上 下
55 / 61
番外編2

再会

しおりを挟む
「……と言う訳で、リリアナ様?これから陛下が少しなら時間あるそうです」

「い、今から?……でもお忙しい陛下を煩わせるわけにいかないしね……。仕方ないわ。シリカ、参りましょう……」

シリカの話によると、帰省した理由や逮捕までの詳細を知りたいらしい。

「……はぁ。まさかシリウスに愛人がいるか確認するために帰省しました、なんて言えないしね……」

考える私を見てシリカが笑いを堪えている。

「リリアナ様、面白すぎます」

私はシリカとシリウスの執務室に向かった。
そこには側近と騎士団長がいた。

「……陛下、リリアナが参りました。お話中でしたら一旦戻らせて頂きますが……」

いや、寧ろ彼らがいたほうが都合がよいとシリウスが部屋を去ろうとした私を制した。

「……畏まりました」

「王妃、先程戻ったそうだな……」

シリウスの顔を見るのは久しぶりだったが、何だかとても疲れた表情をしていた。

「陛下、お疲れのところお時間頂き、ありがとうございます。また、急な申請にも関わらず私のワガママを了承頂きありがとうございました」

「……その、帰省でリフレッシュできたか?」

「お陰様で、とても充実した帰省になりました。ありがとうございます」

(たくさんの衝撃的な出来事があったけど……)

「それなら良かった。ダニエルも達者だったか?」

「はい、いつも陛下には良くして頂いているようでありがとうございました。夫人がもうすぐ出産につき、また公爵家も賑やかになります」

「……そうだった。また祝いを贈ろう。さて、リリアナ……その……今回もを解決したそうだな。毎回、そなたには助けられてばかりだ。感謝申す」

「……陛下、もったいないお言葉です。当たり前のことをしたまでです」

「王宮騎士団もこれから侯爵令嬢については取調に入るが、王妃からも話を聞きたいそうだ。今、話してもらえるかな?」

私はどのように話をすべきか迷いながらも、順序立てて話を進めた。

本来ならば、先にシリウスに話を伝えてから諸々進めるべきではあったが……。

「……と言う訳で、フライト公爵とウィーン伯爵家の貢献のおかげで逮捕に繋がりました。まさか、ミラレ侯爵家のステファニー様が……」

「彼女の取調は明日から王宮騎士団にて徹底的に行う予定だ。元々、ミラレ侯爵にはきな臭い噂があったからな……。丁度良い機会だ。それにしても、我ながらその……お忍びで行動していたが、こんな事態を招いてしまい本当に申し訳ない……」

シリウスが珍しく自信なさそうに肩を落としていた。

「……陛下、もう済んだことですわ。それにその……王妃を応援する会……私……公認にしてまいりました」

「こ……公認?」

シリウスは驚きの表情で騎士団長と顔を見合わせた。

「……は、はい。広く言うならば王も王妃も人気商売。であるならば、ファンを味方にするのが賢明かと……。まもなく、ロイヤル新聞に王妃を応援する会のことや、公認のことが掲載されますわ」

何とか今回の件葉災い転じて福となったか……しら?


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたを愛するつもりはないと言いましたとも

春風由実
恋愛
「あなたを愛するつもりはございません」 王命による政略結婚で夫となった侯爵様は、数日前までお顔も知らない方でした。 要らぬお気遣いをされぬよう、初夜の前にとお伝えしましたところ。 どうしてこうなったのでしょうか? 侯爵様には想い人がいて、白い結婚上等、お飾りの妻となる予定だったのですが。 初夜のやり直し?急には無理です! ※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。 ※本編完結しました。ちょこっとおまけ話が続きます。 ※2022.07.26 その他の番外編も考えていますが、一度ここで完結とします。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

嫌われ者の側妃はのんびり暮らしたい

風見ゆうみ
恋愛
「オレのタイプじゃないんだよ。地味過ぎて顔も見たくない。だから、お前は側妃だ」 顔だけは良い皇帝陛下は、自らが正妃にしたいと希望した私を側妃にして別宮に送り、正妃は私の妹にすると言う。 裏表のあるの妹のお世話はもううんざり! 側妃は私以外にもいるし、面倒なことは任せて、私はのんびり自由に暮らすわ! そう思っていたのに、別宮には皇帝陛下の腹違いの弟や、他の側妃とのトラブルはあるし、それだけでなく皇帝陛下は私を妹の毒見役に指定してきて―― それって側妃がやることじゃないでしょう!? ※のんびり暮らしたかった側妃がなんだかんだあって、のんびりできなかったけれど幸せにはなるお話です。

本日はお日柄も良く、白い結婚おめでとうございます。

待鳥園子
恋愛
とある誤解から、白い結婚を二年続け別れてしまうはずだった夫婦。 しかし、別れる直前だったある日、夫の態度が豹変してしまう出来事が起こった。 ※両片思い夫婦の誤解が解けるさまを、にやにやしながら読むだけの短編です。

婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました

天宮有
恋愛
公爵令嬢の私エミリーは、婚約者のアシェル王子に「妾になれ」と言われてしまう。 アシェルは子爵令嬢のキアラを好きになったようで、妾になる原因を私のせいにしたいようだ。 もうアシェルと関わりたくない私は、妾にならず婚約破棄しようと決意していた。

【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫

紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。 スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。 そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。 捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。

【完結】探さないでください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
私は、貴方と共にした一夜を後悔した事はない。 貴方は私に尊いこの子を与えてくれた。 あの一夜を境に、私の環境は正反対に変わってしまった。 冷たく厳しい人々の中から、温かく優しい人々の中へ私は飛び込んだ。 複雑で高級な物に囲まれる暮らしから、質素で簡素な物に囲まれる暮らしへ移ろいだ。 無関心で疎遠な沢山の親族を捨てて、誰よりも私を必要としてくれる尊いこの子だけを選んだ。 風の噂で貴方が私を探しているという話を聞く。 だけど、誰も私が貴方が探している人物とは思わないはず。 今、私は幸せを感じている。 貴方が側にいなくても、私はこの子と生きていける。 だから、、、 もう、、、 私を、、、 探さないでください。

王太子さま、側室さまがご懐妊です

家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。 愛する彼女を妃としたい王太子。 本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。 そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。 あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。

処理中です...