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王都への旅路 〜イグリットお家騒動〜
おっさん、聖女の演技をする
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天幕を片付けて、村に提供して貰った荷馬車に積み込む。流石にこの大きさの天幕を徒歩で持ち歩くことは不可能だ。
今までは屋根付きの豪華な馬車だったが、ただ荷物を積むだけの荷馬車は以前にも乗ったことがあるし、馬車より見た目は悪いし速度も出ないが乗り心地は良かった。
頭からベールを被ったこの格好で出発の準備を手伝うわけにもいかず、さらに言うなら昨夜の激しいSEXで筋肉痛に近い痛みがあってなかなか体を動かせない。少し離れた所で立って準備が終わるのを待っていた。
「聖女様ー!!」
遠くから子供達が大きく手を振ってくる。可愛いなーと思いつつ手を振りかえすと、わーっと走ってくる。
「もー行っちゃうのー?」
周りに集まった子供達にほっこりする。
なるべく服を汚さないようにしゃがんで子供達の視線まで下がると、その頭を撫でた。
「これから行く所があるんです。みんな元気でね」
「うん、助けてくれてありがとう!」
目の前の子が、あの時瓦礫から這い出てきたロイが庇った子だと気付く。
「腕はもう大丈夫かい?」
そっとその腕に触れるが、どこにも傷の跡がなくホッとする。
「大丈夫。僕、これから強くなるから。ロイにーちゃんみたいに強くなるから」
その言葉にさらにほっこりした。
可愛い。
「おっきくなったら、僕のお嫁さんになってね!」
「え」
「それは無理だ!」
突然後ろからロイが言った。
「聖女様は俺の嫁だ!」
フンスとドヤ顔をして仁王立ちで腕を組んでいる。
子供相手になんて大人気ないことを言っているのか。呆れた顔でロイを見上げた。
「えー?聖女様はロイにーちゃんのお嫁さんなの?」
子供達が口々に、お嫁さんだー、いつ結婚式したのー?と声をあげる。
「いーだろー、聖女様がお嫁さんなんて、この世界で俺だけだぞー」
ロイの言葉に、いーなー、ずるいー、と口々に言われて、その様子に苦笑する。
「聖女様、よろしいですか」
遠くでディーの呼ぶ声がする。
「今行きます」
立ち上がると、子供達にバイバイと手を振って歩き出そうとすると、ロイがスッと手を差し出してエスコートしてきた。
ベールを被って顔が見えなくて良かったと思った。きっと今自分はものすごい嫌な顔をしている。
聖女の演技をしなければならない。
口調も所作も変えるようにディーに言われた。
ため息をついてロイの手を取ると、エスコートされるがまま静々と歩き始める。実際この服が歩きにくくて仕方がないのだが。
「お待たせしました」
ディーの所へ戻ると、隣町の自警団が数人揃っていた。
「聖女様、この度はカミロ村をお救いくださり、誠にありがとうございます」
フル装備の鎧をつけた代表者が深々とお辞儀してくる。
それに対して、「いやあ、たまたま通りかかったんで」と言いたい所をグッと我慢して、ただ頭を下げるだけにとどめた。
「カーライドへ向かうとお聞きしました。こちらからも数名護衛に付けようと思いまして」
「それには及びません。我々だけで充分です」
すかさずディーが言う。
「しかし…」
「大勢だと目立ってしまうのでご遠慮願いたい」
ディーの口調は穏やかだが、その目が「邪魔だから来んな」と言っていて、ベールの中でこっそり笑いを堪える。
「それよりも、村の復興を進めて頂きたい。そうですね、聖女様」
いきなり話を振られて驚いたが、
「はい。どうか村の皆さんにお力添えを」
我ながら役者だなぁと思った。
「そうですか…」
自警団員ががっかりした様子を隠そうとしない。個人的に聖女様を護衛したという実績が欲しいというのが見え見えだった。
この世界での自警団は、元の世界で言う警察や消防のような役割を担っていた。各領主によっても組織体制が異なっているらしいが、自警団の仕事は民を守るという基本は同じだ。
「それでは我々はそろそろ出発しますので」
ディーが早々に話を打ち切ると、「どうかお気をつけて」と頭を下げてきた。
その後、村長をはじめ村人達に出発の挨拶をすると、荷馬車へと乗り込む。
「どうぞ、聖女様」
荷馬車に乗りこむ時、今度はグレイが手を差し出してくる。その顔はにこやかに好青年そのものだが、目は完全に笑っていた。
またもやベールの下では、このやろう、とものすごい顔をする。
荷馬車に乗り込み、布やクッションが敷かれた場所にちょこんと座ると、御者席に居たロイが馬に指示を出しゆっくりと動き出す。
「聖女様、バイバーイ!」
自警団の面々が敬礼して自分たちを見送り、子供達が遠くで大きく手を振ってくる。さらに復興作業をする村人達が手を止めて、その場で全員が手を振り、口々にお礼と別れの挨拶を叫んでいた。
全員で手を振り返しながら、進んで行く。
盛大な見送りは、自分たちが見えなくなるまで続き、村が完全に見えなくなって、草原の中の道をゆっくりと進んだ。
誰も何も言わず、しばらくは無言のまま馬を歩かせる。
「ブフッ!」
突然、ロイが吹き出した。
「ブワハハハハ!!!」
「ククク…」
ロイの笑いに一斉に3人が笑い出す。
自分もベールを捲ると、ハァっと深呼吸した。
「なかなかどうして立派な聖女様だな」
「疲れる…」
「今後もその調子でお願いしますよ」
ディーも肩を震わせて笑いを堪えている。
「笑いたいなら笑えよ」
ゲシっとディーの足を蹴る。
「貴方が聖女であることは間違いないんですから、もっと自信を持ってもいいんですよ」
「笑いながら言われても説得力ないわ」
そう言いながら体勢を崩した。
「カーライドを過ぎるまでの我慢です」
笑いながらそう言われ、盛大なため息をついた。
昼前に、隣町の自警団本隊と街道で会い、さらに次の日には、カーライドの自警団大隊と行き会った。
部隊の隊長にカーライドでも聖女様の話で持ちきりだと教えてもらった。
村へ向かう自警団は第一陣で、戦いに行く姿ではなく、復興支援に向かう装いで、荷馬車にはたくさんの物資を積んでいた。
隊を見送り、その日の夕方近くにカーライドに到着する。
この世界で最初に見た街、ニールと同じくらいの規模の街だった。
「聖女様御一行ですね? お待ちしておりました!」
街が見える位置まで近づいた所で、兵士が走ってきて、息を切らしながら敬礼してくる。
一般の人が街に入る門ではなく、迂回して別の門へと案内される。
案内されるがままにゆっくりと城壁を潜ると馬車が止められる。
目の前に、ずらっと規則正しく数十人の自警団が整列していた。全員が眉根を寄せて、怒っているような険しい表情をしていて、その物々しさに驚く。
「聖女、だな」
整列した自警団の中心から、緑色の肌をした女性が歩み寄ってくる。
近づいてくる女性の大きさに驚いてしまった。
緑色の肌に、クリーム色の長い髪。身長はおそらく2m近くあるだろう。女性ボディービルダーのような、見事な筋肉のついた腕に、キュッと締まったウエスト。腰に長剣が下げられていた。
見事なプロポーションに加えて、厚めの唇にパッチリとした目、キリッとした眉に独特な美しさがあった。
そして、特筆すべきはその胸の大きさだ。歩くたびにユサユサと揺れて、思わず胸に視線がいってしまう。
ベールで顔を隠していて、本当に良かったと思った。
ボンッキュッボンだ。
そんな失礼なことを考えた。
「イグリット自警団団長、ジュリア・イグリットだ」
鋭い眼差しで自分たちを見る。まるで品定めをしているかのような視線に、自分はかなり萎縮する。
自警団団長という言葉に、組織のトップだと気付いて、この世界でも組織のトップは偉そうなんだな、と苦笑した。
自分以外の3人はジュリアの視線にも全く怯まず、
「初めまして、聖女様の護衛を勤めます、ディーと申します。彼らはロイとグレイ」
ディーがジュリアに深々と頭を下げ、ロイとグレイを紹介し、それぞれが礼儀正しくお辞儀する。
「そして、聖女、ショーヘイ様です」
なんか変な紹介だな、と思わず顔に出したが、ベールの中なので気付かれない。
グレイにエスコートされつつ荷馬車を降りると、ディーの隣、ジュリアの前に立ち、頭を下げて
「ショーヘイと申します」
そう一言だけを告げて挨拶した。
「フン」
ジュリアは頭上からキッと自分を見る。
