おっさんが願うもの

猫の手

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王都への旅路 〜ドルキア砦〜

45.おっさん、保護される

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 交代で御者席に座って馬車を走らせる。3頭の馬はとても優秀で、方向だけ示してやれば、ちゃんと道通りに進んでくれるので、初心者の自分でも馬車を操ることが出来た。
 適度に休憩をはさみながら、予定していたよりも1日早くドルキアに到着しそうだった。



 馬車の隣に立てた天幕から少し離れた森の中で、ロイが木によしかかり、背後から自分を抱きしめる。
 ロイの胸に背中を預ける形で、さっきから耳を嬲られ、服の上から体を撫でられる。
 ロイの手が、シャツの中に侵入してくると、その肌の質感を確かめるようにくまなく指を滑らせて、的確に性感帯をなぞってくる動きに体を震わせた。
「ん…」
 右耳を舐められ、あむっと甘噛みされてピクンと体が反応した。
「シャツ、咥えてて」
 シャツを捲り、その裾を咥えるように言われて、言われた通りシャツが落ちないようにシャツを噛む。
 後ろからロイの手がゆっくりと上半身を弄ってくる。そして、ピンク色にぷっくりと立ち上がった乳首に触れると、クリクリと指で先を擦られ、何度も弾かれてビクビクと体を震わせた。
「可愛い、コリコリしてる」
「んぅ、ん、んん」
 シャツを咥えたまま、喘ぎを漏らす。
「ショーヘー、ここ好き…?」
 ここ、と乳首をトントンと指先でつつかれながら、耳に触れた唇で囁くように言われて、ロイの濡れた声と熱い吐息に、ゾクゾクと背筋を快感が走った。
 聞かれて、コクコクと頷く。
「脱がせるよ」
 片手で器用にズボンを下着ごと下げられると、重力に負けてストンと足首まで落ちた。
 耳と上半身だけの刺激で、その存在を主張し始めていた自分のペニスを、外気に曝け出し、自分の肩越しに上からペニスを見られる。
「ショーヘー可愛い…。ここ、ピクピクして、いっぱい溢れてる」
 そう言いながら、鈴口からトロトロ溢れ出る蜜を指で掬う。
 言葉で煽られて、恥ずかしくて真っ赤になるが、薄暗い森の中でロイにはきっと見えない。
 左手で乳首をいじられ、右手で陰嚢ごとペニスを掴まれて揉まれる。
「ん、んぅ」
 その度にビクビクと腰が揺れた。
 蜜で濡れた指を、さらに奥、アナルまで滑り込ませ、マッサージするようにヌルヌルと指でなぞられ、つぷっと中指を挿入された。
「んぁ」
 その快感に思わず噛んでいたシャツを離す。
「ショーヘーのここ、中でキュンキュン指を締め付けてくる」
「あ、ぁ、ん」
 首をのけぞらせてロイに後頭部を押し付けるような体勢になると、アナルの指を2本に増やして、入口を広げるように動き出す。
「あ、あ、あ」
「中、すごく熱い」
 中を広げるように指を動かされ、徐々に柔らかくほぐれていく腸壁にロイがうっとりすると指を引き抜いて体勢を変えた。
 今度は自分を木に押し付け、正面にロイが回り込む。そして、いつのまにか前をくつろげたのか、自分の右足を持ち上げるとペニスの先をアナルへ押し付けてきた。
 片足立ちの格好に不安定になるが、ロイの腕がしっかりと自分を支えてくる。
「挿れるよ」
 言葉と共に、ゆっくりと挿入された。
 グプププッとロイのペニスがアナルに飲み込まれていく。
「あぁ…いい…ショーヘーの中、熱くて、狭くて、気持ちいい」
「は…ぁ…」
 アナルがロイで満たされ、ロイの言葉に勝手に腸壁が蠢く。
 グン、グンと下から突き上げられると、自分のペニスもそれに合わせてプルンプルンと揺れた。
「ショーヘー、気持ちいい?」
 奥までロイのペニスに翻弄されながら、ロイに聞かれて首を縦に振る。
「あ、あ」
「すごいよ、全部俺を飲み込んで、ヒクヒクしてる」
 ツーと指で入口をなぞられて、ビクビクと体を震わせた。
「ここも可愛い。こんなに濡れて」
 自分のペニスから次々に溢れる蜜を手に取って、わざとグチュグチュと音を立てて扱かれる。
「ここ触ると、中がキュッて締まる」
 さらに言葉が耳を犯す。
 恥ずかしくて、気持ちよくて、涙目になって喘ぐ。
 突き上げに合わせて喘ぐ自分をうっとりしながら眺めると、地面についていたもう片方の足も持ち上げられ、落ちそうになった体を支えるためにロイの首に両腕を回した。
「んあ!あ!あん!」
 腕を回して抱っこするように足の付け根部分を掴み、完全に持ち上げられた体を上下に跳ねるように揺さぶられると、重力でロイのペニスが奥まで入ってくる。
「ん!あ!」
 ズンズンと突き上げられ、湧き上がる快感に声なんて我慢できなかった。
「ショーヘー…、好きだ。中に出すよ」
「あ!ぁー…」
 そして、その奥にロイの精液が放たれ、その熱さを感じて自分も射精した。
 ゆっくりと名残惜しそうに引き抜かれて、足を下ろされる。
 荒くなった息を整えながら、クタッと木に背中を預けると、チュッチュッとロイが軽いキスを何度もされて、耳元で
「ショーヘー、サイコー」
 そう囁かれた。
 そして、クリーン魔法をかけて、衣服を整えてくれる。
 その間ずっと上機嫌のままのロイは、天幕に戻っても、自分をギュッと抱きしめて眠った。

