おっさんが願うもの

猫の手

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王都への旅路 〜イグリットお家騒動〜

38.おっさん、筋書きを立てる

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「反対だ。絶対に駄目」
 ロイが怒っている。
「じゃあ、他にいい案があるか?」
「それにしたって、貴方の負担が」
「それはそれ。結果だけ見れば、そのなんとか卿も今後は手を出せなくなる」
「しかし…」
「ショーヘー、お前、自分が何をしようとしているのか、本当にわかってんだよな」
「わかってるよ」
 ロイの怒った口調に苦笑する。
「いや、でも…」
 ディーがブツブツと考え始める。
「絶対駄目だ!!何のために俺たちがお前を守ってると思ってんだ!!」
 ロイが勢いよく立ち上がり、椅子が後ろにひっくり返る。
「ロイ、落ち着けよ」
「落ち着いていられるかよ!!」
 怒鳴り声をあげ、そのまま大股で歩くと部屋を出ていった。バタンと壊れそうな勢いでドアが閉められる。
「ショーヘー…」
 グレイが立ち上がって頭を下げた。
「すまない。お前を守るべきなのに」
「お前が謝ることはないよ。それにさ、俺だって戦えないわけじゃない。いざって時は、誰かを殺すくらいの覚悟は出来てるよ」
 口ではそう言ったが、野盗に怪我を負わせた経験しかなく、実際には殺したことはない。おそらく、いざそういう状況になった時、きっと自分は躊躇するだろうと思うが、それは隠しておく。
「今はショーヘイさんの案で行きましょう。でも、まだ時間が少しある。その間に何か考えます」
 ディーがため息をつきながらメガネを取って、目頭を揉んだ。
「じゃ、決まりな。ジュリアさんを呼んで打ち合わせしようか。
 その前に、グレイ、ちょっと一緒に来てくんない?」
 立ち上がって、ベールを被り直す。
「何処に?」
 グレイが立ち上がりつつ、自分の隣に立つ。
「機嫌損ねちゃったから、さ」
 苦笑しながら、グレイを見上げる。
 グレイも、ああそうか、とドアを開けて、エスコートしてくれた。
「グレイ、ごめんな、バラしちゃって」
「いや、いいよ。多分後で自分から打ち明けてたと思うし」
「相談ならいつでもおっさんが乗ってやるから」
 そう言うとグレイが声に出して笑った。


 屋敷内を歩きながら、時折すれ違う使用人にロイの居場所を聞いて回る。
 そして、ようやっと、庭の奥にある東屋にロイの姿を見つけた。
「ありがとう、グレイ、もういいよ」
 そう言うと、グレイは小さく頷いて戻っていく。
 ベールを上げながら、東屋にゆっくりと近付く。
「お前、お人好しって言われるだろ」
 東屋の椅子に座ったロイの背後から近付いて、あと数歩の距離に来た時、背を向けたままロイに言われた。
「そうだな。よく言われるよ」
 そっと触れる距離まで近付くと、その肩に触れて、ゆっくりと背後からロイを抱きしめた。
「ロイ」
 そう耳元で名前を呼ぶと、チラッとこっちを見て、ムスッとする。
「俺はまだ反対だ」
「うん、わかってる」
 ぐるっと東屋を回り込んでロイの隣に座った。
「でも、これ以外にいい案、ないだろ?」
「考える」
「そうだな。他に何かいい案が出たら、そっちにしよう。俺も出来れば痛い思いはしたくないし」
 そう言って笑う。途端にロイが何かを言いかけるが、グッと言葉を飲み込む。
「大丈夫だよ。俺、聖女様だぜ? ヒールですぐに治すし」
 ロイの背中を優しく撫でる。
 色々な考えを振り切るようにロイが深呼吸をした。
「大丈夫、きっと上手くいくから」
 笑顔を向けると、ロイが肩を抱いて引き寄せられた。そのまま口付けられる。
 頬に手を添えられて、何度も何度もキスされた。
「無理だと思ったら、すぐに手を引け。後は何とかするから」
 ギュウッと力強く抱きしめられる。
「ああ、わかった」
 自分もロイの背中に手を回して、抱擁に答える。
「愛してるよ、ロイ」
 最後に自分からキスをした。


