おっさんが願うもの

猫の手

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王都への旅路 〜ドルキア砦〜

おっさん、夜這いされる

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 会議室のような部屋に入り、オズワルドや各団の隊長と副官が揃う中、彼らが話し合った内容を報告された。
「ほんとすみません、うちの若いもんが…。管理不足っス」
 アイザックが自分に頭を下げてくる。
 ここで、セシルというあの小生意気な若い騎士について説明される。その内容に、うわぁ、とその素行の悪さにドン引きした。
 彼らが話していたロイにハニートラップを仕掛けるという話をするべきかどうか悩んだが、結局次の話に移ってしまったために、タイミングを逃して誰にも打ち明けることは出来なかった。
 用心しろと、ロイには話した方がいいのかもしれないが、ハニートラップに対してロイがどういう行動を取るのか、それを知りたいという狡い気持ちもあって話せずにいた。
 要するに、セシルよりも自分を選ぶという確信が欲しいのだ。

「出発は明後日になる。すまんな、こっちの都合で遅くなって」
 ローガンが言う。
 現在、各士団はドルキア砦でオズワルド率いる国境警備隊と共に警備している。
 帰還命令が出たとはいえ、すぐに帰還できるはずもなく、分担していた警備内容や装備品の確認など、様々な手続きや引き継ぎが必要になり、どんなに急いでも、それだけの時間がかかると言う。
「急がせてすまんな」
 ロイが言うと、ローガンもアイザックも問題ない、と手を振って応える。
「で、人員なんだが、大所帯で移動となるとかなり目立つし動きずらい。だから、少数精鋭で行くが、構わんな?」
「勿論です」
 ディーが答える。
 確かに、2部隊で50人程の人数で移動となると、移動中の野営や移動速度にも影響が出る。さらに一般人の目がかなり邪魔になる。
 戦争しているわけでもないのに、騎士の行列は目立つことこの上ない。
「各士団から3名づつ選抜する。俺は取り纏めのために後発隊に入るが、アイザックにはショーヘーの護衛に入ってもらうつもりだ。」
「心得たっス。ってなわけで、ショーヘーさん、よろしく頼むっスよ」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
 そう言って、ペコリと頭を下げた。
 ルートは王都までの最短の街道を通ることになり、出発時間や陣形などの細かい打ち合わせをし、後は各自の準備だけとなり、解散した。
「明後日か…」
 廊下を歩きながら、ポソッと呟くと、ロイが顔を覗き込んで来る。
「何かあったか?」
「いや、何でもないよ。明後日まで何しようかな、と思って」
「…そーだなー…デートする?」
 そうニカッと笑われて、周りが自分のために動いているのに、そんなわけにはいかないだろと、ロイの肩を小突いた。
 本当は、セシルのハニートラップがいつ起こるか、と考えていた。
 明日か、明後日、と彼は口にしていた。本当に仕掛けてくるなら、今日か明日ということになる。
 ロイにセシルの話を打ち明けるべきか、悶々と悩む。
「暇なら、訓練見に行くか?」
 グレイに言われて、そうしようかな、と答える。
「えー、2人きりにさせろよー。イチャイチャしたい」
 そうロイが口にするが、
「イチャイチャじゃなくてSEXしたい、の間違いだろ」
 とグレイに突っ込まれ、否定せずテヘペロっとするロイに、自分の拳がロイの鳩尾に決まった。
 そのまま腹を抑えてプルプルしているロイを放置して、グレイと獣士団の訓練を見に行く。
 そこにロイも追いついてくると、見学から訓練参加へと流れ、2人が訓練という名のシゴキを団員たちにするのを見て、団員たちに心から同情した。
 獣士団の訓練にも関わらず、その中にあのセシルの姿はない。体よくサボっているんだろうと思った。
 しばらくその訓練風景を眺めていたが、昨日あまり眠れなかったせいもあって、どんどんと眠くなってくる。
 ロイとグレイにシゴかれて、団員のギャーギャーという悲鳴を聞きながら、木陰でウトウトと船を漕ぎ出し、そのまま眠りに落ちた。

 夕食時、騎士や兵士に混ざって食事をする。バイキングのようになっている食堂に長いテーブルや椅子が置かれており、4人でそれぞれ食べたいものをとって空いている席に座るが、ロイとグレイがお皿に山のように盛り付けた様を見て、それを見ただけでお腹いっぱいになりそうだと思った。
 席について、早速食べ始めたのだが、その時、昨日の大広間で感じた突き刺さるような魔力を感じて、辺りをキョロキョロと見渡す。チリチリとひりつくような敵意だとわかるが、それがどこから向けられているのかはわからなかった。
「どうした?」
 隣でガツガツと食べているロイが、あたりをキョロキョロしている自分に問いかける。
「いや…なんでもない…」
 ロイに声をかけられた瞬間、嫌な感じが消える。
 確かに敵意だと思う。
 しかも、自分に向けられている。ここに来て2回目だ。
 何なんだろうと、少しだけ不安にかられるが、他人の魔力を感知するなんて、そんな高等技術は身につけていないし、ましてやここにきてまだ2日目なのに、敵意を向けられる理由にも覚えはない。
 きっと気のせいだと自分に納得させた。
 
 いつものように雑談していると、騎士たちが数人、自分へと話しかけてくる。
「すみません、ショーヘイさん」
 その中の1人に砦を案内してくれた、アシュリーという騎士が含まれていた。
「はい」
「お願いがあるんですけど」
 お願いなんて、自分に何か出来ることがあるんだろうか、と思う。
「?」
 食べるのを止めて、彼らに向き直る。
 そして、空いている席を薦めると、トレイをテーブルの上に置き、
「魔法の指導をお願い出来ませんか?」
 そう言ってきた。
「…え!?いやいやいやいや、無理無理無理無理」
 慌てて、手をパタパタと左右に振りながら無理だと断る。
「ごめん、人に教えられるほど魔法を使えるわけじゃないし…」
「駄目ですか…」
 アシュリーがガッカリと肩を落とす。
「ディー、お前明日暇なんじゃねーの?お前が教えてやればいいじゃん」
 ロイがもぐもぐと口の中に物を詰めたまま喋ったので、行儀悪い、と叱る。
「え!そんな恐れ多い!!」
 王家の一員ではあるが、ディーは魔導士団副団長だ。適任だと思う。
「いいですよ。私で良ければ」
 とディーが微笑むと、騎士たちがワッと歓声を上げた。
 確かに、ディーの教え方は上手いと思うけど…、何となくそれは何も知らない初心者の自分だけに対してのものだ、という勘が働いた。
 思わず、心の中で「御愁傷様」とアシュリー達に呟く。
「それにしても、ほんとショーヘイさんの魔法、凄かったー。鳥肌立っちゃいましたよ、俺。あのセシルも口こーんな開けて」
 アシュリーがあーと大きな口を開けて真似をするので面白くて笑った。
「ロイもディーも出来るよな?」
 実際に2人の使った魔法を思い出しながらイメージしてやったことだったので、そう言った。
「まあな」
 フフンと鼻息を荒くしてドヤ顔を決めるが、口の周りに食べカスがいっぱいついていて、いまいち決まらない。
「あーもー、ついてるって!ほら!」
 テーブルナプキンで、その口の周りをキュキュッと拭いてやる。
「ガツガツ食うからだ」
 ブツブツと独り言のように呟いて、パンを一口分ちぎって自分も食べる。
 そして、ふとアシュリーたち騎士が自分を見る視線に気付いた。
「なに?」
 ディーとグレイは今にも吹き出しそうになっている。
「…あ…いや…ショーヘイさん、お母さんみたいです…ね」
 アシュリーのその言葉に、耐えきれなくなったディーとグレイが大口を開けてゲラゲラと笑い出した。
「せめてお父さんと言え」
 もうこういう揶揄いにも慣れてきた。そう言い返すと、アシュリー達も笑い出す。
 それから、アシュリーや他の騎士たちも混ざって雑談をし、和やかに食事終わった。
 昨日感じた疎外感がまた少しだけ薄れる。