 最近、ロイの言葉責めが半端ない。
 可愛い可愛いと連呼され、まるで実況中継をするかのように、その有様を言葉で伝えられて、恥ずかしくて恥ずかしくて、SEX中、喘ぎ以外はほぼ無言になってしまっていた。
 ロイが楽しい、嬉しいならそれでもいいと思うのだが、いかんせん恥ずかし過ぎて、SEXが終わった後、精神的に疲れてしまう。
 それが最近の悩みだった。




 今日ドルキア砦に到着する。

 ギルバートから自分を王都まで護衛するように、という命令書を預かっており、自分がジュノーであるという、本当の事情を話すのは、砦長とその副官、各部隊の隊長及び副官だけにすることになった。
 一般兵には、自分はとある事件に巻き込まれ、その証人として保護されて王都に向かっている、という設定で通す。
 ついでに、この世界の常識についてうとい、かつ出身地や身分などもわからないのは、巻き込まれた時に負った怪我のせいで記憶障害が起こっている、という細かい設定も付け加える。
 これなら、何を聞かれてもわからないで通せるし、おかしなことを口走っても変に思われることはないだろう。 
「とにかく、何を聞かれても言われても、わからない、知らないで通してください」
「わかった」
 この間の聖女様に比べたら、こんな設定なんてことない。むしろ、本当に何もわからないんだから有難いと思った。
「ドルキアに着いたら、すぐに王都に向かうのか?」
「そのつもりではいます。何か?」
「いや…今まで4人で旅してきて、いきなり大所帯になるんだなって」
 恐縮しながら笑顔を作る。
「結構、楽しかったから…」
「ショーヘー…」
 ロイがキュッと自分を抱きしめた。
「おい」
「そんな可愛いこと言うなよー」
 キュンキュンするじゃねーか、とロイが笑う。ディーもグレイも少しだけ複雑な表情で自分を見る。
 数時間後には、4人の旅が終わる。
 それを考えると、寂しいと心から思った。



