23 / 61
殿下の訪問
しおりを挟む
「やぁ、リリアナ嬢。久し振りだな」
殿下も私が意識があることを知っている一人だ。
ひたすら話をしてくれる。
「アレクには許可をもらってる。君の秘密のために二人きりにしてもらった。今日は報告に来たよ」
『殿下、ありがとうございます!』
「最初、君の護衛のユンが私の側近に手紙を渡したんだが、その気迫が凄かったようだよ。今すぐ殿下に渡せ、とね。もともとリリアナ嬢を婚約者にしたかったことも知っていた側近がすぐに私に知らせてくれてね。それ以降は君の知る範囲なんだが……」
『ユン、ありがとう!殿下の側近もありがとう!』
「あれから、ミリアーヌは地下牢にいる。公爵家にも調査が入って今は証拠をまとめているところだ。ミリアーヌは、婚約者以外にも関係した人数が多すぎてね……。ようやく実態を把握したよ。本当に、リリアナ嬢に婚約者になってもらえたらどんなに良かったことか……」
『殿下、お気持ちだけ頂いておきます』
残念令嬢に未来の国母は荷が重すぎる。
「近いうちにミリアーヌとは婚約破棄し、ミリアーヌの処分が決まる。公爵家も一部責任があるからね」
『……はい、承知しております』
「それでその……リリアナ嬢は意識が回復したらどうするつもりだ?アレクとやり直すのか?」
『……殿下、私は今はお返事出来ませんが、アレクとやり直せるかまだ分かりません。離婚するかも知れないですし、そのままかも知れません。でも……殿下のお近くにいるには一連のことで汚れすぎてしまっています』
本心だった。
「意識が戻るまでせめて王宮で過ごさないか?アレクに話したらずっと拒否されているが……」
『姉は地下牢にいるようですし、私は意識が戻るまでここで見守ります』
「……その……リリアナ嬢と過ごしたいのだ……」
『……殿下?』
「返事が出来ないのは寂しいな。また近いうちに処分が出たら報告に来る」
(……やっぱり殿下は素敵な方だ)
殿下の思いが伝わり、心が満たされた。
殿下も私が意識があることを知っている一人だ。
ひたすら話をしてくれる。
「アレクには許可をもらってる。君の秘密のために二人きりにしてもらった。今日は報告に来たよ」
『殿下、ありがとうございます!』
「最初、君の護衛のユンが私の側近に手紙を渡したんだが、その気迫が凄かったようだよ。今すぐ殿下に渡せ、とね。もともとリリアナ嬢を婚約者にしたかったことも知っていた側近がすぐに私に知らせてくれてね。それ以降は君の知る範囲なんだが……」
『ユン、ありがとう!殿下の側近もありがとう!』
「あれから、ミリアーヌは地下牢にいる。公爵家にも調査が入って今は証拠をまとめているところだ。ミリアーヌは、婚約者以外にも関係した人数が多すぎてね……。ようやく実態を把握したよ。本当に、リリアナ嬢に婚約者になってもらえたらどんなに良かったことか……」
『殿下、お気持ちだけ頂いておきます』
残念令嬢に未来の国母は荷が重すぎる。
「近いうちにミリアーヌとは婚約破棄し、ミリアーヌの処分が決まる。公爵家も一部責任があるからね」
『……はい、承知しております』
「それでその……リリアナ嬢は意識が回復したらどうするつもりだ?アレクとやり直すのか?」
『……殿下、私は今はお返事出来ませんが、アレクとやり直せるかまだ分かりません。離婚するかも知れないですし、そのままかも知れません。でも……殿下のお近くにいるには一連のことで汚れすぎてしまっています』
本心だった。
「意識が戻るまでせめて王宮で過ごさないか?アレクに話したらずっと拒否されているが……」
『姉は地下牢にいるようですし、私は意識が戻るまでここで見守ります』
「……その……リリアナ嬢と過ごしたいのだ……」
『……殿下?』
「返事が出来ないのは寂しいな。また近いうちに処分が出たら報告に来る」
(……やっぱり殿下は素敵な方だ)
殿下の思いが伝わり、心が満たされた。
69
お気に入りに追加
3,559
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから
真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」
期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。
※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。
※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。
※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。
※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。
モラハラ王子の真実を知った時
こことっと
恋愛
私……レーネが事故で両親を亡くしたのは8歳の頃。
父母と仲良しだった国王夫婦は、私を娘として迎えると約束し、そして息子マルクル王太子殿下の妻としてくださいました。
王宮に出入りする多くの方々が愛情を与えて下さいます。
王宮に出入りする多くの幸せを与えて下さいます。
いえ……幸せでした。
王太子マルクル様はこうおっしゃったのです。
「実は、何時までも幼稚で愚かな子供のままの貴方は正室に相応しくないと、側室にするべきではないかと言う話があがっているのです。 理解……できますよね?」
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる