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57話 ラクレスとアルゴス

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ラクレスがヨハネ卿と遭遇してから3日ほど経過していた・・・・・・

「そっちは終わった~?」

「おう、今終わったぜ。」

ラクレスは崩壊した村の復旧作業を行っていた。

「どーじゃ?ラクレス、これがわしの自信作じゃ」

アルゴスが自分で作った家の玄関をラクレスに見せびらかしていた。

「はぁ、そう言うのいいから、もっと実用的なのを頼むよ」

「しかしじゃな....う~ん、やっぱ、ここはこっちの方が良いのかな?どう思うラクレス?」

しかし、アルゴスは玄関の作製に夢中だった。

ラクレスはそんなアルゴスから離れ、みんなの所に行った。

「ところで、みんなに聞きたいことがあるんだけど..........なんでヨハネ卿って奴はここに来たんだ?」

ラクレスは村のみんなにそんなことを聞いた。

「...............」

ラクレスは何かを察した.....

「.....言い、づらいよね?」

しかし、

「いや、そう言うわけじゃ..............」

「じゃあ?」

「分からないんだ.........理由が..............」

「じゃあ、理由がなく来たって事?」

「..............多分」

ラクレスは村人からそう聞くと、黙り込んでしまった。

(どういうことだ?あいつの口ぶりからするに、あいつの目的はマルコ卿を倒したやつを探し出すことだった..............そう言えば、それが竜人族だと思っていたとか、何とか言ってたな..............)

「何かごめん.............嫌なこと聞いたな.........」

ラクレスがそう言うと、アルゴスが来た。

「お~~い、ラクレス。出来たぞ、ついに玄関が完成したぞ~~~~」

場の空気を読めない男アルゴス。しかし、すぐにラクレスの異変に気付く。

「なんじゃ?そんな辛気臭い顔をして.........」

「あぁいや、実はな.........」

そこからラクレスは先程あった事をアルゴスに話した。

「あ~~~~、そういうことなら、わしが聞いたぞ。」

「えっ!?」

「たしかな~、お前たちを殺すつもりはない。しかし、報告のために貴様らの村は破棄するとか言ってたな.....」

アルゴスはその当時のことを思い出しながら言っていた。

「.............じゃあ、本当に人探しのためだけ?」

「.........ん~、そうとも思えんのじゃ..............」

「どういうこと?」

「本当に探しに来ていたら、何も成果がないまま帰ると思うか?」

「でもあいつの探していたのは俺だぞ?それが分かってなおあの態度だ.........」

「そうじゃ、そこなんじゃ.........どうも引っかかるのぉ~」

「まぁ、このことは考えるだけ無駄だな.........ごめんなみんな。嫌なこと思い出させて。」

ラクレスは再び謝ると、アルゴスが口を開いた。

「はっはーーー、そんなこと誰も気にしちゃおらん。さっ、作業開始だ。」

アルゴスがそう言うと、再び作業を開始した。

そうして、一週間ほど経過した。

「こんなもんか..............」

ラクレスは復旧した村を見ると、そう呟いた。

「はっはーーーー、前よりもパワーアップじゃ。」

アルゴスも満足げそうにそう言った。

「で、これからお前はどうすんだ?」

突然ラクレスは村人に言われた。

「そうだなぁ、オリエント大陸に行くのは確定として、今のままでは行ってもなぁ.........」

ラクレスはヨハネ卿と対峙してそんな感想を抱いていた。

「じゃあ、当分はこの村にいるのか?」

「いや、この村にいると甘えてしまう自分がいる..........だから、また旅に出るよ。」

ラクレスは覚悟を決めた顔をしてそう言った。

「はっはっはーーーーー、それでこそ我が孫じゃ。さぁ、行ってこい。」

「今日は行かないけど..........」

「はっはっはーーーー、そんなこと分かっとるわ。さぁ、今日は村の復旧祝いとラクレスのお見送りを兼ねて、宴じゃあ!!!!!!」

そうして、竜人たちが住まう村では宴が始まった。

しかし、思いのほか盛り上がり3日3晩、村中の人達は踊り飲み明かした。

そして、

「とうとうじゃな..........」

「あぁ、行ってくる。」

2人は何かを察した。

(これで..........ラクレスとは最後か..........)

(これが..........じいちゃんとの最後か..........)

感傷に浸る二人だったが、その後同時に同じ言葉を言った。

「またなラクレス」「またねじーちゃん」

2人は熱い握手を交わし、同時に振り返った。

同時に振り返った二人はその後顔を見合わせることはなかった。

そして、前だけを向いていた二人の目には大粒の涙がこぼれていた。

(今までありがとうラクレス)(今までありがとうじいちゃん)

しかし、この別れが自分をさらに強くする。

ラクレスはそう思いながら一歩、また一歩と進んでいた。

(じいちゃんとの別れは寂しいけど..........俺はもっと強くならなきゃいけないんだ。)

自分自身にそう言い聞かせ、ラクレスは険しい道を進んでいった。オリエント大陸への旅路は過酷で、何が待ち受けているかもわからない。しかし、ヨハネ卿との戦いで感じた自分の限界を越えるために、彼は一歩一歩前進していくことを決意していた。

(俺はもっと強くなって、必ずみんなを守ってみせる...........)

そう心に誓い、ラクレスは再び前を向き、オリエント大陸へと続く道を踏みしめた。

同じ頃、ヨハネ卿もまた動き出していた。彼の表情には静かな興味が浮かび、何か計画を進めている様子だった。

(ラクレス.........か。あの男がどこまで成長するのか見届けるのも悪くない..........)

森の奥深くで目を閉じ、未来を思い描くヨハネ卿。

その口元にわずかな笑みが浮かんでいた。

運命に導かれた二人の道が再び交わる時、何が待ち受けているのか。その結末は、刻一刻と近づいていた。
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