 各々が部屋に戻るために廊下を歩く。
 自分は別棟のため、ロイが部屋の前まで警護という理由をつけて送ってくれた。
 部屋のドアの脇に立っている2人の騎士が見えた所で、後ろにいるロイを振り返る。
「ありがとう、ここでいいよ。おやすみ」
 だが、ロイは返事をせずにニコニコとするだけで一向に帰ろうとしない。
「なに?」
 首を傾げてそう聞くと、スッと自分の耳元に顔を寄せ、自分だけに聞こえるように小さな声でボソッと耳打ちした。
「!」
 耳に言葉とともに吐息を吹きかけられ、ゾワッと鳥肌が立つ。すぐに耳まで真っ赤に染まり、囁かれた側の耳を手で抑える。
「お、おやすみ」
 薄暗い中で真っ赤に染まったのは誰にも気付かれないだろうが、それでも恥ずかしくてそそくさと自分の部屋へ向かう。
「なんだよ…」
 心臓がバクバクと脈打って、顔が熱い。
 部屋の前、赤く染まった顔を隠すようにして警護の騎士に会釈しながら急いで部屋に入る。

「夜這いしに来るから」

 そう囁かれた。
 沸騰しそうになるくらい恥ずかしくて悶絶した。
 そして、ふと部屋を眺めて考える。
 鉄格子のような柵のついた窓。ドアの前にいる警護の騎士が2人。
「どうやって?」
 と首を傾げた。




 夜這いって、つまりはSEXするためにここに来るってことだ。
 だが、さっきも思ったがどうやってこの部屋に入ると言うのだろうか。
 まさか正面切って騎士2人に「夜這いに来た」なんて告げるわけはないだろう。
 だが、ロイの明け透けな言動を考えると、本当にそうやって来るかもしれない、と思って乾笑する。
 そして、気になることがもう一つ。
 セシルが今夜か明日にロイに対してハニートラップを仕掛けてくるかもしれない。
 もし今夜決行するとしたら、部屋にいるはずのロイがいないことに、どういう行動を取るだろうか。
 ベッドの上で、枕を抱きしめながら悶々と考えつつゴロゴロと転がる。
 考えても答えは出てこない。
「はぁ…風呂入ろ…」
 呟いて浴室に向かった。
 豪華にもこの部屋に備え付けの浴室があった。すでにクリーン魔法は自分でも使えるようになっていたが、それでもやっぱり風呂には入りたいと思う。
 映画で見た猫足のバスタブのような湯船に張られた水に、小さな火魔法を放り込む。その瞬間、ボコボコっと音を立ててお湯が沸き立つと、丁度良い温度になるまで調節しながら水を温めていく。
 体を洗ってからゆっくりと湯船に入り、全身を浸からせると、
「はあああぁぁぁー…」
 と長めのため息を吐く。
「気持ちー、やっぱ風呂だよなー」
 両手両足を投げ出して、天井を見上げつつ再びモヤっとさっきの続きを考える。
「ほんとどっから来るつもりなんだろう」
 ボソッと独り言を呟く。
 だが、ロイの事を考えているうちに、徐々に体が熱を持ってくることに気付いて、忘れようと頭を降り、バシャバシャと顔にお湯をかける。
 だが、一度考えてしまったHな思考がなかなか収まらず、下半身が疼いてしまう。
 特にアナルが刺激を思い出して、キュンキュンと疼く。
「……/////」
 意を決して、自分でアナルに触れてみる。
「ん…」
 チャプンとお湯が揺れた。
 入口をなぞるように指を這わせ、クンと押してみると、柔らかくなっているその場所に驚いて指を離した
「嘘…」
 再びゆっくりとアナルに触れ、その柔らかさを確認する。
 何度もつつくように指の腹でトントンとつつき、思い切って指を入れてみた。
「ん」
 クプッとすぐに自分の指を飲み込む。
「あ…ん…」
 中指を入る所まで挿入すると、そのまま自分でアナルを犯す。
 指の抽送にチャプンチャプンとお湯が揺れ、自分の声をかき消した。
「気持ちい…」
 まさか自分でしても気持ちいいなんて思わなかった。
 指を2本に増やして、入口を広げるように動かすが、全く痛くない。
 それだけロイに慣らされて、あの太くて長いペニスを受け入れてきた証だと思った。
「ん…ん…」
 自分でアナルを犯し、我慢できなくなってペニスも掴んで上下に扱く。
「あ…はぁ…」
 アナルの中で指をグリグリと動かし、同時にペニスを強めに扱くと、呆気なく絶頂に達した。
「~////」
 まさかアナニーするまで自分の体が開発されてしまっているなんて思いもしなかった。
 しかも、射精したのにも関わらず、全然物足りない。
 ここに、ロイが欲しい。
 浅ましくそう思ってしまって、自己嫌悪に陥る。
「はぁ…」
 小さくため息を吐くと、ザバッと湯船から出て、汚れてしまったお湯をすぐに捨てた。
 体を拭いて寝夜着を着る頃には、下半身の疼きも止んで、そのままベッドにバッタリと倒れ込むと目を閉じた。
「ほんとに来んのかな…」
 そう思いながら、温まった体に睡魔が襲ってくる。
 その睡魔に勝てず、ベッドに倒れ込んだうつ伏せの姿勢で眠りに落ちた。

 ガタ、ガタ、ゴソゴソという音に徐々に覚醒する。
「?」
 時間を見ると23時を過ぎた頃で、30分くらい眠っていたと気付く。
 さっきからゴトゴトという音がして、何処から聞こえてくるのか辺りを見渡した。
 そして、いきなり壁に備え付けのクローゼットが内側から開けられて、びっくりしてギャッと声を出したが、クローゼットから飛び出した影に口を塞がれて、そのままベッドに押し倒された。
「シー…」
 口を塞がれて顔の側でそう言われると、その声の主がロイだと気付いて、悲鳴を抑えた。
「お前、どっか…」
「シーって」
 むぐっとまた手で口を塞がれる。
「小さな声で」
 こそこそした声でロイに囁かれて、手を離される。
「どうやってここに…」
 小さい声で、ロイが飛び出してきたクローゼットを見ると、その奥がぽっかりと黒い穴を開けていて、目を凝らすと、その先が壁も通り抜けた通路になっていることがわかった。
「隠し通路だよ」
 ロイがそう言って、自分の上から避けると、その通路の出入口であるクローゼットを閉める。
「なんでそんなもんが。っていうか何でお前が知ってるわけ?」
「この部屋は要人を保護するための部屋だからな。万が一の時に逃がせるようにこういう仕掛けがあるんだ。
 それに、俺はここに2年近くいたからな。全ての隠し通路は把握済みだ」
 シシシとロイが笑う。
 そう言えば、ここは戦争中の前線基地だったと聞いた。
 その当時、獣士団団長だったんだから、知っていて当たり前か、と納得する。
「約束通り、夜這いに来たぞ」
 そう言って、自分に飛びかかって来てベッドに押し付けられる。
「ちょっ」
「静かに」
 顔を近づけられて、指一本を口に当てられる。
「ここ、遮音魔法使えないんだよ。だから、声抑えて」
「え、使えないって、どうし…」
 聞き終わる前にハッと理解した。
 万が一部屋で襲撃さたら、音で気付くことが出来ない。
 ドア一枚隔てて警護にあたっている騎士が2人、今もそこにいる。
 そんな状況でSEXしようと言うのか。
「む、無理」
 いくらドアがあっても数メートル先に人がいるという状況に、真っ赤になりながら、プルプルと頭を振って全身で拒否する。
「ドア、結構厚いから少しくらいなら大丈夫」
 そんな自分をあっさり捕まえると、おもむろに寝夜着の中に手を入れてくる。
 そしてそのままキスをされた。
 重ねるだけのキスから、何度も角度をずらして舌を絡ませ合う。
 口内の性感帯をロイの舌が的確に刺激して、それだけで頭の奥が痺れるような快感に襲われた。
 寝夜着に侵入して肌の上を滑っていた右手が、器用に中からボタンを外していく。
 キスをしながら、あっという間にボタンを外されて胸を曝け出す。

 なんだその高度な技!

 内側からボタンを外すという行為にかなり驚く。
 その間もロイの舌が止まらない。
 舌を絡め取り、ねっとりと嬲られて、息が上がってくる。
「ん…ん…ぁ」
 口の端から溢れた唾液が溢れ落ち、その唾液も舌で掬い取られ、何度も深いキスを繰り返す。
「ふぁ…あ…」
 容赦のないキスに、ゾクゾクとした快感が全身を包み込み、下半身もはっきりと反応を示す。
 不意にロイが自分の手を取ると、その手をロイの股間へ持っていき、布越しにペニスに触れさせられた。
 手の平に、ロイの大きく太いペニスがビクビクと脈打っているのが伝わり、それだけでイッてしまいそうになるくらい、興奮する。
「すごいだろ?ショーヘーとキスするだけで、こんなんなっちまう」
 耳元でそう囁かれて、自分の手の平に布越しではあるがペニスを押し付けられる。
「あ…」
 手にロイのペニスの熱さが伝わり、そっとペニスを握ると、ロイがビクンと体を震わせた。
「俺も…、もう…」
 そう言って、自分のペニスをロイの足に押しつけた。
「お互い、スケベだな」
 ロイが笑いながら、自分のペニスを布越しに触って、ゆるゆると撫でてくる。
 再び濃厚なキスを繰り返しながら、互いに服を脱がせあい、裸になって抱き合った。
 ロイの体がすごく熱くて、ロイも興奮してるとわかって嬉しくなる。
 ロイが何の前触れもなく、乳首にしゃぶりつき、ピンク色に色づいた乳首をその舌で転がし、舌を使って弾く。
「ん…ん…ふ…」
 手で口を抑え、声が出ないように必死に堪えるが、舌で指で乳首を愛撫されて、抑えてもくぐもった喘ぎをどうしても漏らしてしまう。
「声、聞けないのが残念」
 そう言って、乳首の先端を舌先でチロチロと何度も舐めると、それに自分のペニスがピクピクと跳ねるように反応した。
「ここ、好きだよな」
 指先で先端をクルクル回すように触られると、乳首だけでイキそうになってしまう。
「俺も、ショーヘーのここ好き」
 そう言いながら、乳首の周りまでしゃぶるように口を大きく開けて吸い付いてくる。
「んんん!」
 口の中で乱暴に乳首を転がし、チュゥゥッと引っ張るように強く吸い上げる。
「ん!!んんーー」
 その刺激に全身が震えて体を強張らせ、足をバタつかせた。必死に両手で口を抑えて声を抑える代わりに、その強烈な快感に、目を閉じていても涙が出てくる。
 乳首への愛撫を止めず、そのままゆっくりと指を胸から腹、下腹部へ滑らせて、濡れたペニスを包み込み、さらに陰嚢から、アナルへと指を這わせた。
 指先でアナルをトントンとつつき、ペニスから溢れた蜜を指の腹で何度も入口に擦り付ける。
「……」
 不意にロイの指の動きが止まり、何かを考えると、体を起こす。
 突然体を離されて、薄目を開けてロイの姿を確認した途端、下半身を腰ごと担ぎ上げられた。
「わ」
 驚いて口を抑えていた腕が緩んで声が出そうになったが、なんとか堪える。
 腰を高く持ち上げられてくの字なり、尻を上へ突き上げた体勢で、アナルが丸見えの状態にされて、その体勢の恥ずかしさに、目の前がグルグルする。
「ここ」
 腕で太ももの裏を抑えられ、指でアナルをトントンとつつく。
「もしかして、自分で弄った?」
 静かにそう聞かれて、なんでバレたのか不思議に思うのと同時に、ものすごい羞恥心が襲ってくる。
「いつもより、ぜんぜん柔らかい」
 指でアナルを広げられ、ロイの舌がその入口を舐めた。
「んーー!!」
 必死に口を抑えて声を抑える。
「自分で準備したの?」
 クプッと指が挿入された。
「ん、んぅ、ふぅ」
 クプクプと何度も挿入を繰り返し、指も2本に増やされる。
「すげー柔らかくなってる…」
 中をこじ開けるように指を広げられて、背筋を快感が走った。
「ねぇ自分で指入れた?指入れて、中を弄った?」
 そう言葉で攻め立てられて、快感と羞恥心に涙が溢れる。
「教えて。自分で、した?」
 ギュッと目を瞑って、コクンと頷いた。
「俺を想像しながら、した?」
 さらに聞きながら、ヌプヌプと指を何度も挿入する。
 その質問にも、コクコクと頷く。
「…可愛い、ショーヘー」
 指が引き抜かれ、思い切りアナルを広げられると、ジュルルルッと音を立てて舌で何度も舐められ、舌先を中に入れられた。
「!!!ん!んーー!!」
 アナルから舌が離れ、唾液が糸を引く。その腰をゆっくりと下ろすと、足を腕にひっかけたまま、自分に覆い被さり、ペニスの先端をアナルの入口に添えて、そのまま姿勢を倒す。
 グプププと、アナルにペニスが挿入される。
「ぁ…んん…んーーー!!!」
 中を広げられ、熱いペニスを受け入れた瞬間、射精した。
 自分でした時、物足りないと感じたものを与えられて、耐えられなかった。
「はぁ…」
 奥まで挿入が終わると、うっとりとしたロイのため息が聞こえる。
「俺も、挿れただけでイキそー」
 自分を締め付けてくる中に、腰を揺らしていないのに、絶頂を迎えそうになって、中でビクビクとロイのペニスが跳ねるのがわかる。
「すぐイッちゃってもいい?」
 両手で口を抑えたまま、またコクコクと頷く。
 それを見てすぐに太ももを抱えると、奥を突き上げるように腰を揺すると、すぐに射精した。
 ドクドクと中に注がれる精液を感じ、再び自分のペニスが熱を持つのがわかった。
「はは…何度でもイケそう」
 そう言うと、一度引き抜き、自分をひっくり返すと、尻をロイに突き出すような姿勢を取らされた。
「枕に顔、押し付けるといいよ」
 言われた通り、枕を抱きしめて顔を押し付ける。
 そして、再び挿入されたロイの熱いペニスに、喘ぎ声を枕に吸収させた。
「んー!ん!ん!!」
 何度も腰を打ちつけられ、深く浅く抽送を繰り返す。
 グチュグチュという濡れた音、肉がぶつかり合う音、ベッドのギシギシと軋む音が断続的に続く。
 突き上げられ、後ろから手を伸ばされてペニスを扱かれる。
 何度も何度もイカされ、頭が真っ白になる。
「ぁ…ぁ…ん」
 荒い呼吸と小さな喘ぎが律動に合わせてその口から漏れた。
 数度目の中への射精の後、ロイがようやっとアナルからペニスを引き抜いた。
 途端に溢れて、太ももを伝う精液を見て、ロイが満足した表情を浮かべながら、自分を背後から抱きしめて、何度も背中や頸、肩に軽いキスを繰り返す。
「愛してる、ショーヘー」
「…うん…俺も…」
 ギュッと抱きしめられて、愛を囁かれ、嬉しさと安心感に包まれる。
「1人にしてごめん…」
 力強く抱きしめられ、昨日のことを謝られた。
「…いいよ、久しぶりに仲間に会ったんだから…仕方ないよ…」
 本当はかなり辛かった。
 でも、楽しそうなロイを邪魔することなんて出来なかった。
 自分がもっと強くなればいい。
 ロイの隣に立てるように、もっと強くなろう、そう思うきっかけにもなった。
「俺…がんばるから…」
「え?」
 そう言われて体を起こす。
 自分も体勢を変えて仰向けになる。
「お前の隣に立てるように、もっと愛してもらえるように、がんばるから…」
 そう告白し、ロイへ両腕を伸ばした。
「ショーヘー…」
 その言葉に胸が熱くなる。
 ショーヘーに出会って、好きになって、愛し合って、どんどん心が満たされていくのを感じている。
 覆い被さるように、ギュッと抱きしめる。
「俺の隣はお前だけだ」
 そう耳元で囁かれ、嬉しくて微笑む。
「ありがとう」
 お互いにそう言い、長めのキスをする。
 互いにクリーン魔法を掛け合う行為も嬉しくて楽しい。クスクスと笑いながら、後始末をした。
 そして、来た時と同じように、クローゼットの中へ戻って行くロイを見て、その姿が面白くて声を押し殺して笑った。
「おやすみ」
 クローゼットのドアが閉まる直前に、軽いキスを交わして、パタンとドアが閉まる。そしてゴトゴトという音がして、すぐに静かになった。

 自分のためじゃない。
 ロイのために強くなろう。
 ロイの隣に立っても、誰にも何も文句は言われないように。言われても平気だと思えるくらい強くなろう。
 ずっとロイの隣に、そばにいるために。

 そう心に誓う。

 
 



  
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