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鈍い星空
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同じ夜なのに、一日でこんなに違うんだ。
そう不思議に思いながら、部屋の中を行ったり来たりしていた。少しぼーっとしているが、最近感じていた息苦しさが少し和らいでいる。窓の外はだいぶ暗かったが、いくつかの星が鈍く光っていた。
三浦達はあたしを避けていたわけじゃない。ただサッカーに呼ばれ、一時的にゲームをする時間がなかっただけだった。三浦の腕を握っていた時は、頭の中で色々なものがごちゃごちゃと散らばっていた。でも今は、だいぶすっきりと整理されている。ふとベッドのぬいぐるみが目にとまった。
どうしてみんな離れていくの? あたし、何にもしていないよね?
昨日クマに向かって問いかけた自分の言葉を思い出した。
確かにそうだ。あたし、何もしていない。
奈美や三浦が離れていった時、嫌われたり避けられたりすることが恐くなった。そして「ゴミ袋係を押し付けたから」とか「同じゲームをしつこくやりたがったから」と勝手に理由を作り、本人がどう思っているのか考えようとしなくなった。だから三浦の事情も、話すまで分からないままだった。
奈美の場合、やっぱりゴミ袋係を押し付けたり、一緒にパン屋に行くのを断ったことが原因かもしれない。それは自分が思っていた以上に、奈美を傷つけてしまった。知らない間に、メッセージをブロックされてしまうほど。
それでも。嫌われたとしても。このままで終わりたくない。
ベッドに座り、クマのぬいぐるみを持ってしばらく見つめた。頭を撫でながら、昨日スマホをぶつけてしまった傷を癒した。そしてスマホをクマに持たせるように置き、部屋の明かりを消した。
そう不思議に思いながら、部屋の中を行ったり来たりしていた。少しぼーっとしているが、最近感じていた息苦しさが少し和らいでいる。窓の外はだいぶ暗かったが、いくつかの星が鈍く光っていた。
三浦達はあたしを避けていたわけじゃない。ただサッカーに呼ばれ、一時的にゲームをする時間がなかっただけだった。三浦の腕を握っていた時は、頭の中で色々なものがごちゃごちゃと散らばっていた。でも今は、だいぶすっきりと整理されている。ふとベッドのぬいぐるみが目にとまった。
どうしてみんな離れていくの? あたし、何にもしていないよね?
昨日クマに向かって問いかけた自分の言葉を思い出した。
確かにそうだ。あたし、何もしていない。
奈美や三浦が離れていった時、嫌われたり避けられたりすることが恐くなった。そして「ゴミ袋係を押し付けたから」とか「同じゲームをしつこくやりたがったから」と勝手に理由を作り、本人がどう思っているのか考えようとしなくなった。だから三浦の事情も、話すまで分からないままだった。
奈美の場合、やっぱりゴミ袋係を押し付けたり、一緒にパン屋に行くのを断ったことが原因かもしれない。それは自分が思っていた以上に、奈美を傷つけてしまった。知らない間に、メッセージをブロックされてしまうほど。
それでも。嫌われたとしても。このままで終わりたくない。
ベッドに座り、クマのぬいぐるみを持ってしばらく見つめた。頭を撫でながら、昨日スマホをぶつけてしまった傷を癒した。そしてスマホをクマに持たせるように置き、部屋の明かりを消した。
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