その横柄な態度に、少しイラッとする。
「カミロ村で発生したモンスターブレイクを打ち破ったと報告が上がっている」
低めの声でジュリアが言う。
「しかもたった4人でだ」
その言葉で、疑われているんだと理解した。だから団員達が自分たちをあんな目で見るのかと納得した。
今はただずっと黙っていようと決める。
「見たところ、かなりの手練のようだが…」
ジロジロと自分以外を見つめて、何かを考えているような仕草をする。
認識阻害の魔法、効いてるよな…?と少し焦るが、目だけを横に移してディーを見ても平然としているので、多分大丈夫なんだろうと思うことにする。
「さらに瀕死の重症を負った者を含めて、一度に数百人を治したと報告にあったが、にわかに信じられん」
完全に疑ってかかっている声だった。声に少なからず怒気が含まれている。
「信じられないと申しましても、事実でございますので」
ニッコリと笑いながらディーが答える。その声に、ディーはジュリアの怒気には全く反応せず、堪えてもいないことがわかる。
きっとディーはこうなることがわかっていたんだろうと理解した。
「本当かどうか、証明してみせろ」
ジュリアが言うと、後ろにいた自警団が左右にザッと分かれて道を作った。
「我が屋敷に治療院から怪我人を集めさせた。その者らを全て治してみせろ」
その言い方に、さらにイラつく。
この領地と同じ性を持つ目の前の女性は、領主の一族であることは一目瞭然だ。貴族にとっては当たり前の物言いなのか、その上から目線の言い方にどんどんムカついてくる。しかもわざわざ怪我人を移動させたことにも腹が立った。
「……」
ディーの袖口をクンクンと引っ張り、ディーが顔を近づけてくると、やってやるよ、と小さく呟いた。
ディーがその瞬間、吹き出しそうな顔をしたが、一瞬で外向きの顔に戻る。
「問題ないそうです。お屋敷まで案内していただけますか?」
ディーがにこやかに言った。
荷馬車も荷物も外壁側の詰所に預け、身一つで街外れの道をゆっくり進む。
ジュリアを先頭に、周りを自警団に取り囲まれて、たまにすれ違う人達が何事かとギョッとして道を開けて行く。
まるで罪人扱いされているようで、さらに腹が立った。
そして、大きな屋敷に到着する。
ギルバート邸ほどでないが、かなり大きい。
その門を抜けると、庭先にたくさんの怪我人が居た。
一応気は使っているのか、敷物がきちんと敷かれていたが、その上に寝かされた人や、骨折したであろう、添木をつけた怪我人。さらには、どこに怪我をしているのかが見た目ではわからない人達まで、ザッと見ただけでも100人近くいる。
「治癒師はその存在自体が少ない。我が街でもたった3人だ。しかも治療代が払えず治療院にすら行けない者、ポーションすら買えない者もいる。そもそもポーションの数も全く足りていないのだ。中央に集中しすぎている」
ジュリアが忌々しげに語りながら怪我人の間を通って屋敷の玄関まで自分たちを誘導する。語る内容は、若干王族への批判とも取られかねない内容だった。
「やれ」
最後にそう一言言った。
ロイがスッと近くに寄ると、自分に小さな声で耳打ちする。
「一発かましてやれ」
思わずその言葉に笑ってしまった。
頷くと、
「多分気絶するから、後頼むな」
と小声で言い、一歩前に出る。
あの時やったヒールを思い出す。
目を閉じて、自分の魔力の流れを意識し、目の前の怪我人を治すことだけに集中する。
きっと痛みもあるんだろう、辛そうな顔をした人が何人もいた。そんな人達をこんなところまで連れてきて、一体何を考えているのか、と怒りも湧いてくる。
ジワジワと魔力が膨れ上がり、この間と同じような一箇所に集められていく感覚に身を任せる。
治す、治したい、ひたすらそう願い続け、治って元気になる人達をイメージした。
次の瞬間、自分の足元からブワッと白く光り輝く魔法陣が屋敷全体を包み込むように広がった。
「!これは!」
後ろで自警団が目に見えて狼狽える。
金色の細かい粒が魔法陣から湧き上がってくる。
どんどん魔力が魔法陣に吸い取られて行く。
「治りました!」
小さな傷を負った人達が叫び出す。
まだだ。
もっと。
全員治す!