 ロイと共に部屋に戻ると、すでにジュリアがそこに居た。
「聖女様…、聞きました。
 しかしながら、賛同致しかねます…」
 絞り出すようにジュリアが言う。
「ジュリアさん、私の事はどうか気にせず。こう見えても、結構強いんですよ」
 ベールの下でニッコリと笑う。
「しかし…、それでも貴方がわざと被害に遭うように仕向けるなんて…」
 ジュリアが悔しそうな、辛そうな表情をする。
「大丈夫です。怪我なんて自分ですぐに治せます」
 そう言ってジュリアの手を取った。
「貴方がこの街を、この領地を救おうとしているのはよくわかりました。
 先ほど、私の力を試したとおっしゃいましたけど、そうではないんでしょう?
 怪我人を治して欲しくて、藁にもすがる思いで、私を煽りましたよね?」
 グッとジュリアが口を結ぶ。

 ジュリアは、最初から聖女の存在を、その力を信じていた。だから、力を出し惜しみさせないようにわざと煽ってきたのだ。自分は最初それに気付かずに煽られるままに、ヒールを使った。
 だが、彼女の人となりを知って、そうではないと気付いた。
 聖女の自分に恨まれようが、憎まれようが、どうにかして、民を救いたい。そんな気持ちがふつふつと伝わってきた。  
 彼女の領主としての器は充分だと思う。

「細かい打ち合わせをしましょうか」
 そう優しく彼女の手を握りしめた。




 自分が考えた計画。
 デニス側に、今回現れた聖女は、ジュリアによってでっち上げられた偽物で、狂言であるという偽情報を掴ませる。
 その上で、聖女がジュリアの味方ついたという、その実績を理由に領主交代をしようとしていると思わせるのだ。
 デニスは、ジュリアの領主交代を阻止するために、聖女を騙った偽物を排除するという大義名分を掲げて、本気で襲ってくるだろう。それが狙いだ。
 出来れば、他貴族や権威ある者、民衆といった大勢の目撃者の前で、聖女である自分を襲わせたいが、これは相手の出方次第なので臨機応変に対応することになるだろう。
 目的は、デニスが聖女を害した、という事実を作ることある。
 頃合いを見て、ディーが認識阻害を解除して、聖女は本物であると宣言し、ジュリアへの領主交代を進言する。

 そういう筋書きを考えた。

「確かに聖女を害するとなれば、領主どころか、この領地にすらいられなくなりますが…」
 すでにイグリット領内で聖女が現れた噂は広まりつつある。
 実際に救われたカミロ村の村人や、夕方にカーライドで治療された人たちや目撃した人が、さらに噂を広めるだろう。
「その事実があれば、領主交代どころか、爵位剥奪もあり得ますよ。実際に私が目にするわけですから」
 王家が認めた聖女を害するのだから、それだけの処分が下ってもおかしくはない。
 もしその場に他貴族が、特にベネット卿がいるなら効果は絶大だ。その場でジュリアへの領主交代に賛同せざるを得ない状況が完成する。
「しかし、あまりにもリスクが高すぎる」
 ジュリアが何とか止めようと説得してくる。
「私個人のリスクよりも、これからの民衆のリスクを考えてください」
 そう自分に言われて、ジュリアが言葉に詰まった。
「私には、ディーゼル殿下や、ロイもグレイもいます。彼らが守ってくれますから」
 そうベールの下で微笑んだ。
 ジュリアが少し涙ぐむ。
「私にも、お守りさせてください…」
 俯いて、溢れる涙を拭う。
「その時は、お願いしますね」
 こうでも言わないと、きっとジュリアは納得しない。
 4人で、自分だけでなく、ジュリアも守ると決めていた。追い詰められたデニスが、ジュリアに矛先を向けるのはわかりきっている。
 絶対にジュリアを守らなくてはならない。彼女のためにも。この領地のためにも。
「ありがとうございます」
 ジュリアが顔を上げて微笑んだ。

 その後、さらに微調整を加えて、明日、領都へ向けて出発することになった。
「それでは私はこれで。聖女様、ゆっくりとお休みください」
 ジュリアが再び自分の手を取って甲に口付ける。

 照れるんだよなぁ。

 と思いつつ、会釈で返した。
 ジュリアが部屋を出る時に、すかさず、
「グレイ、送って差し上げてください」
 極力普通に、ニヤニヤした顔を悟られないように、そう言った。
「はい」
 グレイが短く、ボソッとした口調で返事をする。ロイとディーが、口をキュッと結んで顔を背けた。
 部屋を出ようとしたジュリアが立ち止まり、
「あ、そうでした。すぐに使用人が参りますので、それぞれのお部屋にご案内致します」
「聖女様と俺はここでいい」
 ロイがすぐに答えると、ジュリアが少し赤面した。聖女が気を失った後、ベッドに運んだロイがその額へ口付けしたことを思い出す。
「そ、そうですか。であれば殿下とグレイ殿は別に用意致します」
「ありがとうございます」
 ディーがニッコリと答えた。
 ジュリアとグレイが部屋を出て行くと、ロイが肘で自分を小突いてくる。
「気ぃ効かせちゃって」
「当たり前だろー。年長者として恋の手助けをだねwww」
 ニヤニヤが止まらない。
「全く…これから襲われに行くのに、随分と呑気な」
 ディーが苦笑した。
「守ってくれるだろ?護衛さんたち」
「当然だ」
 ロイがドヤ顔で言う。
 さっきはあんなに怒っていたのに、現金な奴、と笑った。


「聖女様は、とてもお優しくていいお方ですね」
「はい」
 屋敷の廊下を歩きながら、ジュリアがグレイに話しかける。
「王都までの護衛という立場ですが、出来ればこのままずっと一緒に旅を続けたいと思ってしまいます。本当に毎日が楽しくて」
 それはグレイの本心だった。
 護衛しているという本来の目的を忘れるくらい楽しくて、ただ、一緒に旅をしているだけ、という錯覚を起こしてしまう。
「いいですね、今度旅の話を聞かせてください」
 ジュリアが笑う。
「いつでも」
 たった数分間の会話だったが、グレイは嬉しかった。
 城壁でジュリアを見た時、なんて傲慢な女なんだと思った。
 だが、翔平がヒールをかけてその場にいた者を治した瞬間、彼女は心底ホッとした笑みを浮かべていた。
 喜ぶ民を見て、一緒に喜び合う団の仲間を見て、彼女は微笑んでいた。
 その笑顔に、自分は一瞬で惚れてしまった。
 城壁での言動が、翔平にヒールを使わせるためのものだと悟り、自分の浅はかな上部だけを見た判断を恥じた。
 彼女の肩には、この領地の、民衆の未来がかかっている。その重みは自分には計り知れない。
「それでは、私はこれで」
 ジュリアの自室の前で、ジュリアが笑う。
「ジュリア嬢」
「嬢は止めてください。令嬢なんて久しく呼ばれていません。どうかジュリアと」
 恥ずかしそうに笑う。
「…ジュリア、貴方をお守りします」
「え?」
「この領地のため、民のため、何よりも貴方のために」
 グレイはそう言って、ジュリアの手を取ると、その甲に口付ける。
 みるみるうちにジュリアが赤くなる。
「…グレイ殿…」
「おやすみなさい」
 そう言って背中を向ける。
 しばらく、背中にジュリアの視線を感じていたが、廊下の角を曲がって数歩進んで立ち止まると、パタンとドアが閉まる音が聞こえた。
 その途端、廊下にしゃがみ込む。
「はああああぁぁぁぁ…」
 盛大なため息を吐く。
 大きな体を丸めて、全身真っ赤になりながら小さくなる。
「ショーヘーめ…」
 顔を真っ赤に染めながら、おせっかいな友人に文句を言った。



