23 / 83
22話 跡
しおりを挟む
ソウイの案内によってラクレス達はエルフの国を目指していた..........
「よし、今日はここまでにしよう。暗くなったら迷ってしまうかもしれないからな。」ソウイは暗くなってくると、そう言って切り上げた。
「エルフでも迷うのか?」ラクレスは疑問に思ったことを口にした。
するとソウイは、「迷うさ。なんせ、この大陸の9割はそこら辺に生えている巨大樹で埋め尽くされているからな。」と、当り前だろと言わんばかりの顔で答えた。
「俺達、本当にエルフの国に行けるのか?」そんなソウイを見てラクレスは不安になり言った。
しかし、「それは大丈夫だ。なんせ、エルフの国には目印があるからな。」その不安はすぐに払拭された。
「目印?」
「あぁそうだ。目印だ。」
「何が目印なんだ?」
「世界樹だよ。」
「世界樹?」
「あぁ、世界で一番大きいと言われている木だ。その木だけ群を抜いてでかい。そして、その世界樹の麓にあるのがエルフの国だ。さぁ、今日はもう寝るぞ。明日は朝一から出発するからな。」
ソウイがそう言うと、全員が就寝した。
しかし、眠れない人が一人いた。
彼女はみんなが眠りについた後、一人空を眺めていた。
そんな彼女に「眠れないのか?」と、暗闇の中から声をかける男が現れた。
「ラクレスお兄ちゃん?」メアリーのうれしさと不安が混じった声が辺りに響いた。
「ここにいたか」ラクレスはマリーを見るとほっとした顔で言った。
ラクレスはメアリーがいないことに気づき、暗闇の中探していたのだ。
「眠れないのか?」
「......うん」
(自分の国が近づくごとに不安が大きくなっているんだろうな......)
ラクレスはそう思いながら、メアリーを見ていた。
すると、メアリーが口を開いた。
「私、心配で......。国が近づくにつれて......」
メアリーの言葉が途中で途切れてしまった。
それほどまでに、メアリーは気が気でなかった。
そんな姿を見たラクレスはメアリーを震えている手を握り囁いた。
「メアリー、心配するな。俺がお前の国から人間共を追い返してやる。それに、ビアンカさんやソウイ達もいる。おまけで、あの変態だっているんだ。万が一でも負けないよ。」
ラクレスのその言葉を聞いて、メアリーがラクレスの胸に抱きついた。
そして、
「あ...りが......とう......」と、震える声で言った。
ラクレスはそんなメアリーを優しく抱きしめた。
そして、ラクレスはその態勢のままメアリーを見た。すると、頬をつたる涙が月の光に反射して輝いていた。
その光景を見たラクレスは少し微笑んで、決戦に向けてより一層気合を入れた。
その後はメアリーを眠るのを待って、ラクレスも眠りについた。
そうして、夜が明けた。
ラクレス達は、日の出とともに再び歩き出した。
それから、数時間。
「そろそろだ。あと、一時間もすればつくだろう。」
ソウイの言葉に、その場に緊張感が走った。
「ついに、エルフの国か......」ラクレスが呟いた。
すると、「ふっふっふ、楽しみですね~。エルフの国がどんなところなのか。」あいつが緊張感のかけらもない態度で言った。
しかし、その態度がビアンカの癇に障り、「おいっトーク。まだ、人間が攻めてきているかもしれないんだぞ。気を抜くなっ。」と怒られたが、
「もちろん、そのつもりです。」と、トークはいつにも増して集中していた。
そして、エルフの国が近づくにつれてメアリーをはじめとする三人衆の顔もどんどん曇ってきている。
すると.....