「うわぁーすげーなー」
 目の前に見える、崖に面した巨大な岩をくり抜いて作られた要塞に開いた口が塞がらない。
 毎回毎回、違う街を見るたびについつい感嘆の声をあげてしまう。外国には似たようなものがあるのかもしれないが、国内旅行しかしたことのない自分には、日本にはない建造物を見て驚きの声を出してしまうのだ。
 要塞の前には街が広がって、その城壁を出入りしている大勢の人たちが小さく見える。
「久しぶりに来たなー」
 3人がしみじみとドルキア砦を眺める。
 砦が見える場所で一旦馬車を止め、全員がその砦を見る。
「懐かしい?」
「まあな、ここは前線基地だったから」
 前線という言葉を聞いて、グッと口を結んだ。
 ここは5年前まで戦場だったということを聞いて何も言えなくなる。
「砦の向こう側が敵国だったジェラール聖王国です。今は協定を結んで大人しくしてますがね」
 ディーがそう教えてくれる。
「じゃ、そろそろ行きますか。魔法解除しますね」
 そう言って、全員の認識阻害の魔法を解いた。もう、魔法は必要がない。
「ショーヘー、不安か?」
 馬車に乗り込む前、隣に立ったロイにキュッと手を繋がれた。
「ああ、少しな…」
 痩せ我慢しても仕方がない。素直に不安な気持ちを打ち明ける。
 味方だとはいえ、今後は大勢の人たちに囲まれて移動すると思うと、上手くやっていけるだろうかと不安にもなる。
「大丈夫だ。俺がそばにいるから」
 ニカっといつものロイの笑顔に、自分も笑顔で返す。
 自然とキスを交わし、グレイの行くぞーという声で馬車に乗り込んだ。


 城壁に近づくにつれて、その周囲がどんどんと慌ただしくなっていく。
 わらわらと兵士が出てきて、走り回る様子が見られる。
「こっちに気付きましたね」
 ディーがその様子を窓から顔を出して確認する。
 御者席には獣士団第2部隊長のグレイがいるのだ。さらに、黒塗りのランドール家の馬車。気付くな、という方が無理な話だ。
 みるみるうちに城壁の外に数人の兵士が並び、出入りする一般の人が隅に追いやられて何事かと遠巻きに野次馬を始める。
 馬車をゆっくり進めて、整列した兵士の手前で一度止めると、中から兵士長らしき男が走ってきた。
「グレイ様、お久しぶりです!!」
「ああ、ギース兵士長、久しぶりだ」
 グレイが御者席から声をかける。
 自分よりも遥かに年下のグレイにそう言われて、兵士長がグッと感極まった表情になった。
「ようこそ、ドルキアへ。獣士団第4部隊、騎士団第2部隊の皆様も中でお待ちです」
 ありがとう、とゆっくりと整列した兵士の間を進んで城壁内へ入っていく。
 城壁の10mほどのトンネルを抜けると、そこに4、50人の騎士がズラッと並び、馬車を出迎えた。
 その前で馬車を止めると、馬車からロイとディーが降りる。
「ショーヘーは待ってろな」
 降りる直前にロイに言われて、中からカーテン越しにそっと外を見た。
「おおー」
 騎士達の一糸乱れぬ整列に、胸を張った立ち姿。そのカッコ良さに素直に感嘆の声を上げた。
「ディーゼル・サンドラーク殿下!!元獣士団団長ロイ様!!獣士団第2部隊長グレイ様に!!
 敬礼!!!」
 その呼びかけに、全員が揃って踵を鳴らし、ギルバート邸で見た敬礼を3人に向ける。
「かっこいー」
 馬車の中で呟く。
「おー、なんだなんだー、誰かと思えば、悪ガキトリオかよー」
 ワハハハと笑いながら、のしのしと髭面の50代くらいの大柄な男が赤いマントをはためかせて近づいてくる。 
 そんなに長くはないが無造作に伸ばした髪を三つ編みにして前に垂らし、その先に小さな赤いリボンをつけていた。
 そのリボンに、「かわい」と馬車の中で呟く。それにしても悪ガキトリオという言い方に、3人とも四捨五入すれば30歳なのにな、と小さく笑った。
「ギルバート様かと思って焦ったぜ」
 ランドール家の家紋の馬車で勘違いしたらしい。
「久しいな、ロイ」
 さらに長身の薄紫の騎士服を着た男が声をかけてくる。
「グレイ様、お疲れ様でございます!」
 濃紺の騎士服を着た垂れた犬耳の男がグレイに再度敬礼した。
「まぁまぁなんか用があって来たんだろう。入れや」
 三つ編み男が言うと、チラッと馬車を見た。
「そっちの人も」
 カーテンの影からこっそり見ていたのがバレており、ヒュッと隠れた。
 ロイが馬車のドアを開けて、もういいよ、と手を差し出してくる。
 聖女様の時同様にエスコートされることに恥ずかしくて、
「いいよ、自分で降りれる」
 と言ったが、いいから、と手を握られた。
 ゆっくりと馬車を降りると、その場にいた兵士から騎士、さらにその後ろにいる一般の人にまで数百人の視線に晒され、思った以上に狼狽え、かなり緊張して体が強張る。
 もしロイが手を繋いで支えてくれていなかったら、転んでいたかもしれない、とその手に感謝する。
「そちらは?」
 見られすぎて、かなり縮こまり萎縮しながらロイの手を離すのを忘れるばかりか、緊張し過ぎて手をギュッと握り返してしまった。
 ロイがクスッと笑いながら、そのまま引いて手を繋いだまま自分の隣に立たせる。
 オズワルド達にペコリと頭を下げたが、ロイと繋いだままの手を見られて、恥ずかしくて視線を逸らす。
 思わず手を離そうとするが、逆に指を絡められて恋人繋ぎをされた。
「中で説明しますね」
 ディーが微笑むと、三つ編み男がすぐに察して、マントを翻しつつ踵を返す。
「おー、解散なー。宴会の準備しとけやー」
 そう指示を出すと、全員が「は!」と言って、でも宴会という言葉に嬉しそうに持ち場へと散り散りになっていく。
 そのまま手を繋いだまま、促されるまま三つ編み男に全員でついていった。
  