「おかえりー」
 部屋に戻ると、3人ともニヤニヤしながらグレイを出迎える。
「俺の部屋は」
 それを無視して、部屋の場所を聞く。
「まぁまぁ、グレイさん、ちょっとお座りなさいな」
 ロイがニマニマと椅子を勧めてくる。
「……」
 こいつら…。と苦虫を噛み潰したような表情で、ベールと脱いで寛いでいた翔平の頭をスパンと叩いた。
「いたっ」
「んまぁ、グレイさんたら野蛮ね。ジュリアさんに嫌われるわよ」
 ロイが翔平の頭を撫で撫でしながら、揶揄ってくる。
「あ“?」
 ものすごく低いドスの効いた声で、不機嫌を全く隠さずにロイを睨む。
「まあ冗談はさておき、ちょっとまだ話があるので、座ってください」
 ディーがクスクスと笑いながら言った。
 やれやれと椅子に座ると、
「まずは、ジュリアさんとはどうでした?」
 円卓に4人で向かい合わせに座り、ディーがにこやかに聞いてきた。





「人のコイバナは楽しーなー」
 ウキウキしながらグレイの話を思い出す。まぁ、いつもロイとの関係を揶揄われていたことへのちょっと仕返しでもあるのだが。
 結局、ジュリアを部屋まで送った数分間のことを根掘り葉掘り聞いた。
 グレイも、もう諦めたのか、少しだけ教えてくれた。
「あのグレイが嬢ちゃんにとは、ほんと以外だったわ」
 ロイがベッドの上でゴロゴロしながら呟く。
「グレイって今まで恋人とかいなかったのか?」
「あんまり浮ついた話は聞かねーなー。まあそれなりに、モテてはいたけど、俺みたいに来るもの拒まずではなかったし…」
「へー…」
 言ってから、しまった!という顔をして慌てて起き上がる。
「来るもの拒まずねぇ…」
 ジトーっとロイを見る。
「いや、それは昔の話で、若気の至りというか、俺もほら、若かったし、それなりに溜まるっていうか、ヤリたいお年頃でもあったし…」
 言い訳でどんどん墓穴を掘っていく。
「発情王って異名を持つくらいだもんなー。5人、抱き潰したんだっけ?」
「いや、あれはかなり誇張が…」
「昔の話だし、別にいいけどねー」
 と言いつつ、ツーンとそっぽを向く。
「ショーヘー、今はお前だけだってー」
 どっかで聞いたようなセリフに思わず吹き出した。
「…それより、グレイ、上手くいくといいな」
「そうだな。嬢ちゃんも本当に気を許せる相手がいると、その負担も少しは軽くなるだろうに」
「まぁ、種は蒔いたから、花が咲くかどうかは本人次第ってことで」
 すくっと椅子から立ち上がると、用意してもらった寝夜着に着替えるために、この窮屈な服を脱ぐ。
 ロイにじっと見られていることに気づいてはいたが、平静を装って着替えた。
「着るの?どうせ脱ぐのに」
 途中でそう言われて、ロイに服を投げつけた。
「今日はしねーよ」
「えー、なんでー」
 きちっと寝夜着を着て、ベッドにあがる。
「お前ね、この間散々ヤッといて何言ってんだ」
「前は前、今は今」
 ギューっと抱きついてくるロイを引き剥がしにかかる。
「ねー、しよーよー」
「むーりー」
「先っちょだけでもー」
「先っちょ言うな!」
 そう言って、サッサとロイに背中を向けて布団に潜り込んだ。
「ショーヘーのケチー」
 隣でブーブーと文句を言うロイに笑いながら、目を閉じる。
 しばらくして、ロイも布団に潜り込んだ気配を感じて眠りに落ちた。
 


「ん…」
 その数十分後、体が熱くて、ゾクゾクと背筋を伝う快感に目が覚めた。
 途端に襲う下半身の違和感に、バッと布団を捲る。
「は、ほきら」(あ、起きた)
「な、なに、して」
 ロイが自分のペニスを咥えたまま喋る。
「らっれ、ひーにほいひれるあら」(だって、いい匂いしてるから)
「あっ、ん…咥えたまま、喋んな…あぅ…」
 チュポンと音を立ててペニスから口を離すと、
「いい匂いさせてるショーヘーが悪い」
 上着の中に手を滑り込ませて乳首をキュッと摘み上げる。
「んあ…、寝込みを、襲うとか、ねーわ…んん…」
 指で乳首を弾かれ、クリクリと弄られる。
「そう言いながら、感じてるじゃん」
 自分のペニスから漏れ出た蜜に濡れたアナルに、中指を挿入された。
「あ!」
 ヌプヌプと音を立てて出入りを繰り返す。
「あぁ…あ、ん…」
 ロイが添い寝するように横に滑り込んでくると、指を2本に増やされて、抜き差しを激しくされた。それと同時に乳首を舐められ、カリッと甘噛みされると、快感が下半身に直撃する。
「ん、あ、あ」
「ほら、快い声」
 指で中を広げられ、前立腺を指でなぞられると、背筋を電流のように快感が走った。
「んぁ、この…、ちょーしに、のんな…」
 なんとか快感に呑まれまいとするが、何度も経験したロイとのSEXに体が勝手に反応する。
「ローションなしで、挿れてみてもいい?」
「え…」
 指が引き抜かれて、横向きで片足を持ち上げられる。そして、アナルにロイのペニスの先が触れた。
「ゆっくり挿れるから」
 腰に腕を回してガッチリと固定されると、ロイのペニスがアナルに押し入ってくる。
「あ…ぁ…」
 ギチっと広げられていくアナルの感触に、ガクガクと体が震えた。
「ショーヘー、力抜いて」
「や…むり…」
 それでも、今まで何度も受け入れたアナルが、徐々にロイを飲み込んでいく。
 グプッと亀頭を飲み込み、さらに奥まで入るように、中が勝手に動いてロイを受け入れていく。
「入った」
 ロイが耳元で囁いて、そのまま嬲ってくる。
「あん…あ…」
 耳を舐められ、片手で乳首を弄られて、もう片方の手でペニスをゆるゆると扱かれて、その快感で中のロイを締め付ける。
「ああ…、ショーヘー」
 耳元で濡れた声で囁かれ、聴覚をも刺激される。
 ズッズジュッと音を立てて律動が徐々に激しくなってくると、もう何も考えられなくなってくる。
「あっあっ…んぅ、ん」
 奥を突き上げられるたびに、声を抑えることが出来ない。
「ごめん、先にイかせて」
 その言葉と同時に、腰をギュッと抱きしめられると、律動が激しくなった。
 ズチュッズチュッと音を立てて何度も深く突き上げられ、中でロイが射精する。ビクビクと何度かロイの腰が跳ね、全てを注ぎ終えるとゆっくりと引き抜かれた。
 足を下ろされて、横向きに寝かされると、荒くなった息を整える。
「うわ…」
 体を動かそうとした瞬間、アナルからロイの精液が流れ出てくる感触がわかって、ゾクゾクと身悶えた。
「エッロ…」
 ロイが足元の方で、精液を垂らすアナルを見て、自分の両足を掴むと、仰向けにされて足を開かされた。
 その動きにトロッとアナルから精液が零れ落ちる。
 次の瞬間、ロイが再び覆い被さり、そのアナルにペニスを打ち込んだ。
「あぁ!!」
 いきなり深く挿入されて、何の予告もなく、突き上げられる。
「あ!あ!あぁ!」
 その激しさに、悲鳴のような喘ぎ声をあげた。
 突き上げながら、自分のペニスを早急に扱いて追い上げてくる。
「あ、ロイ!も、ダメ、イク」
 グチュグチュと上下に扱かれて、その鈴口をグリっと親指でなぞられた瞬間、射精した。
「うぁ…」
 射精によって、アナルがキュウウッと締まり、ロイも声をあげる。
 先ほど中に出した精液が潤滑油代わりになって、ドチュンドチュンと濡れた音を立てて奥を突き上げ、そして、再び中に欲望を放った。
「ロイのバカ…アホ…」
 快感の余韻に荒い呼吸を繰り返しながら悪態をつく。
「ごめん、でも、ショーヘーが隣にいるのに我慢できない」
 そう言って何度もキスをしてくる。
「愛してる、俺の聖女様」
 チュッチュッと唇以外へもキスをして、甘い睦言を吐くロイに、心底怒れない自分も甘いと思った。

 好きなんだから、仕方ない。

 どこかで聞いたようなセリフを思い出しながら、自分からもキスを返す。
 快楽の余韻と、疲労感と、睡魔が襲ってくる。
「寝ていいよ、綺麗にしとくから」
 そう言われて、そのまま目を閉じた。




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