「誰かいるぞ。」ラクレスが突然ボソッと言った。
「ふっふっふ、弟子も気づきましたか。」
そして、ラクレスの言葉に呼応するようにトイ・トークも言った。
「誰かって、こんなところには誰もいないぞ?」
しかし、まだ気づいていないソウイが戸惑いながら言った。
「いや、あそこにある岩の所だ。」
ラクレスはそう言うと、左斜め前に見える大きな岩を指さした。
「たしかに......誰かいるな。」ラクレスの指さした方向を見たビアンカもその姿を確認した。
そう言うとソウイは、「狂戦士も見えるのか?どれどれ、あれは......」とその岩の方を見た。
「どうした?ソウイ。」驚きを隠せていない様子にソウイにトワが言った。
「トワ、お前も見てみろ。人がいる痕跡がある。」
周りが慌てふためく中、メアリーが口を開いた。
「何が見えたのソウイ?」
「はっ。あの大きな岩の前には火が起こされた跡がありました。それに、足跡も.....」ソウイは岩の方を警戒しながらメアリーに言った。
「じゃあ、本当に誰かがいるの?」メアリーはソウイにそう言うと、顔が少し強張った。
「えぇ。その可能性が高いです。メアリー様、我々だけで行ってくるのでここで待機をしていてください。トワ、ナーヤ、メアリー様を頼んだぞ。」ソウイはそう言うと岩の方に向かって静かに歩き出した。
「おう。」「分かったわ。」
「私もここに残ろう。」トワとナーヤに呼応するように、ビアンカが口を開いた。
「ビアンカも残ってくれるの?」メアリーは嬉しそうにビアンカを見た。
「あったりまえだ。メアリーは私が守ってやる。」
「ふっふっふ、では、私も隊長をお守りするためにここに残ります。」トークのビアンカの呼び方が隊長に変わった。
さすがのトークでも、ビアンカのげんこつに耐えられなくなっていたのだろうか....
真相は定かではないが......
「お前は行けっ!!!私の守りなんかいらないだろ。」
「ですが、私と隊長は二人で一つの運命共同体では.....ぐはっ!!!!!!」
トイ・トークは拳を貰った。
「いいから行けっ!!!」
「ヒ~~~。」
「ソウイ、俺も行く。」トークとビアンカをよそにラクレスが口を開いた。
ソウイは、「頼む。よし、行くか。」と言い、ソウイ、ラクレス、トークの三人は大岩目指して音を立てない様に歩き出した。
そして、ラクレスは出会うのであった。
ラクレスの運命の歯車を狂わせうる可能性のある人物に。
「よし、今日はここまでにしよう。暗くなったら迷ってしまうかもしれないからな。」ソウイは暗くなってくると、そう言って切り上げた。
「エルフでも迷うのか?」ラクレスは疑問に思ったことを口にした。
するとソウイは、「迷うさ。なんせ、この大陸の9割はそこら辺に生えている巨大樹で埋め尽くされているからな。」と、当り前だろと言わんばかりの顔で答えた。
「俺達、本当にエルフの国に行けるのか?」そんなソウイを見てラクレスは不安になり言った。
しかし、「それは大丈夫だ。なんせ、エルフの国には目印があるからな。」その不安はすぐに払拭された。
「目印?」
「あぁそうだ。目印だ。」
「何が目印なんだ?」
「世界樹だよ。」
「世界樹?」
「あぁ、世界で一番大きいと言われている木だ。その木だけ群を抜いてでかい。そして、その世界樹の麓にあるのがエルフの国だ。さぁ、今日はもう寝るぞ。明日は朝一から出発するからな。」
ソウイがそう言うと、全員が就寝した。
しかし、眠れない人が一人いた。
彼女はみんなが眠りについた後、一人空を眺めていた。
そんな彼女に「眠れないのか?」と、暗闇の中から声をかける男が現れた。
「ラクレスお兄ちゃん?」メアリーのうれしさと不安が混じった声が辺りに響いた。
「ここにいたか」ラクレスはマリーを見るとほっとした顔で言った。
ラクレスはメアリーがいないことに気づき、暗闇の中探していたのだ。
「眠れないのか?」
「......うん」
(自分の国が近づくごとに不安が大きくなっているんだろうな......)