 会議室のような部屋で改めて自己紹介をする。
「ショーヘイと申します」
 ペコリと頭を下げる。
「俺はオズワルドだ。ここの砦で一番偉い人ー」
 ワハハハと三つ編み男が笑う。
 それぞれの名前を教えてもらう。
 砦長オズワルド、その副官ルイ。
 騎士団第2部隊長ローガン、副官アーチー。
 獣士団第4部隊長アイザック、副官ルーカス。
 一気に名前を言われて、必死に顔と名前を頭に叩き込む。
 それぞれ、来ている騎士服に色の違いがあるので、体の特徴と合わせて覚えやすかったが、それでも馴染みが薄い外国の名前に苦戦した。

 ディーがまずギルバートからの書簡をオズワルドに渡し、それを各隊長へと回し読みをする。
「ジュノーかー。なるほどなー。そういうことかー」
 オズワルドの語尾を伸ばす話し方に、なんとなく気が抜ける。
「なぜ国境沿いに士団の2部隊が派遣されたのかと不思議だったんだが、なるほど、ジュノーの存在があったからか」
 ローガンが納得したと頷く。
「お隣さんがやたら密入国してこようとしてたのは、ジュノーを奪いに行くつもりだったんですねー」
 アイザックもローガンと同様にうんうんと頷く。
「そういうわけなので、ショーヘイさんの護衛、よろしくお願いします」
「了解」
 ローガンとアイザックが微笑む。
「現在斥候に出ている班をすぐに呼び戻そう」
 ローガンがアーチーに目配せすると、彼はすぐに部屋を出て行った。
「イグリットから来たんだろー?
 聖女が現れたって噂になってるじゃねーか。モンスターブレイクをその聖女が撃破したってよー。
 お前ら会ったかー?」
 オズワルドがそう言い、4人で顔を見合わせて、声に出して笑った。
「なんだ?」
「説明します」
 ディーがイグリットでの聖女降臨の噂と、御家騒動、ジュリアが領主となることを簡潔に説明した。
「ほへー、そんなことがあったんかー」
 オズワルドのほんわかとした口調に、だんだんと面白くなってきて、クスクスと笑い出してしまった。
「ショーヘーがジュノーで聖女様で、ロイのこれってわけか」
 ニヤニヤとしながら、右手の小指を立てた。
 それを見て、意味を瞬時に理解して、ボンッと赤面する。
「おや、なかなかいい反応をしますね」
 ローガンもそんな自分を見て、ロイと自分に揶揄いの表情を浮かべる。
「ロイー、お前獣士団辞めて、嫁探しの旅をしてたのか」
「まあな」
 ロイがシシシと笑って、自分の肩を抱き寄せるが、すかさず、人前で止めろとその腕から逃げてグレイの隣へ移動する。
 それを見たオズワルドとローガンが、早速尻に敷かれてんなーと声に出して笑った。
「まぁ、今はゆっくり休めや。夜には宴会すっからよー」
 それからすぐに宿泊する砦内の部屋へ案内してもらう。
 だが、
「えー!なんでだよー!」
 廊下でロイが叫ぶ。
「仕方ないでしょう、ショーヘイさんは今回、純粋な護衛対象なんです」
「いーやーだー。ショーヘーと一緒の部屋がいいー」
「我儘言うな」
 グレイに頭をスパンと叩かれ口を尖らせると、
「もしショーヘーがジュリアだったら、お前だって文句言うだろうが」
 とボソッと呟くと、ゴンと拳骨で頭を殴られた。
 今回自分は、一般兵にはあくまでも事件の証人という立場になる。だから、この砦では客人というよりも、保護対象であるため、ロイ達とは宿泊する部屋の位置が変わってしまうのだ。
「ローイ、我慢しろ」
 最後に自分がそう言うと、口を尖らせたまま黙り込んだ。そしてギュッと自分の手を握る。
「おいおい、これがあの白炎の狼かよw」
 オズワルドが今にも吹き出さんとばかりに口を押さえる。ローガンもしかり。
 そういえば、ディーとグレイに会った時もこんなロイの姿は初めて見たと言っていた。
 彼らの中のロイという人物が、自分の知っているロイとは違うんだと、昔のロイを知る彼らにほんの少しだけ嫉妬した。
 まずはロイ達が泊まるそれぞれの個室へと案内され、次に別棟にある自分の部屋へ通された。
「後で荷物持って来させるから、それまでゆっくりしてろー」
 そう言われて、ゾロゾロとみんな部屋から出ていく。
 最後にロイが名残惜しそうに、最後まで手を離そうとしなかったが、引きずられるように部屋を出て行き、苦笑しながら見送った。
「はぁ…」
 静かになった部屋で小さく息を吐く。
 もう、4人で行動することはない。大部屋で無駄口を叩きながら雑魚寝をすることもない。
 まるで学生時代の修学旅行のように枕を投げあったり、プロレスごっこのような遊びをしたり、そういうことはもうない。
 ロイと2人で狭いシングルベッドで抱き合って眠ることもない。
 少し、いやかなり寂しいと感じた。
「牢屋みてー」
 鉄格子のような枠が入った窓から外を見る。
 守られるということは、誰も入って来られないようにするということ。入って来られない代わりに、自分も自由に出入りすることも出来ないだろう。
 ほぼ軟禁に近いと思った。
 内開きの窓を開けて、外の風を中に取り込み、その鉄格子に触れた。

 これからどうなるんだろう。

 鼻の奥がツンと痛み、涙が出てきそうになる。

 はっきりと怖いと感じていた。



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