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番外編2

断罪〜ローゼリア視点

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アレク様にお手伝い頂き、会員全員の素行調査をやり直した。

本当は一緒に王妃を応援する仲間を疑いたくなかった。

けれど、状況からして会員以外には考えられなかった。

二人で明日の定例会前に王妃の間で最終的な打ち合わせをしていた。

「……ローゼ、犯人がようやく分かったな」

「……一人だけが紛れこんでいたなんて……」

その人物はアレク様の紹介で入会した人物だった。

「特に親しくしている人物ではないが、昔婚約話が持ち上がった令嬢だ。その時にリリアナ王妃との婚約話が浮上したため、お断りしたんだが……」

「ミラレ侯爵家ステファニー様ですね……」

凛とした趣きの色白美人だ。

会員活動では特に問題はなかっただけに残念だった。

「……推測ですけど、ステファニー様はアレク様をお慕いしていらっしゃるかと……」

アレク様はまた女性問題から発展して皆に、今回も王家まで迷惑をかけてしまったことに激しい罪悪感を覚えたようで、始終上の空だ。

「アレク様?お気持ちは分かりますが、王家まで巻き込んでしまった責任は、私とアレク様にございますっ!目撃情報からステファニー様が黒に近い現在、明日はハッキリさせましょう!」

アレク様は小さく『あぁ……』と頷いてくれた。



翌日、会員全員が出席する定例会を雑貨屋の2階にある王妃の間で開催した。

丸テーブルに数名ずつ着席してもらい、店主が紅茶をサーブして回った。

「本日は皆様、お忙しい中、定例会にお集まり頂き、ありがとうございますっ!まずは、素晴らしい報告からさせて頂きますっ!何とこの度この会が、あのリリアナ王妃の……公認になりましたっ!」

えー、本当ですか?
信じらない!
嬉しーーいっ!

などたくさんの黄色声援が飛んだ。

「そして、もう一つは残念なお知らせです。リリアナ王妃が最近とある噂をお聞きになり、大変心を痛まれているそうです……。そして、その噂の原因を調べたところこの会が関係していることが分かりました。その噂は、私たちが敬愛するリリアナ王妃を辱め、陥れるために恐らく流されたのでしょう……。この会のメンバーにそのような人物がいたなんて……本当に悲しいです。また私の責任です。リリアナ王妃は、この会を解散させることも出来たのに、そうはされず、逆に会を信頼し公認まで頂きましたっ!だから私は、リリアナ王妃の信頼を取り戻すためにも徹底的に調査し、噂を払拭することを誓いますっ!」

また場内からは

どんどんやれー
王妃を守れー

とガヤが飛ぶ。

「ではこれからその噂の検証して参りますっ!」

私は覚悟を決めて1歩前に進んだ。
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