ラクレスはそう思いながら、メアリーを見ていた。
すると、メアリーが口を開いた。
「私、心配で......。国が近づくにつれて......」
メアリーの言葉が途中で途切れてしまった。
それほどまでに、メアリーは気が気でなかった。
そんな姿を見たラクレスはメアリーを震えている手を握り囁いた。
「メアリー、心配するな。俺がお前の国から人間共を追い返してやる。それに、ビアンカさんやソウイ達もいる。おまけで、あの変態だっているんだ。万が一でも負けないよ。」
ラクレスのその言葉を聞いて、メアリーがラクレスの胸に抱きついた。
そして、
「あ...りが......とう......」と、震える声で言った。
ラクレスはそんなメアリーを優しく抱きしめた。
そして、ラクレスはその態勢のままメアリーを見た。すると、頬をつたる涙が月の光に反射して輝いていた。
その光景を見たラクレスは少し微笑んで、決戦に向けてより一層気合を入れた。
その後はメアリーを眠るのを待って、ラクレスも眠りについた。
そうして、夜が明けた。
ラクレス達は、日の出とともに再び歩き出した。
それから、数時間。
「そろそろだ。あと、一時間もすればつくだろう。」
ソウイの言葉に、その場に緊張感が走った。
「ついに、エルフの国か......」ラクレスが呟いた。
すると、「ふっふっふ、楽しみですね~。エルフの国がどんなところなのか。」あいつが緊張感のかけらもない態度で言った。
しかし、その態度がビアンカの癇に障り、「おいっトーク。まだ、人間が攻めてきているかもしれないんだぞ。気を抜くなっ。」と怒られたが、
「もちろん、そのつもりです。」と、トークはいつにも増して集中していた。
そして、エルフの国が近づくにつれてメアリーをはじめとする三人衆の顔もどんどん曇ってきている。
すると.....
「誰かいるぞ。」ラクレスが突然ボソッと言った。
「ふっふっふ、弟子も気づきましたか。」
そして、ラクレスの言葉に呼応するようにトイ・トークも言った。
「誰かって、こんなところには誰もいないぞ?」
しかし、まだ気づいていないソウイが戸惑いながら言った。
「いや、あそこにある岩の所だ。」
ラクレスはそう言うと、左斜め前に見える大きな岩を指さした。
「たしかに......誰かいるな。」ラクレスの指さした方向を見たビアンカもその姿を確認した。
そう言うとソウイは、「狂戦士も見えるのか?どれどれ、あれは......」とその岩の方を見た。
「どうした?ソウイ。」驚きを隠せていない様子にソウイにトワが言った。
「トワ、お前も見てみろ。人がいる痕跡がある。」
周りが慌てふためく中、メアリーが口を開いた。
「何が見えたのソウイ?」
「はっ。あの大きな岩の前には火が起こされた跡がありました。それに、足跡も.....」ソウイは岩の方を警戒しながらメアリーに言った。
「じゃあ、本当に誰かがいるの?」メアリーはソウイにそう言うと、顔が少し強張った。
「えぇ。その可能性が高いです。メアリー様、我々だけで行ってくるのでここで待機をしていてください。トワ、ナーヤ、メアリー様を頼んだぞ。」ソウイはそう言うと岩の方に向かって静かに歩き出した。
「おう。」「分かったわ。」
「私もここに残ろう。」トワとナーヤに呼応するように、ビアンカが口を開いた。
「ビアンカも残ってくれるの?」メアリーは嬉しそうにビアンカを見た。
「あったりまえだ。メアリーは私が守ってやる。」
「ふっふっふ、では、私も隊長をお守りするためにここに残ります。」トークのビアンカの呼び方が隊長に変わった。
さすがのトークでも、ビアンカのげんこつに耐えられなくなっていたのだろうか....
真相は定かではないが......
「お前は行けっ!!!私の守りなんかいらないだろ。」
「ですが、私と隊長は二人で一つの運命共同体では.....ぐはっ!!!!!!」
トイ・トークは拳を貰った。
「いいから行けっ!!!」
「ヒ~~~。」
「ソウイ、俺も行く。」トークとビアンカをよそにラクレスが口を開いた。
ソウイは、「頼む。よし、行くか。」と言い、ソウイ、ラクレス、トークの三人は大岩目指して音を立てない様に歩き出した。
そして、ラクレスは出会うのであった。
ラクレスの運命の歯車を狂わせうる可能性のある人物に。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
22
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる