予定していた行程から、10日程遅れている。
ドルキアで立てた行程通りならば、あと2、3日で王都へ到着する予定だった。
「それと、これから向かおうとしていたシュターゲンですが、少々問題が」
そう言って、チラッと自分たち4人を見た。
その視線ですぐにベネットのことだと気付いた。ウィルも自分たちがベネットに関係していることを知っているのだろう。
「アドルフ・ベネットが失脚しました。現在王都で拘束されています」
その言葉に、やっぱり、と思ったが、事情を知らない騎士たちは少しだけザワついた。
「シュターゲンでは現在、王都から行政官や執行官が多数派遣されていて、そこを通るとなると、少々面倒くさいことになるかもしれません。
また、公爵失脚の話はすでに広まっており、治安にも問題が発生していまして、王都から騎士団第4部隊が派遣されました。
ドルキアから帰還命令が出た騎士団第2部隊と獣士団第4部隊は、王都へ戻らず、このままシュターゲンに駐留することになりそうです」
その報告内容に、クリフが、俺こっちの任務で良かったー、とつい本音を漏らし、アイザックの拳骨をもらった。
「ベネット家の爵位が剥奪されたわけではないんだな?」
グレイが確認する。
愛しのジュリアがイグリット領主になって、今後ベネット家との関わりがどうなるかが心配なのだろう。
「現時点では。
現在は長男のカーティス・ベネットが領主代行を務めており、王都からの使者の対応に追われているようです」
腕を組んで報告を聞いていたディーがしばらく考えて言った。
「迂回しましょう」
そう決断する。
「その方がいいかもしれません。シュターゲンを回り込んで、ゲーテから王領へ」
「ゲーテ!?」
数人が同時に声を上げ、一気に色めきたつ。
「おいおい、お前ら、目的を忘れんなよ」
グレイがニヤニヤと笑う。
「いいっスね。ゲーテ」
アイザックも嬉しそうに笑う。
アーロンやクリフ、アシュリーもイーサンも、全員がワクワクと目を輝かせて嬉しそうに笑顔を見せた。
「なぁ、ゲーテに何があんの?」
隣のロイに聞くと、ロイは苦笑しながら、そっと耳打ちする。
「ゲーテは、色町だ」
「……は?」
色町って、あの色町?
つまりそういうことをするための街。
風俗街。
思わず、カーッと赤面した。
その顔を見て、ロイが笑う。
若い騎士達が嬉しそうにする意味がわかった。
「他に迂回するとなると、さらに時間がかかりますし、仕方ないでしょう」
ディーが色めき立つ騎士たちを抑えるように一瞥すると、全員が真顔になるが、それでもすぐにニヤァと笑みが溢れて、その様子に苦笑した。
酒場を出て、ホテルまでゆっくりと歩く。お酒が入って、少しだけ火照った顔に夜風が気持ち良い。
「美味かったー。グレイが教えてくれるものはみんな美味いな」
「だろー?」
「獣士団で遠征に出るたびに、色々食べ歩いてたもんな、お前」
そう言ってロイが笑う。
「美味いもんは正義だ」
グレイの座右の銘が出て、みんなで笑う。
ふとロイの手が自分のを手を取り、自然に恋人繋ぎになる。
みんなが側にいるのに、とかなり恥ずかしいが、照れながらもその手を握り返した。
美味いものを食べたし、好きなお酒も飲めて、かなり上機嫌でホテルへ戻った。
そんな自分よりも、次の行き先がゲーテだと決まったことで、騎士達の方がソワソワと落ち着きがなく嬉しそうにしていて、若いなーとクスクス笑った。
