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52話 魔剣ハデス
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ラクレスと九頭龍は魔剣ハデスを見て驚愕した。
「..........これが、魔剣ハデス?」
ラクレスが疑問の声を上げると、九頭龍も続いて同じく驚きを隠せない様子で口を開いた。
「これが..........魔剣ハデス?」
「えっ?」
「はい?」
「いや、お前見たことないのかよ..........」
「いや、私は見たことありますよ。」
「じゃあ、これが魔剣ハデス?」
「いや~、これが魔剣ハデス?」
ラクレスと九頭龍は魔剣ハデスを挟んで、無駄に繰り返される会話のやり取りを続けていた。
「お前、ふざけてんのか?」とラクレスが険しい表情で言葉を放つ。
しかし、九頭龍は慌てることなく少し甘えた声で返事をした。
「私の知ってる魔剣ハデスじゃないんですよ~。だって、これ錆びてますもん。」
「じゃあ、やっぱりこれが魔剣ハデス..........使えないな..........」
「何を言ってるんですかぁ?ヘラクレス様に失礼ですよぉ。」
九頭龍がそう言うと、
「お前..........キャラ変わった?」
ラクレスに突っ込まれた。
九頭龍は一瞬顔を赤らめ、恥ずかしそうに謝った。
「.........はぁっ、すいません。ついつい、素が出てしまっていました。」
「別に謝る事じゃないけど..........それに、気にしてないし..........」
「本当ですか?じゃあ、遠慮なく。」
再び甘えた態度に戻った九頭龍を見て、ラクレスは思わず戸惑った表情を浮かべた。
「は、ははっ..........それより、これってどうすれば使えるんだ?」
ラクレスは錆びた魔剣ハデスを手に取りながら尋ねる。
「うーん、私も分かりませんねぇ...........」
九頭龍が無邪気にそう答えると、ラクレスはため息をついた。
「..........お前って、いつもそんな態度だったのか?それと、お前とそのヘラクレス?と言う奴はどういう関係だったんだ?」
ラクレスが核心に触れるように問いかけると、九頭龍は少し恥ずかしそうにしながら答えた。
「私とヘラクレス様は、もうなんていうか、その、あんな関係でしたよ。それに、こんな姿を見せれるのはヘラクレス様ぐらいじゃないですかぁ?」
「いや、だからどんな関係だよ?」
ラクレスが少し怒りを含んでそう言うと、
「だからぁ」
そこまで言うが、ラクレスの顔を見てすぐに態度を改めた。
「ですから、その部下です。部下。私はヘラクレス様の従属魔物でした。」
九頭竜はそう言った。
「従属魔物?」
「えぇ、従属魔物といっても、ヘラクレス様は私達とは対等に接してくれていました。あの方は誰に対してもそうでした。だから.....」
九頭龍はそういうと、目に涙が溢れていた。
「もういいよ。大体わかったし..........じゃあ、あと一つ聞くけどこれについては何か分かる?」
ラクレスはそう言うと、亜空間からエルフの国でもらった錆びた剣を取り出した。
「この剣はエルフの国でもらったんだけど、そのヘラクレスって奴の物らしいんだ。」
九頭龍はその剣を見て驚きの表情を浮かべる。
「これは..........はぁっ!!!これは神剣オケアーノ。ヘラクレス様のもう一つの剣です。まさか、これも貴方が持っていたなんて..........運命ですわ。」
九頭龍は感慨深げに呟きながら、何かを考え込むように眉をひそめた。
「どうした?」何かを考えこむ九頭龍を見て、ラクレスが声をかける。
「でも..........どうしてその剣がエルフの国に?その剣は、たしかあいつが..........まぁ、あいつのことだし大丈夫か。」
九頭龍がぶつぶつ呟いているのを見て「大丈夫か?」ラクレスがそう言うと、
「えぇ、大丈夫です。」
ラクレスは少し首をかしげつつも、再び本題に戻る。