ベールに包まれていた腕をそのままゆっくりと上に上げ、唱える。
「ヒール」
魔法陣の中に自分の声が反響した。
その瞬間、一気に大量の魔力が魔法陣に吸い取られる感覚に目眩がしたが、なんとか耐えた。
白い光が輝きを増し、金色の粒が怪我人を覆い尽くす。
そして、静かに魔法陣が霧散するかのように消えた。
「なんと…」
ジュリアの呟きが聞こえた瞬間、全身から力が抜けた。
ガクッと倒れ込む自分を、すかさずロイがしっかりと抱き留める。
「お見事」
ロイの声が聞こえ、上手くいったと確信できた直後、意識を手放した。
庭先に寝かされた怪我人が次々と起き上がる。口々に痛くない、治った、と歓声を上げ、泣いて喜ぶ者までいた。
口々に、聖女様、聖女様、と叫んで祈りを捧げている者までいる。
「寝所の用意を!!」
ジュリアが使用人に向かって叫ぶ。
自警団が怪我が治った人達に混ざって喜んでいる姿に、ジュリアがうっすらと微笑み、全員に解散を伝えた。
使用人に案内されてロイが翔平を抱き上げて、全員で移動する。
用意されたベッドへそっと寝かせ、ベールをそっと取り、その額にキスを落とす。
それを見せられた使用人達が思わずキャーッと黄色い声を上げてしまい、ジュリアがゴホンと咳払いをする。
そそくさと使用人達が退出すると、ジュリアに別の部屋へと言われたが、翔平から離れるわけにはいかないと、断った。
「試すようなことをして、申し訳ない」
ジュリアが深々と頭を下げて謝罪してくる。
「いえ、予想はしていましたので。
おかげさまでこちらとしても良いデモンストレーションが出来ました」
ニコリとディーが返す。
「それにしても殿下、どちらで聖女様を?」
ジュリアの言葉に、グレイがピクリと一瞬反応してしまった。それをジュリアは見逃さず、ニヤリと笑った。
「グレイ…」
ロイがグレイの肩をポンと叩く。
グレイがやっちまったと気付いて目元を抑える。
「…いつ気付きました?」
「城壁で。今もまだ頭にモヤがかかっている感じですよ。認識阻害をお使いですね?」
ジュリアの言葉にディーが頷き、スッと魔法を解除した。その瞬間、ジュリアの頭がスッキリして、目の前にいる3人をはっきりと認識した。
「ディーゼル殿下、元獣士団団長ロイ、獣士団第2部隊長のグレイ。このメンツならモンスターブレイクを打ち破ったのにも納得がいく。
そもそもたった4人で打ち破ること自体がおかしい。絶対にそんな手練が無名であるわけがないじゃありませんか。
聖女様の存在といい、消去法で可能性を探った結果、殿下が一番当てはまっただけです」
「流石だなあ、嬢ちゃん」
ロイが認識阻害魔法に妨害されながらも状況判断のみで素性を見破り、かまをかけてきた度胸にも素直に感心した。
「やめてください。もうあれから10年ですよ。私も22になりました」
クスリとジュリアが笑う。
「ジュリア嬢はいつこちらに?
近衛騎士団を辞して、領地に帰ったとは聞いていましたが」
「ここに自警団本部を移してまだ1年余りです。
お恥ずかしい話ですが、領地内の自警団にかなり問題がありまして。2年前に前自警団団長や幹部どもを一掃しました」
「そうでしたか」
「近いうちに父にも領主の座から退いてもらおうと思っております」
ニヤリとジュリアが笑う。
「それは頼もしい」
「立派になったなぁ、嬢ちゃん…」
ロイがわざとらしく、ヨヨヨと泣き真似をすると、ジュリアは豪快に笑いながら抗議した。
「それよりも、聖女様は大丈夫なんですか?」
「ああ、魔力を一度に消費し過ぎて体がついていかないだけです。まだ聖女に目覚めて日が浅いので慣れないんでしょう」
聖女様の設定をサラッとディーが話す。
「では、聖女様が目覚めてからまたお話を。夕食はこちらに運ばせますので」
そう言ってジュリアが退室した。
ジュリアが出て行ってから再び認識阻害の魔法をかけて、部屋に遮音魔法を強めに施す。
まだジュリアが味方になるかわからないからだ。
グレイはさっきから黙ったままで、自分が正体を見破られるきっかけになったことを気にしているようだった。
「あのヒール、どのくらいの魔力消費なんだろうな」
「まあ軽く見積もっても1万じゃ効かないでしょうね。一度消費量の計測をしてみないと。
ほんとショーヘイさんは宝ですよ。色々と調べたいことが山ほど」
ニヤニヤしながらワキワキと手を動かす。
「やらんぞ」
「しっかりと彼を掴まえておいてくださいよ」
「言われなくても」
浅い眠りの中で、そんな2人の会話を聞いた気がした。
今までは屋根付きの豪華な馬車だったが、ただ荷物を積むだけの荷馬車は以前にも乗ったことがあるし、馬車より見た目は悪いし速度も出ないが乗り心地は良かった。
頭からベールを被ったこの格好で出発の準備を手伝うわけにもいかず、さらに言うなら昨夜の激しいSEXで筋肉痛に近い痛みがあってなかなか体を動かせない。少し離れた所で立って準備が終わるのを待っていた。
「聖女様ー!!」
遠くから子供達が大きく手を振ってくる。可愛いなーと思いつつ手を振りかえすと、わーっと走ってくる。
「もー行っちゃうのー?」
周りに集まった子供達にほっこりする。
なるべく服を汚さないようにしゃがんで子供達の視線まで下がると、その頭を撫でた。
「これから行く所があるんです。みんな元気でね」
「うん、助けてくれてありがとう!」
目の前の子が、あの時瓦礫から這い出てきたロイが庇った子だと気付く。
「腕はもう大丈夫かい?」
そっとその腕に触れるが、どこにも傷の跡がなくホッとする。
「大丈夫。僕、これから強くなるから。ロイにーちゃんみたいに強くなるから」
その言葉にさらにほっこりした。
可愛い。
「おっきくなったら、僕のお嫁さんになってね!」
「え」
「それは無理だ!」
突然後ろからロイが言った。
「聖女様は俺の嫁だ!」
フンスとドヤ顔をして仁王立ちで腕を組んでいる。
子供相手になんて大人気ないことを言っているのか。呆れた顔でロイを見上げた。
「えー?聖女様はロイにーちゃんのお嫁さんなの?」
子供達が口々に、お嫁さんだー、いつ結婚式したのー?と声をあげる。
「いーだろー、聖女様がお嫁さんなんて、この世界で俺だけだぞー」
ロイの言葉に、いーなー、ずるいー、と口々に言われて、その様子に苦笑する。
「聖女様、よろしいですか」
遠くでディーの呼ぶ声がする。
「今行きます」
立ち上がると、子供達にバイバイと手を振って歩き出そうとすると、ロイがスッと手を差し出してエスコートしてきた。
ベールを被って顔が見えなくて良かったと思った。きっと今自分はものすごい嫌な顔をしている。
聖女の演技をしなければならない。
口調も所作も変えるようにディーに言われた。
ため息をついてロイの手を取ると、エスコートされるがまま静々と歩き始める。実際この服が歩きにくくて仕方がないのだが。
「お待たせしました」
ディーの所へ戻ると、隣町の自警団が数人揃っていた。
「聖女様、この度はカミロ村をお救いくださり、誠にありがとうございます」
フル装備の鎧をつけた代表者が深々とお辞儀してくる。
それに対して、「いやあ、たまたま通りかかったんで」と言いたい所をグッと我慢して、ただ頭を下げるだけにとどめた。
「カーライドへ向かうとお聞きしました。こちらからも数名護衛に付けようと思いまして」
「それには及びません。我々だけで充分です」
すかさずディーが言う。
「しかし…」
「大勢だと目立ってしまうのでご遠慮願いたい」
ディーの口調は穏やかだが、その目が「邪魔だから来んな」と言っていて、ベールの中でこっそり笑いを堪える。
「それよりも、村の復興を進めて頂きたい。そうですね、聖女様」
いきなり話を振られて驚いたが、
「はい。どうか村の皆さんにお力添えを」
我ながら役者だなぁと思った。
「そうですか…」
自警団員ががっかりした様子を隠そうとしない。個人的に聖女様を護衛したという実績が欲しいというのが見え見えだった。
この世界での自警団は、元の世界で言う警察や消防のような役割を担っていた。各領主によっても組織体制が異なっているらしいが、自警団の仕事は民を守るという基本は同じだ。
「それでは我々はそろそろ出発しますので」
ディーが早々に話を打ち切ると、「どうかお気をつけて」と頭を下げてきた。
その後、村長をはじめ村人達に出発の挨拶をすると、荷馬車へと乗り込む。
「どうぞ、聖女様」
荷馬車に乗りこむ時、今度はグレイが手を差し出してくる。その顔はにこやかに好青年そのものだが、目は完全に笑っていた。
またもやベールの下では、このやろう、とものすごい顔をする。
荷馬車に乗り込み、布やクッションが敷かれた場所にちょこんと座ると、御者席に居たロイが馬に指示を出しゆっくりと動き出す。
「聖女様、バイバーイ!」
自警団の面々が敬礼して自分たちを見送り、子供達が遠くで大きく手を振ってくる。さらに復興作業をする村人達が手を止めて、その場で全員が手を振り、口々にお礼と別れの挨拶を叫んでいた。
全員で手を振り返しながら、進んで行く。
盛大な見送りは、自分たちが見えなくなるまで続き、村が完全に見えなくなって、草原の中の道をゆっくりと進んだ。
誰も何も言わず、しばらくは無言のまま馬を歩かせる。
「ブフッ!」
突然、ロイが吹き出した。
「ブワハハハハ!!!」
「ククク…」
ロイの笑いに一斉に3人が笑い出す。
自分もベールを捲ると、ハァっと深呼吸した。
「なかなかどうして立派な聖女様だな」
「疲れる…」
「今後もその調子でお願いしますよ」
ディーも肩を震わせて笑いを堪えている。
「笑いたいなら笑えよ」
ゲシっとディーの足を蹴る。
「貴方が聖女であることは間違いないんですから、もっと自信を持ってもいいんですよ」
「笑いながら言われても説得力ないわ」
そう言いながら体勢を崩した。
「カーライドを過ぎるまでの我慢です」
笑いながらそう言われ、盛大なため息をついた。
昼前に、隣町の自警団本隊と街道で会い、さらに次の日には、カーライドの自警団大隊と行き会った。
部隊の隊長にカーライドでも聖女様の話で持ちきりだと教えてもらった。
村へ向かう自警団は第一陣で、戦いに行く姿ではなく、復興支援に向かう装いで、荷馬車にはたくさんの物資を積んでいた。
隊を見送り、その日の夕方近くにカーライドに到着する。
この世界で最初に見た街、ニールと同じくらいの規模の街だった。
「聖女様御一行ですね? お待ちしておりました!」
街が見える位置まで近づいた所で、兵士が走ってきて、息を切らしながら敬礼してくる。
一般の人が街に入る門ではなく、迂回して別の門へと案内される。
案内されるがままにゆっくりと城壁を潜ると馬車が止められる。
目の前に、ずらっと規則正しく数十人の自警団が整列していた。全員が眉根を寄せて、怒っているような険しい表情をしていて、その物々しさに驚く。
「聖女、だな」
整列した自警団の中心から、緑色の肌をした女性が歩み寄ってくる。
近づいてくる女性の大きさに驚いてしまった。
緑色の肌に、クリーム色の長い髪。身長はおそらく2m近くあるだろう。女性ボディービルダーのような、見事な筋肉のついた腕に、キュッと締まったウエスト。腰に長剣が下げられていた。
見事なプロポーションに加えて、厚めの唇にパッチリとした目、キリッとした眉に独特な美しさがあった。
そして、特筆すべきはその胸の大きさだ。歩くたびにユサユサと揺れて、思わず胸に視線がいってしまう。
ベールで顔を隠していて、本当に良かったと思った。
ボンッキュッボンだ。
そんな失礼なことを考えた。
「イグリット自警団団長、ジュリア・イグリットだ」
鋭い眼差しで自分たちを見る。まるで品定めをしているかのような視線に、自分はかなり萎縮する。
自警団団長という言葉に、組織のトップだと気付いて、この世界でも組織のトップは偉そうなんだな、と苦笑した。
自分以外の3人はジュリアの視線にも全く怯まず、
「初めまして、聖女様の護衛を勤めます、ディーと申します。彼らはロイとグレイ」
ディーがジュリアに深々と頭を下げ、ロイとグレイを紹介し、それぞれが礼儀正しくお辞儀する。
「そして、聖女、ショーヘイ様です」
なんか変な紹介だな、と思わず顔に出したが、ベールの中なので気付かれない。
グレイにエスコートされつつ荷馬車を降りると、ディーの隣、ジュリアの前に立ち、頭を下げて
「ショーヘイと申します」
そう一言だけを告げて挨拶した。
「フン」
ジュリアは頭上からキッと自分を見る。
その横柄な態度に、少しイラッとする。
「カミロ村で発生したモンスターブレイクを打ち破ったと報告が上がっている」
低めの声でジュリアが言う。
「しかもたった4人でだ」
その言葉で、疑われているんだと理解した。だから団員達が自分たちをあんな目で見るのかと納得した。
今はただずっと黙っていようと決める。
「見たところ、かなりの手練のようだが…」
ジロジロと自分以外を見つめて、何かを考えているような仕草をする。
認識阻害の魔法、効いてるよな…?と少し焦るが、目だけを横に移してディーを見ても平然としているので、多分大丈夫なんだろうと思うことにする。
「さらに瀕死の重症を負った者を含めて、一度に数百人を治したと報告にあったが、にわかに信じられん」
完全に疑ってかかっている声だった。声に少なからず怒気が含まれている。
「信じられないと申しましても、事実でございますので」
ニッコリと笑いながらディーが答える。その声に、ディーはジュリアの怒気には全く反応せず、堪えてもいないことがわかる。
きっとディーはこうなることがわかっていたんだろうと理解した。
「本当かどうか、証明してみせろ」
ジュリアが言うと、後ろにいた自警団が左右にザッと分かれて道を作った。
「我が屋敷に治療院から怪我人を集めさせた。その者らを全て治してみせろ」
その言い方に、さらにイラつく。
この領地と同じ性を持つ目の前の女性は、領主の一族であることは一目瞭然だ。貴族にとっては当たり前の物言いなのか、その上から目線の言い方にどんどんムカついてくる。しかもわざわざ怪我人を移動させたことにも腹が立った。
「……」
ディーの袖口をクンクンと引っ張り、ディーが顔を近づけてくると、やってやるよ、と小さく呟いた。
ディーがその瞬間、吹き出しそうな顔をしたが、一瞬で外向きの顔に戻る。
「問題ないそうです。お屋敷まで案内していただけますか?」
ディーがにこやかに言った。
荷馬車も荷物も外壁側の詰所に預け、身一つで街外れの道をゆっくり進む。
ジュリアを先頭に、周りを自警団に取り囲まれて、たまにすれ違う人達が何事かとギョッとして道を開けて行く。
まるで罪人扱いされているようで、さらに腹が立った。
そして、大きな屋敷に到着する。
ギルバート邸ほどでないが、かなり大きい。
その門を抜けると、庭先にたくさんの怪我人が居た。
一応気は使っているのか、敷物がきちんと敷かれていたが、その上に寝かされた人や、骨折したであろう、添木をつけた怪我人。さらには、どこに怪我をしているのかが見た目ではわからない人達まで、ザッと見ただけでも100人近くいる。
「治癒師はその存在自体が少ない。我が街でもたった3人だ。しかも治療代が払えず治療院にすら行けない者、ポーションすら買えない者もいる。そもそもポーションの数も全く足りていないのだ。中央に集中しすぎている」
ジュリアが忌々しげに語りながら怪我人の間を通って屋敷の玄関まで自分たちを誘導する。語る内容は、若干王族への批判とも取られかねない内容だった。
「やれ」
最後にそう一言言った。
ロイがスッと近くに寄ると、自分に小さな声で耳打ちする。
「一発かましてやれ」
思わずその言葉に笑ってしまった。
頷くと、
「多分気絶するから、後頼むな」
と小声で言い、一歩前に出る。
あの時やったヒールを思い出す。
目を閉じて、自分の魔力の流れを意識し、目の前の怪我人を治すことだけに集中する。
きっと痛みもあるんだろう、辛そうな顔をした人が何人もいた。そんな人達をこんなところまで連れてきて、一体何を考えているのか、と怒りも湧いてくる。
ジワジワと魔力が膨れ上がり、この間と同じような一箇所に集められていく感覚に身を任せる。
治す、治したい、ひたすらそう願い続け、治って元気になる人達をイメージした。
次の瞬間、自分の足元からブワッと白く光り輝く魔法陣が屋敷全体を包み込むように広がった。
「!これは!」
後ろで自警団が目に見えて狼狽える。
金色の細かい粒が魔法陣から湧き上がってくる。
どんどん魔力が魔法陣に吸い取られて行く。
「治りました!」
小さな傷を負った人達が叫び出す。
まだだ。
もっと。
全員治す!
ベールに包まれていた腕をそのままゆっくりと上に上げ、唱える。
「ヒール」
魔法陣の中に自分の声が反響した。
その瞬間、一気に大量の魔力が魔法陣に吸い取られる感覚に目眩がしたが、なんとか耐えた。
白い光が輝きを増し、金色の粒が怪我人を覆い尽くす。
そして、静かに魔法陣が霧散するかのように消えた。
「なんと…」
ジュリアの呟きが聞こえた瞬間、全身から力が抜けた。
ガクッと倒れ込む自分を、すかさずロイがしっかりと抱き留める。
「お見事」
ロイの声が聞こえ、上手くいったと確信できた直後、意識を手放した。
庭先に寝かされた怪我人が次々と起き上がる。口々に痛くない、治った、と歓声を上げ、泣いて喜ぶ者までいた。
口々に、聖女様、聖女様、と叫んで祈りを捧げている者までいる。
「寝所の用意を!!」
ジュリアが使用人に向かって叫ぶ。
自警団が怪我が治った人達に混ざって喜んでいる姿に、ジュリアがうっすらと微笑み、全員に解散を伝えた。
使用人に案内されてロイが翔平を抱き上げて、全員で移動する。
用意されたベッドへそっと寝かせ、ベールをそっと取り、その額にキスを落とす。
それを見せられた使用人達が思わずキャーッと黄色い声を上げてしまい、ジュリアがゴホンと咳払いをする。
そそくさと使用人達が退出すると、ジュリアに別の部屋へと言われたが、翔平から離れるわけにはいかないと、断った。
「試すようなことをして、申し訳ない」
ジュリアが深々と頭を下げて謝罪してくる。
「いえ、予想はしていましたので。
おかげさまでこちらとしても良いデモンストレーションが出来ました」
ニコリとディーが返す。
「それにしても殿下、どちらで聖女様を?」
ジュリアの言葉に、グレイがピクリと一瞬反応してしまった。それをジュリアは見逃さず、ニヤリと笑った。
「グレイ…」
ロイがグレイの肩をポンと叩く。
グレイがやっちまったと気付いて目元を抑える。
「…いつ気付きました?」
「城壁で。今もまだ頭にモヤがかかっている感じですよ。認識阻害をお使いですね?」
ジュリアの言葉にディーが頷き、スッと魔法を解除した。その瞬間、ジュリアの頭がスッキリして、目の前にいる3人をはっきりと認識した。
「ディーゼル殿下、元獣士団団長ロイ、獣士団第2部隊長のグレイ。このメンツならモンスターブレイクを打ち破ったのにも納得がいく。
そもそもたった4人で打ち破ること自体がおかしい。絶対にそんな手練が無名であるわけがないじゃありませんか。
聖女様の存在といい、消去法で可能性を探った結果、殿下が一番当てはまっただけです」
「流石だなあ、嬢ちゃん」
ロイが認識阻害魔法に妨害されながらも状況判断のみで素性を見破り、かまをかけてきた度胸にも素直に感心した。
「やめてください。もうあれから10年ですよ。私も22になりました」
クスリとジュリアが笑う。
「ジュリア嬢はいつこちらに?
近衛騎士団を辞して、領地に帰ったとは聞いていましたが」
「ここに自警団本部を移してまだ1年余りです。
お恥ずかしい話ですが、領地内の自警団にかなり問題がありまして。2年前に前自警団団長や幹部どもを一掃しました」
「そうでしたか」
「近いうちに父にも領主の座から退いてもらおうと思っております」
ニヤリとジュリアが笑う。
「それは頼もしい」
「立派になったなぁ、嬢ちゃん…」
ロイがわざとらしく、ヨヨヨと泣き真似をすると、ジュリアは豪快に笑いながら抗議した。
「それよりも、聖女様は大丈夫なんですか?」
「ああ、魔力を一度に消費し過ぎて体がついていかないだけです。まだ聖女に目覚めて日が浅いので慣れないんでしょう」
聖女様の設定をサラッとディーが話す。
「では、聖女様が目覚めてからまたお話を。夕食はこちらに運ばせますので」
そう言ってジュリアが退室した。
ジュリアが出て行ってから再び認識阻害の魔法をかけて、部屋に遮音魔法を強めに施す。
まだジュリアが味方になるかわからないからだ。
グレイはさっきから黙ったままで、自分が正体を見破られるきっかけになったことを気にしているようだった。
「あのヒール、どのくらいの魔力消費なんだろうな」
「まあ軽く見積もっても1万じゃ効かないでしょうね。一度消費量の計測をしてみないと。
ほんとショーヘイさんは宝ですよ。色々と調べたいことが山ほど」
ニヤニヤしながらワキワキと手を動かす。
「やらんぞ」
「しっかりと彼を掴まえておいてくださいよ」
「言われなくても」
浅い眠りの中で、そんな2人の会話を聞いた気がした。
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