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68話 束の間の休息

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4人は城に戻って、王様に謁見していた。

「よくぞ、人間共を撃退してくれたな。ゲルマン、リーネ、ラクレス。」

「「「はっ」」」

「お前らは一旦次に備えて休んでくれ。人間共が再び来るかもしれないからな。」

「「「はっ」」」

「それよりリットン、あいつらが乗ってきた船はどうしてる?」

「それについては、現在回収を試みています。今日中には持ってこれるかと。」

「さすが我が矛、仕事が早い。」

「恐悦至極に存じます。」

「ささ、お主らは早く休んでくれたまえ。」

城での謁見の後、ラクレス、ロッド・ゲルマン、リーネの三人は一息ついてそれぞれの部屋で休息を取った。

「ラクレス........聞きづらいんだけど..........一つ聞いてもいい?」

リーネは何か心に引っかかるものがあり、ラクレスの部屋を訪ねていた。

「あぁ、何でもいいよ。」

「さっきの大男が言っていたマルコ卿って、一体何のことなの?」

リーネはマルコ卿についてラクレスに聞いた。

ラクレスは少し考えたあと、窓から外を見つめながら語り始めた。

「実は...........俺、ここに来る前にエルフの国でマルコ卿って奴と戦ったんだ.....あいつは強かった。正直、死にかけたよ。」

「そんな……」とリーネは驚くが、ラクレスは軽く笑ってみせた。

「笑い事じゃないわよ!」とリーネが呟くと、ラクレスが「なんか言ったか?」と聞くが、

「何も言ってないわよっ。あんた頭かしくなったんじゃないの?それよち聞かせてよ。マルコ卿って奴とあんたの関係..........」

「関係も何も、ただやり合っただけさ。」

「そんなわけないでしょ?何年あんたと一緒に居ると思ってんの?」

「..........」

ラクレスはしばらく黙り込むが、リーネの真剣な目に押され、ついに真実を打ち明ける。

「マルコ卿が死ぬ間際、俺に話してきたんだ。あのホーレン・グレイって奴がマルコ卿の母親を殺したって。だから.........俺はそのことが引っかかってた。敵討ちというわけじゃないが、彼が寂しそうにしていたのが忘れられなくてな...........」

「..........そうなんだ、じゃあも一つ聞いていい?あの大男が赤馬教レッドホースとか何とか言ってたけど、あんたは何かわかる?」

「それについては..........よく分かんない。でも、ここに来る前に故郷の村で青馬教ブルーホースのヨハネ卿を名乗る人物と会った..........」

「........ヨハネ卿?それよりあんた、帰ってたのね..........」

ラクレスはさらに考えを巡らせる。

「それに、マルコ卿は白馬教ホワイトホースを名乗っていた。白、青、赤........他にもいそうだな..........」

「そうね........でも、マルコ卿って奴は倒したんでしょ?なら、他もいけるんじゃない?」

「いや........村であったヨハネ卿を名乗る人物はマルコ卿の比じゃなかった........今の俺ではどうあがいても勝てないだろうな..........」

そう言いながらも、ラクレスの心の中にはひとつの希望が芽生えていた。

(でも、あの魔法を使えば、もしかしたら..........)

SS級魔法――それを使えば勝てるかもしれないという思いが頭をよぎる。

「んっ?........どうした?リーネ」

ラクレスはボーっとしているリーネに言った。

「........んっ?あ、あぁ、私?」

「あぁ、どうしたんだよ、ボーっとして........」

「ボーっと何かしてないわよっ、ラクレス、あんた疲れてるんじゃない?」

「........いや、でも・・・・・・」

「だから、大丈夫だって........ほら、早く寝てっ。じゃあね、お休みっ」

リーネはラクレスを強引に寝かせると、そのまま部屋を出て行った。

(何なんだろう?この感じ..........無意識のうちに、ボーっとしてしまう........ラクレスにあんなこと言ったけど、私も疲れてるのね..........)

リーネは違和感に気づいていた。
そして、これを疲れからきているものだと考えていた。
いや........そう願っていた。

次の日、オルロ・リットンは三人に新たな任務を告げる。

「今日もお前らには海岸に行ってもらう。昨日倒したとはいえ、まだ敵が来るかもしれない。そのための見張りをしてほしい。もちろん、見つけ次第倒してほしいがな。ではっ、健闘を祈る。」

そうして、三人は再び海岸に向かった。

「ふんっ、今日こそは骨のあるやつが来てほしいぜっ。」

ロッド・ゲルマンはにやけながらそう言った。

すると、

「はぁ、これだから変態は..........あのね隊長、敵は来ない方が良いのっ!!!」

「はっはっは、何を言っているんだお前は。敵は来た方が良いだろ?そうしないと斬れないからな。」

「はぁ、もう疲れる。ね?ラクレス。」

「........あ、あぁ」

ラクレスは何かを考えていたのか、少し反応に遅れたが返事をした。

「ねぇラクレス、本当に聞いてた?」

「あぁ、聞いてたさ。」

「じゃあ、何て言った?」

「それは..........それより、早く行かないと」

そうしてラクレスは走り出した。

こんな生活が続けばいい。
誰もがそう思っていた。
しかし、願いとはそう簡単には叶わないから願いなのである。
だが、乱世の中での平和など、そう簡単に長くは続かないのである。
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