「そうか.....で、俺に仕えるとか言ってたけど..........どういう意味?」
ラクレスがそう言うと、
「そのままの意味ですけど..........私と従属契約をしてください。そうすれば、いつでも私を呼び出せます。」
九頭龍はそう言うと、ラクレスの前に立った。
しかし、ラクレスは従属契約の方法を知らなかったため、
「従属契約ってどうやんの?」と九頭龍に聞いた。
すると、九頭龍は丁寧に説明しながらそのまま契約を進めた。
「じゃあ、これからよろしくねぇ~ラクレス様ぁ。」
「あぁ、よろしく九頭龍..........なんか、九頭龍っていうの、ちょっと物騒だよな?呼び方変えていいか?」
ラクレスがそう言うと、「はい、もちろん」九頭竜は嬉しそうにそう言った。
「じゃあ..........ヒュドラのドラを取って、ドラコ。ドラコは?」
ラクレスがそう言うと、「..........」九頭竜は目を大きく開いて涙を流した。
「どうした?」涙を流す九頭龍を心配に思ったラクレスは、少し戸惑いながらそう言った。
「..........いえっ、何でもありません。ドラコ、それでお願いします。」
九頭龍改めドラコはそう言って頭を下げた。
「じゃあ、俺はこれから行きたいとこがあるけど、ドラコ、お前はどうする?」
「私はまだここでやり残したことがあります。ですから、私はまだ一緒には行けません。でも、呼ばれたらいつでも行きます。」
ドラコは改まった態度でそう言うと、笑顔でペルネ山を去るラクレスを見送った。
「じゃあ、また今度な。」
ラクレスはそう言うと、山を下りて行った。
その後ろ姿を見てドラコは思った。
(ドラコ..........ヘラクレス様と同じ呼び方.....もしかしたら、本当にラクレス様はヘラクレス様の.........)
ドラコはそう思うと、再び洞穴の中に入って行った。
そして、ラクレスはというと
(久しぶりに戻るか。竜人族の村に.........もしかしたら、リーネがいるかもしれないからな.........)
彼はそう期待を胸に抱きながら山を下りていったが、彼を待っていたのは思いもよらない悲劇だった。
「..........これが、魔剣ハデス?」
ラクレスが疑問の声を上げると、九頭龍も続いて同じく驚きを隠せない様子で口を開いた。
「これが..........魔剣ハデス?」
「えっ?」
「はい?」
「いや、お前見たことないのかよ..........」
「いや、私は見たことありますよ。」
「じゃあ、これが魔剣ハデス?」
「いや~、これが魔剣ハデス?」
ラクレスと九頭龍は魔剣ハデスを挟んで、無駄に繰り返される会話のやり取りを続けていた。
「お前、ふざけてんのか?」とラクレスが険しい表情で言葉を放つ。
しかし、九頭龍は慌てることなく少し甘えた声で返事をした。
「私の知ってる魔剣ハデスじゃないんですよ~。だって、これ錆びてますもん。」
「じゃあ、やっぱりこれが魔剣ハデス..........使えないな..........」
「何を言ってるんですかぁ?ヘラクレス様に失礼ですよぉ。」
九頭龍がそう言うと、
「お前..........キャラ変わった?」
ラクレスに突っ込まれた。
九頭龍は一瞬顔を赤らめ、恥ずかしそうに謝った。
「.........はぁっ、すいません。ついつい、素が出てしまっていました。」
「別に謝る事じゃないけど..........それに、気にしてないし..........」
「本当ですか?じゃあ、遠慮なく。」
再び甘えた態度に戻った九頭龍を見て、ラクレスは思わず戸惑った表情を浮かべた。
「は、ははっ..........それより、これってどうすれば使えるんだ?」
ラクレスは錆びた魔剣ハデスを手に取りながら尋ねる。
「うーん、私も分かりませんねぇ...........」
九頭龍が無邪気にそう答えると、ラクレスはため息をついた。
「..........お前って、いつもそんな態度だったのか?それと、お前とそのヘラクレス?と言う奴はどういう関係だったんだ?」
ラクレスが核心に触れるように問いかけると、九頭龍は少し恥ずかしそうにしながら答えた。
「私とヘラクレス様は、もうなんていうか、その、あんな関係でしたよ。それに、こんな姿を見せれるのはヘラクレス様ぐらいじゃないですかぁ?」
「いや、だからどんな関係だよ?」
ラクレスが少し怒りを含んでそう言うと、
「だからぁ」
そこまで言うが、ラクレスの顔を見てすぐに態度を改めた。
「ですから、その部下です。部下。私はヘラクレス様の従属魔物でした。」
九頭竜はそう言った。
「従属魔物?」
「えぇ、従属魔物といっても、ヘラクレス様は私達とは対等に接してくれていました。あの方は誰に対してもそうでした。だから.....」
九頭龍はそういうと、目に涙が溢れていた。
「もういいよ。大体わかったし..........じゃあ、あと一つ聞くけどこれについては何か分かる?」
ラクレスはそう言うと、亜空間からエルフの国でもらった錆びた剣を取り出した。
「この剣はエルフの国でもらったんだけど、そのヘラクレスって奴の物らしいんだ。」
九頭龍はその剣を見て驚きの表情を浮かべる。
「これは..........はぁっ!!!これは神剣オケアーノ。ヘラクレス様のもう一つの剣です。まさか、これも貴方が持っていたなんて..........運命ですわ。」
九頭龍は感慨深げに呟きながら、何かを考え込むように眉をひそめた。
「どうした?」何かを考えこむ九頭龍を見て、ラクレスが声をかける。
「でも..........どうしてその剣がエルフの国に?その剣は、たしかあいつが..........まぁ、あいつのことだし大丈夫か。」
九頭龍がぶつぶつ呟いているのを見て「大丈夫か?」ラクレスがそう言うと、
「えぇ、大丈夫です。」
ラクレスは少し首をかしげつつも、再び本題に戻る。
「そうか.....で、俺に仕えるとか言ってたけど..........どういう意味?」
ラクレスがそう言うと、
「そのままの意味ですけど..........私と従属契約をしてください。そうすれば、いつでも私を呼び出せます。」
九頭龍はそう言うと、ラクレスの前に立った。
しかし、ラクレスは従属契約の方法を知らなかったため、
「従属契約ってどうやんの?」と九頭龍に聞いた。
すると、九頭龍は丁寧に説明しながらそのまま契約を進めた。
「じゃあ、これからよろしくねぇ~ラクレス様ぁ。」
「あぁ、よろしく九頭龍..........なんか、九頭龍っていうの、ちょっと物騒だよな?呼び方変えていいか?」
ラクレスがそう言うと、「はい、もちろん」九頭竜は嬉しそうにそう言った。
「じゃあ..........ヒュドラのドラを取って、ドラコ。ドラコは?」
ラクレスがそう言うと、「..........」九頭竜は目を大きく開いて涙を流した。
「どうした?」涙を流す九頭龍を心配に思ったラクレスは、少し戸惑いながらそう言った。
「..........いえっ、何でもありません。ドラコ、それでお願いします。」
九頭龍改めドラコはそう言って頭を下げた。
「じゃあ、俺はこれから行きたいとこがあるけど、ドラコ、お前はどうする?」
「私はまだここでやり残したことがあります。ですから、私はまだ一緒には行けません。でも、呼ばれたらいつでも行きます。」
ドラコは改まった態度でそう言うと、笑顔でペルネ山を去るラクレスを見送った。
「じゃあ、また今度な。」
ラクレスはそう言うと、山を下りて行った。
その後ろ姿を見てドラコは思った。
(ドラコ..........ヘラクレス様と同じ呼び方.....もしかしたら、本当にラクレス様はヘラクレス様の.........)
ドラコはそう思うと、再び洞穴の中に入って行った。
そして、ラクレスはというと
(久しぶりに戻るか。竜人族の村に.........もしかしたら、リーネがいるかもしれないからな.........)
彼はそう期待を胸に抱きながら山を下りていったが、彼を待っていたのは思いもよらない悲劇だった。
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