ホテルで久しぶりの風呂に入る。
時間を合わせたわけじゃないが、続々と風呂でみんなに会った。
大きな湯船に浸かって、あ“ーと自然に声が出るのを止められない。
「ショーヘーさん、おっさんくさい」
イーサンに言われる。
「実際おっさんだからな」
そう言ってバシャッと顔にお湯をかける。前にもこんな会話したなと心の中で笑った。
「それにしても、みんな鍛えてるな」
細いと思っていたアイザックやアシュリー達も脱げばガッチリとした筋肉がついている。
胸筋が盛り上がり、クッキリと別れたシックスパック。男の自分が見ても惚れ惚れするような筋肉だ。
「そうっスか?普通っスよ?」
そう言ってアイザックが腕を上げて、グッと力を上げると、モリッと力瘤が浮き上がる。
「まだまだだな」
グレイが何故か対抗して、ムキムキっと上半身に力を入れると、上腕二頭筋が
盛り上がり、胸筋がピクピクと動いた。
そんな筋肉談義を聞きつつ、自分は別なことを考えていた。
ホテルへの帰り道、ロイもディーも普通だった。
いつも通り会話。いつも通りの態度。
だが、ホテルへ戻って、風呂へ行くために部屋を出ようとした時、突然ディーに引き寄せられて、軽く唇にキスをされた。
しかもロイの目の前で。
あまりにも突然のことで、しかも触れるだけの掠め取られるようなキスで、キスされたと思った時には、すでに唇は離れていた。
「お前なー」
ロイが呆れたように言い、すぐさま自分の顔を引き寄せると、長めに唇を重ねてくる。
「全く、油断も隙もねえ」
そのままディーから守るように自分を背後から抱きしめた。
なんで。
なんでディーを許す?
そう頭の中で疑問を繰り返す。
2人の考えが、行動の意味が、わからない。考えれば考えるほと、どんどんわからなくなってくる。
ロイにとって、ディーはどういう存在なんだろう。本当に親友だけの関係なのか。
もうディーへの返事以前に、ロイの行動がわからなすぎて、そっちの不安ばかりが心を蝕んでいる。
ディーへの返事の内容によっては、自分とロイの関係に影響が出るんじゃないかと、恐怖も感じ始めていた。
お風呂で癒されて、もう寝るか、という時に2人に声をかけた。
「2人に話がある」
いつになく真剣な自分の表情に、2人が何の話か察したようで、ベッドに座っていた自分に近づくと、正面に座った。
「ロイ、お前、ディーが俺に告白したこと、知ってるよな」
「ああ、知ってる。お前を愛してると、本人から聞いた」
ロイが素直に認めて、ディーが苦笑する。
「そっか。知ってるんだ」
俯いて話す。
「ロイは、俺にどうして欲しいんだ?」
静かにロイに聞く。
「俺は…」
聞かれてロイが言い淀んだ。その歯切れの悪さに心が締め付けられる。
「ごめん、ディー。ディーのことは好きだけど、俺はロイが好きだ。ロイを愛してる…だから」
「それでもいいんです」
ディーが自分の言葉に被せてくる。
「どちらかを選べって言ってるわけじゃないんですよ」
その言葉に衝撃を受けた。
「…は?」
顔を上げて2人を見る。
「それって、どういう意味?」
「どうって…、言葉通りだ。どちらかを無理に選ぶ必要はないし、遠慮する必要もない。
ショーヘーの好きにしていいんだ」
その言葉に顔を顰める。
「それって、俺に二股しろってことか?
俺が数年前に二股されて酷い目にあったって、教えたよな!?
トラウマになって恋愛出来なくなったって言ったよな!?
なのに俺に二股しろって言うのか!」
「え?」
ディーがポカンとするが、ロイは頷く。
「昔のお前の婚約者は、二股じゃなくて浮気したんだ。ショーヘーのことを愛してなかった。
ショーヘーは浮気されて、裏切られたんだ」
「二股と浮気の定義なんか知るか!」
そう言って、頭を抱え込んだ。
「ショーヘー、もしディーも好きっていうなら、俺は別に構わねーよ」
ロイの言葉が理解できずに、ただ頭を抱える。
「ディーだから許すんだ。もしこれが他の奴なら絶対に許さねー」
そう笑う。
「私もロイと2人で貴方を愛したい」
ディーも微笑む。
2人の言葉に理解が追いつかない。
「つまり…、お前らは、俺を共有したいってことか…?」
やっとのことでそう言った。
「共有って言い方はちょっと…」
ディーが苦笑する。
「じゃぁ、他にどんな言い方があるんだよ」
2人の目を見られずに俯く。
「…3人で…愛し合う…?」
その言葉に、脳天を貫かれたような衝撃が襲う。
違う。
「っふ…」
気が付けば、泣いていた。
俯いた目からぼたぼたと大粒の涙が下へ落ちる。
「え!?」
「ショーヘー!?なんで泣くんだ」
2人が狼狽えて、自分を慰めようと右往左往する。
「……」
あまりにも違う。
今まで自分が持っていた恋愛に対する価値観が、全く違う。
「ロイ、ディー」
涙を堪えて手で拭うと、2人を見た。
「ロイ、お前が好きだ。愛してる」
ロイが俺もだ、と頷く。
「ディーへの返事。さっき、ロイを選ぶつもりで断ろうとしてた。
だけどさ、お前らの、この世界の価値観じゃ、2人同時に好きになっても、同時に付き合っても問題ないってことなんだろ?」
「…そうですね。多くはないですが、珍しいことでもないです」
「そっか…」
ズズッと鼻を啜る。
「それなら、俺はディーも好きだ。まだはっきりと自覚したわけじゃないけど、多分愛してるんだと思う。
告白されて嬉しかったし、キスされて嫌じゃなかった」
ディーが泣きそうな顔になる。
「ショーヘー」
「ショーヘイさん」
「でも」
3人の言葉が重なる。
「一度、距離を置きたい」
2人を見つめる自分の目から涙が溢れた。
元の世界の常識と、この世界の常識。
何度もその違いに驚き、戸惑い、躊躇いつつも、順応してきたつもりだ。
一番の衝撃は、女性のみが恋愛対象だった自分が、男性相手に恋をして、心も体も彼を全て受け入れて、愛し合っていることだ。
それだけでもかなりの衝撃なのに、さらに価値観の違いを思い知らされた。
ここは1人で複数人を愛することを良しとされている世界だと知って、自分の中の恋愛観が崩れた。
元の世界でも、一度に複数人と付き合う人は実際に周りにいたし、そういう話も少なからず聞いたことはある。
ただ、元の世界では、そうやって二股、三股をかけた奴はやがて修羅場を迎え、相手に去られ、さらに周囲から信用を失くすことがほとんどだった。
同時に複数人を相手に、というのが、元の世界の一般的な価値観ではないせいだ。
自分は人並みな、一般的な恋愛価値観を持っている。
1人の女性を愛して、一生を共に添い遂げる。
ずっとそういう価値観で生きてきた。
だから、浮気とか二股とか、絶対にありえないと思っていたし、実際に数年前に美代に浮気されて裏切られ、心に深い傷を負った。
だから、自分はロイ1人を選んで、ディーを受け入れないつもりだったのに。
なのに、この世界では本気で好きになったのなら、同時に複数人を愛しても問題ないという。
その事実を知って、2人の行動の意味がわかった。
だが、意味はわかっても理解は出来ない。
ディーへの告白の返事を考えた時、自分の感情に驚いた。
多分、自分は恋愛感情をディーにも持っている。だから、告白されて嬉しかったし、キスされて気持ち良いと感じた。それは否定しない。
でも、自分にはロイがいる。
自分の中の恋愛価値観と照らし合わせて、ロイを選んだ。
それが正しいと思っていた。
それが突然、同時に2人でも良いんだよ、3人で愛し合おうと言われても、到底理解できるわけもない。
あまりにも価値観が違い過ぎて、受け入れるまでに、かなりの時間が必要だった。
それにこの価値観を受け入れられるかどうかもわからない。
どうしても、二股=裏切り、という構図が頭から離れない。
そしてもう一つ。
ロイとディーの関係にも戸惑っている。
ロイなら、ディーなら、と互いに言う。他の人なら駄目なのはわかる。
でも、何故そこまで2人は。
邪魔なのは、自分なんじゃないか。
そうも思えてくる。
苦しい。
理解したいけど、今まの経験が、価値観が邪魔をする。
だから、距離を置こうと言った。
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